日本IBM、企業向けクラウド「IBM SmarterCloud」を機能強化:IBM SCEの価格は平均20%値下げ
「IBM SCE R2.3」ではオブジェクトストレージなどの機能強化が、「IBM SCAS R1.1」ではモバイルアプリケーション開発環境に適したパターンの追加などが図られている。
日本IBMは2013年5月29日、企業向けクラウドサービスとして提供するIaaS「IBM SmarterCloud Enterprise(IBM SCE)」とPaaS「IBM SmarterCloud Application Services(IBM SCAS)」の機能強化を発表した。
IBM SCEは、世界6個所あるIBMのデータセンターで運用するパブリッククラウドサービス。最新となる「IBM SCE R2.3」では、オブジェクトストレージが全てのユーザーで利用可能になった。また、Windowsインポート・コピー機能も全てのユーザーで利用できるようになった。これにより、ユーザー所有のWindows ServerをIBM SCE上にインポートして使用できる。価格も平均20%値下げする。
IBM SCASは、IBM SCE上で稼働するPaaSだ。アプリケーションの開発、構成、統合、保守などに必要な情報を、あらかじめ「パターン」として定義することで、開発期間の短縮やライフサイクル管理の効率化、運用のセミオートメーション化を実現するもの。最新の「IBM SCAS R1.1」では、モバイルアプリケーション開発環境に適したパターンの追加、稼働中のVMの監視などの機能が追加された。加えて、データベースパターンの機能を強化し、DBスナップショットの取得やクローニングも可能になった。
IBM SCE R2.3はIBM SCASと合わせて最大60日間のトライアルを利用することができる。IBM SCAS R1.1は、6月28日からグローバルでサービス提供を開始する。
日本IBMでは、今回の発表に先立つ5月13日には、IBM SmarterCloudにおいて「OpenStack」や「OASIS TOSCA」といったオープンスタンダードを推進し、IaaS/PaaSでのクラウド間の相互運用性を高めていく方針を発表している(関連記事)。また、続く5月22日には、この方針に沿った製品として、企業におけるオープンクラウド環境の構築と管理を自動化するソフトウェア製品「IBM SmarterCloud Orchestrator」を発表している(関連記事)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- クラウド環境の構築・管理を自動化:日本IBM、「IBM SmarterCloud Orchestrator」を国内発表
IBM SmarterCloud Orchestratorは、OpenStackとTOSCAに対応し、迅速で柔軟なクラウド環境の構築や管理のほか、クラウド上で稼働するアプリケーションの可搬性を確保するクラウド管理ソフトウェアだ。 - ベンダロックインのないクラウドの第2ステージへ:オープンクラウドに舵を切るIBM、OpenStack/TOSCAでIaaS/PaaSの相互運用性を強化
日本IBMは5月13日、同社製品・サービスに対するオープンクラウドの積極的展開に向けた記者説明会を開催した。クラウド間の相互運用性を高めていく狙いだ。 - DevOps時代のJavaプログラマのためのオープンクラウド入門(1):“使用”より“構築”で学ぶオープンPaaS「OpenShift」
オープンなクラウドで重要性を増すJava。DevOps時代のJavaプログラマはアプリケーション開発者(Dev)もデプロイや運用(Ops)面におけるクラウド/インフラ技術への幅広い理解が必要となる。本連載では、さまざまなオープンクラウド技術を紹介していく。初回は、オープンソースのPaaSであるOpenShiftを紹介。どんな技術を使ってPaaSが実装されているのかを理解しよう - サービス事業者が重要なターゲット:「クラウドDevOps」サービスを国内で正式発表、日本IBM
日本IBMは2月26日、アプリケーションの開発から検証、デプロイメント、運用までのプロセスを同社クラウドサービス上で完結できるサービス、「IBM SmarterCloud Application Services(SCAS)」を国内で正式発表した。2012年12月に提供開始していたという