W3C、DRMのためのAPI標準仕様「EME」のワーキングドラフトを発表:「オープンなWebに反する」との声も
W3CのHTML作業部会は5月9日、HTMLで動画などのコンテンツを保護するためのAPI標準化仕様「Encrypted Media Extensions」(EME)のパブリックワーキングドラフトを発表した。
World Wide Web Consortium(W3C)のHTML作業部会は5月9日、HTMLで動画などのコンテンツを保護するためのAPI標準化仕様「Encrypted Media Extensions」(EME)の初のパブリックワーキングドラフトを発表した。EMEに対しては米フリーソフトウェア財団などを中心に反対の声も出ているが、W3Cは引き続き策定作業を進める意向だ。
W3Cによれば、EMEはデジタル著作権管理(DRM)システムの一部であるコンテンツ暗号解除モジュール(CDM)にアクセスするAPIを定義するものであり、CDM技術を標準化するものではない。しかし反対派からは、APIの標準化によってCDMの利用が促進され、オープンなWebの原則に反するとの意見が寄せられているという。
これに対してW3Cは、「Webではあらゆる種類のコンテンツをホスティングできるようにすべきであり、そのためにはクリエイティブな作品が保護できるようにしなければならない」と指摘。コンテンツが保護されなければ、プレミアムコンテンツはオープンなWebから姿を消すだろうと予想し、「たとえDRMスキームがオープンでなくても、オープンWebではできる限りそれを取り入れる必要がある」と強調した。
また、CDMへのインターフェイス標準化は保護されたコンテンツの囲い込みにつながるとの批判に対しては、「コンテンツが保護されていても無料で提供されていてもユーザーが情報共有できるよう、W3Cには幅広い互換性を追求する責任がある。プレミアムコンテンツがオープンなWebからはアクセスできないアプリケーションや、完全にロックダウンされた端末へと追いやられるような事態になる方が、はるかに問題は大きい」と反論している。
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