まずは普通の小学5年生にFizzBuzz問題を解かせる――みんなのコード、プログラミング教材「プログル」を無料で提供開始:Google Blocklyで作成、学習指導案も用意
みんなのコードは2017年4月18日、プログラミング教材「プログル」を無料で公開した。まずは小学5年生向けの「公倍数コース」の提供を開始し、2017年夏には「多角形コース」を公開する予定だ。
みんなのコードは2017年4月18日、プログラミング教材「プログル」と、それを活用する学習指導案を公開した。2020年に、プログラミングが小学校で必修になることを見据えて、小学校の授業でそのまま利用できる教材として開発したという。
文部科学省では、小学校でのプログラミング授業について、「総合的な学習の時間」や「各教科内」に実施することとしている。この点に対してみんなのコードでは、「多忙でありプログラミングのプロフェッショナルではない教員が、他の教科の時間にプログラミングを教育するには、自由に使えるプログラミング教材を教科の内容とひも付けた上で、1つのクラス内の学習ペースの異なる児童を同時に指導する必要があり、容易ではない」としている。
そこでみんなのコードでは、「できること」「やること」「かんがえること」という目的に特化したドリル型の教材として、プログルを開発したという。課題を明確にして教員が授業を設計しやすくし、学習ペースの異なる児童が各自のペースで学べるようドリル型を採用した。
まずは、小学5年生の算数の単元にある「公倍数」を題材にした「公倍数コース」の提供を始める。1〜30の整数を教材中に登場するキャラクターに数えさせて、「3で割り切れる数」や「5で割り切れる数」のときに別の言葉を言わせたりするようなプログラムを作ることを目的とする。この作業を通じて、公倍数や最小公倍数の求め方を児童に考えさせる。
公倍数の性質に親しみながら、「順次処理」「条件分岐」「繰り返し」といったプログラミングの基本要素を身に付けられるとしている。コースの終盤には、プログラマーの実力試験の定番となっている「FizzBuzz問題」に挑戦できるという。
プログルはPC、タブレット、スマートフォンのWebブラウザ上で動作するSPA(Single Page Application)であるため、利用するのに面倒なインストール作業が不要だ。グーグルのビジュアルプログラミング環境構築用ライブラリ「Google Blockly」で作られている。プログラミング要素として、「数を言う」「30まで数える」などのブロックが用意されており、画面に表示される課題に合わせて、それらのブロックを組み合わせたり、パラメーターを変えたりすることで、目的の処理が実行されるようにする。
みんなのコードでは、実施経験者によるプログルを使った授業の指導案も用意しており、自由に利用できる。「倍数と約数」の学習指導案は、東京都狛江市第五小学校で主任教諭を務めていた竹谷正明氏が作成した。「倍数と約数」の学習指導計画11時間のうち、1時間分でプログルの「公倍数コース」を使うものになっている。
みんなのコード代表の利根川裕太氏は、「オンラインプログラミング教材始めました。-プログラミング教育Blog」において、プログルを開発した理由や算数×プログラミングにした理由、公倍数×プログラミングにした理由などについて述べている。「先生にどのように使ってほしいか」については、「小学校の6年間で公倍数のプログルだけをやって、『プログラミング教育を行ったことにする』ようにはしてほしくない」と注意を促し、「本教材により、多くの先生に『これならプログラミング教育が自分でも始められる』と、まずは気付いていただき、そこからHour of Code/Scratchなどの他のプログラミング教材での、より深いプログラミング教育に興味を示していただきたい」とした。
プログルの今後としては、次期学習指導要領に教科とプログラミングの組み合わせの具体例として掲げられている「多角形」の単元を学べる「多角形コース」を、2017年夏に提供する予定だ。
特集:小学生の「プログラミング教育」その前に
政府の成長戦略の中で小学校の「プログラミング教育」を必修化し2020年度に開始することが発表され、さまざまな議論を生んでいる。そもそも「プログラミング」とは何か、小学生に「プログラミング教育」を必修化する意味はあるのか、「プログラミング的思考」とは何なのか、親はどのように準備しておけばいいのか、小学生の教員は各教科にどのように取り入れればいいのか――本特集では、有識者へのインタビューなどで、これらの疑問を解きほぐしていく。
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