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Facebook、横行するなりすましの現状と対策もし、誰かがあなたになりすましたら?(1/2 ページ)

最近Facebookで、友人の名前をかたったなりすましや見ず知らずの人からの友達リクエストが目立っています。この記事では、その実態と対策、予防法を紹介します。

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 いまや全世界のユーザー数が11億人、国内でも1300万人以上が利用しているソーシャルネットワークサービス、Facebook。そのFacebookで6月ごろから、友人の名前をかたったなりすましや見ず知らずの人からの友達リクエストが目立っています。

 「なりすまし」とは、赤の他人が誰かのふりをしてネットワーク上で活動することです。本来ならばその人しか見ることができない情報を盗み見たり、周りの人間をだまして金銭的被害を与えたりする恐れがあります。

広がる一般人への「なりすまし」

 Facebookでのなりすましの実態を把握するため、Facebookを検索し、「私からの友達リクエストは偽物です。無視してください」という趣旨の投稿を行ったユーザーの数を集計してみました(表1)。

 すると、6月17日ごろから投稿が増加しており、6月22日には、少なくとも1日に86件のなりすましが確認されたことが分かります。また、6月1日から6月28日までのなりすましの合計件数は、確認できただけでも約600名分に上りました。


6月1日以降のなりすまし件数(検索で確認できたもの)

 Facebookでの“なりすまし”というと、北川景子さんになりすましたFacebookページに20万以上の「いいね!」が集まった件や、アイドルの関係者になりますまして「アイドルの相談相手になってほしい」とメッセージを送り、37万人から計116億円をだまし取った件などが有名ですが、いずれも「有名人」になりすますというものでした。

 しかし、いま話題になっているなりすましはちょっと違います。有名人ではなく、一般の方になりすまそうとしているのです。

 そこで私は20個のなりすましアカウントについて、サンプリング調査を行いました。

 サンプリング調査は、6月22日〜23日の期間に行いました。まずリアルタイム検索で「なりすましです。●●●●からの友達リクエストは無視してください」という投稿を洗い出し、次に「●●●●」というFacebookアカウントを検索で見付け出します。そして、それがなりすましアカウントであるかどうか確認するため、「●●●●の友達リスト」と「なりすましの被害に遭った方の友達リスト」を比較し、共有の友達が複数人確認された場合は、なりすましアカウントとであると判断し、サンプリング対象としました。

 すると、すべてのなりすましアカウントにおいて、プロフィールが

  • 登録名は「ローマ字」
  • プロフィール写真は「性別を男性に選択した場合に表示される基本設定」

となっており、それ以外の情報は一切登録されていませんでした(図2)。


図2 なりすましアカウントの例

 こうしたなりすましアカウントからの友達リクエストを承認した人を数えてみると、平均で約27人がだまされていました。この1カ月の間に確認できたなりすましアカウント、約600名分と掛け合わせると、少なく見積もっても、だまされた人数は約1万6000人に上ることが判明しました。

No 被害者の性別 友達リストの登録数 友達申請に同意した人数
1 女性 31 24
2 女性 311 81
3 女性 26 18
4 女性 339 26
5 女性 70 23
6 女性 215 23
7 女性 77 16
8 女性 195 12
9 女性 119 43
10 男性 618 43
11 女性 193 31
12 女性 169 63
13 女性 262 13
14 女性 337 18
15 女性 291 16
16 女性 42 25
17 女性 91 18
18 女性 117 32
19 女性 26 18
20 女性 240 3
平均 27.3

すでに「友人」なのにまた承認

 実は、2011年にUOLDiveoが行った実験でも、人は意外と簡単に騙されることが分かります。

 この実験では、会社の上司の名前でなりすましアカウントを作成し、上司の「友人の友人」432人に「友達リクエスト」を送信しました。すると、わずか1時間のうちに24人が「友達リクエスト」を承認しました。しかも承認したユーザーの96%は、友達リストの中にすでに本物の上司のアカウントがあったにもかかわらず、承認を行っていたそうです。

 今回の同性同名によるなりすましアカウントでも、同様の問題が発生しています。すでに友達リストの中に本物の友達が登録されているにも関わらず、なりすましアカウントからの「友達リクエスト」を承認していたのです。

 さらに、なりすましアカウントの友達リストを調査した結果、同性同名のなりすましアカウントを使って「友達の友達」に対する友達リクエストも行われていました。

 この行為が、見ず知らずの人からの友達リクエストが増えている原因にもなっており、本はといえばなりすましアカウントによって引き起こされた同一の事象であることも分かりました。

なりすましがもたらす影響

 過去に発生した「なりすまし」の多くは、“詐欺”や“情報収集”といった目的に利用されていました。

 例えば詐欺目的ならば、「友達」になりすまして、「旅行先で泥棒に入られたので帰りの飛行機代を貸してほしい」と現金をだまし取る手口が報告されています。また情報収集では、NATOの指揮官になりすまして周辺の人間関係に関する情報を収集したり、「友達」になりすまして電話番号を窃取しようとする事例が確認されています。日本国内の場合でも、同様に金銭をだまし取ろうとしたり、出会い系サイトに誘導する手口が容易に想像できます。

 こうした詐欺や情報収集から身を守るため、ぜひ、以下の対策を実施しましょう。

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