「初音ミク」や「ゆるキャラ」の商標権ってどうなっているの?:5分で分かる製作現場(7)(1/5 ページ)
ネットサービスやキャラクタービジネスをする人にとって重要な「商標」のポイントを説明する。怖い落とし穴、海外での勝手出願問題も知っておこう。
知財の中でも商標は比較的理解しやすいものかもしれません。それでも誤解されている点がありますので、そこを中心に商標制度のポイントを説明していきましょう。特にネットサービスを展開したり、キャラクターを活用したビジネスを行いたい人にとっては重要なトピックです。
1分−商標とは何か? 商標権とは何か?
商標とは「商品やサービスをビジネスとして提供するときに出所を示すために使う名称やマーク」を指します。
例えば、iPhone、初音ミク、ナイキのマークなどはすべて商標です。さらに、あなたの家の近所にある蕎麦屋やパン屋の看板に付いている屋号も商標です(ただし、有名チェーン店でない限り登録商標である可能性は低いでしょう)。
立体物も商品やサービスの出所を示すために使われていれば(つまり、一種の看板として使われていれば)商標であり、立体商標として商標登録されている可能性があります(例えば、不二家の店頭で使われているペコちゃん人形は不二家の登録商標です)。
商標権とは今まで説明してきた特許権(デザインのパクリをどう防ぐ? 〜5分で分かる意匠/デザイン特許)や意匠権(デザインのパクリをどう防ぐ? 〜5分で分かる意匠/デザイン特許)と同様、商標の使用を独占できる(他人による類似商標の使用を禁止できる)権利です。商標権により、偽物商品の生産、販売、販売目的所持、輸出入などを禁止できます。特許権や意匠権と同様、刑事罰もある強い権利です。偽ブランド品の販売で警察に逮捕されたというようなニュースを耳にすることも多いでしょう。
商標権によって、企業の業務上の信用やブランド力が保護されるだけでなく、消費者が間違って偽物を買ってしまう可能性も減少し、消費者保護も実現されます。
なお、商標権は使用される商品やサービスとペアとして生じます。商品やサービスが類似していなければ、商標としては類似しません。朝日新聞、アサヒビール、アサヒペイントなどはすべて登録商標であり、言葉としては類似していますが、商品やサービスがまったく異なるため、商標としては類似することなく互いに共存できています。
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