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「初音ミク」や「ゆるキャラ」の商標権ってどうなっているの?5分で分かる製作現場(7)(5/5 ページ)

ネットサービスやキャラクタービジネスをする人にとって重要な「商標」のポイントを説明する。怖い落とし穴、海外での勝手出願問題も知っておこう。

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5分−ブランド企業以外でも重要な商標戦略

 商標権の重要性は著名ブランドを展開する大企業に限った話ではありません。ネットの世界でビジネスを行う小規模企業においても商標権は重要です。

 ネットの世界では基本的なビジネスモデルはすぐに模倣されてしまいます。例えば、女性モデルに時間表示の札を持たせた写真を時計代わりにする「美人時計」というサービスがありますが、そのアイデア自体の模倣を防ぐことは困難です。しかし、商標登録することで(実際、登録されています)類似名称のサービスを排除でき、本家サービスとしてのブランドイメージを維持することができるでしょう。

 また、商標権を取得したからといって他人の使用を絶対に禁止しなければならないわけではありません。例えば、非営利では原則自由に使ってもらいつつ、営利利用についてはライセンス契約を結ぶルールとしておくことでキャラクターを普及させる戦略はネットの世界ではとりわけ有効です。「初音ミク」がその典型的な例です。

 昨今注目が集まっている「ゆるキャラ」も、商標権者である自治体が認可した商品については無料で商標権などをライセンスしているケースが多いです。これは、ゆるキャラが地域のイメージ向上を主な目的としているからです。このような場合でも、商標権を確保しておかなければ、偽物商品を防ぐことができませんので、商標登録は重要です(実際に多くの著名ゆるキャラが商標登録されています)。

画像出典:くまモンオフィシャルホームページ

著者プロフィール

栗原 潔

テックバイザージェイピー(TVJP)代表取締役 弁理士。技術士(情報工学)。 IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社。 東京大学工学部卒業、米MIT計算機科学科修士課程修了。

日本アイビーエム、ガートナージャパンを経て2005年6月より独立。独自の視点で「IT弁理士日記」を執筆中。


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