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ダイナミックに変化するEMCのフラッシュストレージ戦略Project Thunderは開発中止

EMCジャパンによると、PCIeフラッシュ製品「VFCache」は「XtremSF」に改称して拡大、「Project Thunder」は中止、そして「Project X」と呼ばれてきたオールフラッシュのネットワークストレージは開発の最終段階にあるという

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 EMCジャパンは3月7日、同社のフラッシュ戦略に関するアップデートを行った。要約すると、提供開始済みのPCIeフラッシュ製品「VFCache」は「XtremSF(エクストリームSF)」シリーズに改称して拡大、「Project Thunder」は中止、そして「Project X」と呼ばれてきたオールフラッシュのネットワークストレージは正式名称が「XtremIO」に決定、同製品は開発の最終段階にあるという。

 EMCは既存ディスクストレージへのSSD搭載による高速化に加え、3つのプロジェクト(PCIeフラッシュ「VFCache」、共有DASとして利用するオールフラッシュアプライアンス「Project Thunder」、ネットワーク接続のオールフラッシュストレージ「Project X」)を通じ、フラッシュ製品を全面的に展開する戦略を推進してきた。特にEMCジャパンは、「Flash Everywhere」という言葉を使い、フラッシュ製品の展開が2013年の重点項目であると説明してきた。

PCIeフラッシュは選択肢が大きく拡大へ

 EMCジャパンは3月7日にPCIフラッシュの新製品を発表した。これまで「VFCache」と呼ばれていた製品はSLCモデルのみだったが、これに加えてeMLCモデルを同日に販売開始。PCIeフラッシュカード製品の総称は「XtremSF」に変更となった。

 これにより、XtremSFは、350GB SLC、700GB SLC、550GB eMLC、2.2TB eMLCの4モデルになった。さらに近い将来、700GB eMLC、1.4TB eMLCを追加するという。


EMCのPCIeフラッシュは今後、eMLCの選択肢が増えていく

 PCIフラッシュの名称変更に伴い、データ管理のためのソフトウェアには「XtremSW」という名称を与えた。これは、今後も進展が予想されるハードウェアのコモディティ化に対応し、ソフトウェアの価値を前面に押し出すためだという。

 XtremSWとして現在提供されているのはVFCacheのキャッシュ用ソフトウェアが改称された「XtremSW Cache 1.5」。Active/Passiveのサーバクラスタリング対応、重複排除、VMware vMotion対応、VMAXとの管理統合などの機能を持つ。2013年前半にはバージョン 2.0が登場の予定。このバージョンでは、Oracle RACやVMware vSphereの関連機能であるVMware HA/DRSに対応、VNXとの管理統合も実現するという。

 XtremSW CacheはXtremSFをキャッシュとして利用する際に使えるソフトウェア機能。EMCは今後、XtremSFをDASとして使う場合に役立つソフトウェアを提供する予定だという。その機能には複数カードにまたがるHA(リアルタイムデータ同期)やストレージプール作成機能がある。こうした機能は、仮想化ソフトウェアでも強化されつつあるが、ストレージ側で持つことで、顧客に対する選択肢を広げられるという。

Project Thunderが消えた理由

 冒頭に触れた3つのフラッシュ関連プロジェクトのうち、「Project Thunder」は中止になったという。Project Thunderは、複数のPCIeフラッシュカードを搭載したコンピュータをフラッシュストレージボックスに仕立て、これをRDMAプロトコルで複数のコンピュータから利用するという製品の開発計画。

 開発中止の理由を、EMCジャパン マーケティング本部 本部長の上原宏氏は、「同じ機能をXtremSWで実現できるから」と説明した。これは、上記のようにXtremSWで、複数コンピュータに装着した複数のPCIeフラッシュから単一のストレージプールを構成できるようになれば、ボックスとしてProject Thunderを別途購入するよりも、ユーザーにとって手っ取り早いという意味だと考えられる。また、機能をハードウェアとして売るモデルから、ソフトウェアとして売るモデルへの移行の1例だとも考えられる。

XtremIOは汎用アーキテクチャでスケールアウト

 EMCによるオールフラッシュのネットワークストレージXtremIOは、今年中に正式発表の予定。現在は限定的な顧客に利用してもらいながら、最終的な仕様を検討している段階だという。

 EMCが公表しているXtremI/Oの概要は、x86のコンピュータハードウェアを使用、「ブリック」(レンガの1つ1つのような単位)を4個まで増やしてスケールアウトできる構成で、4ブリック構成では4Kランダムリードで100万IOPSが実現できるという。外部インターフェイスとしては少なくともファイバチャネルおよびiSCSIを搭載。eMLCを採用し、インライン重複排除、シンプロビジョニング、VAAI対応などの機能を持つ。

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