シスコシステムズは2013年3月末、同社の資格制度改訂を発表した。長らく続けてきた従来の認定資格CCNA(Cisco Certified Network Associate)を「CCNA Routing and Switching」と改名し、試験内容も一新する。CCNA Routing and Switching試験で求められる知識は、現行のCCNA試験の範囲から大きく変わる。現行試験は2013年9月30日で終了となり、2013年10月1日からは、改訂後のCCNA Routing and Switchingのみ受験可能となる。
「CCNA Routing and Switching」として、より実践的な内容に
この改訂について、シスコシステムズ トレーニング ビジネス デベロップメント(ビジネス デベロップメント)マネージャーの岡邦子氏は次のように語る。「従来のCCNAは、Ciscoの認定資格の中では初級レベルと考えられてきました。しかし最近ではCCNA取得者に対し、Routing and Switching分野において、より難易度が高い業務が求められるようになっています。そこで今回、『CCNA Routing and Switching』として、より難易度が高い資格に改訂しました。この改訂によって、Routing and Switchingに特化するという位置付けと、Security、 Voice、Wirelessなど他分野との関係が明確になりました」
具体的には、CCNA Routing and Switchingでは、今までのCCNAにはなかったIPv6の専門知識、トラブルシューティング、Cisco IOS v15などの知識が求められる。「従来のCCNAでは、トラブルシューティングの知識は問われませんでした。改訂後のCCNA Routing and Switchingではより実践的な知識が問われ、実務経験がない人には取得の難しい資格になっています。そこで、学生など初級者向けの資格としてCCENT(Cisco Certified Entry Networking Technician)が位置付けられています」(岡氏)
CCNA Routing and Switchingの試験およびトレーニングは、2013年7月時点では英語版のみが提供されている。今後、日本語化が予定されているが、時期は未定である。一方、従来の試験でのCCNA取得は、2013年9月30日をもって終了することが決まっている。この日時までであれば、従来の試験でCCNAを取得することが可能だ。
また、すでに取得済みの従来のCCNAは、CCNA Routing and Switchingと改名されている。
「アドバンストテクノロジー分野」のCCNA/CCNPは、CCENTが認定要件に
これまで、同社「アドバンストテクノロジー分野」(CCDA、Security、Wireless、Voice、Service Provider)の中級(プロフェッショナル)レベルまでの資格は、初級(アソシエイト)レベルのCCNA(CCNA Routing and Switching)、CCNA各種(CCNA Security、CCNA Wirelessなど)、中級レベルのCCNP(Cisco Certified Network Professional)の3段構えだった。
今回の改訂により、この3段構えの構造が変更になり、入門(エントリー)レベルのCCENT、初級レベルのCCNA各種、中級レベルのCCNPなどから構成する3段構えになる(図1)。
従来のロードマップは、以前の記事(「米シスコがデータセンターに特化した認定資格を開始」)にて確認できる。
現行試験の受験は2013年9月30日まで
2013年9月30日まで、CCNAを取得する方法には下記のパターンがある。
- 640-802J CCNA(従来の試験)に合格する
- 200-120 CCNA(新試験、英語のみ)に合格する
- 640-822J ICND1(従来の試験)、100-101 ICND1(新試験、英語のみ)のどちらかに合格し、
かつ640-816J ICND2(従来の試験)、200-101 ICND2(新試験、英語のみ)のどちらかに合格する
つまり、CCNAの1試験に合格する方法と、「ICND1」「ICND2」の2試験に合格する方法の、大きく2通りあることになる。
2試験を受ける場合は、ICND1に受かった段階で、入門資格であるCCENTを取得できる(図2)。
CCNAの1試験を受けた場合、失敗すると何の資格も得られない。しかし、エントリーレベルのICND1に合格すると、まずはCCENTを取得できることから、最近ではICND1とICND2の2試験を組み合わせてCCNAの取得を目指す人が増えているという。
シスコシステムズでは「CCNAの勉強を進めている人は、ICND1、INCD2、CCNAの試験内容変更を確認して、受験準備をされることをお勧めします」(岡氏)と話している。どちらの方法で取得を目指すにせよ、現行の試験を想定して受験準備を進めてきたITエンジニアは、2013年9月までに資格を取得するのが近道だろう。
筆者プロフィール
星暁雄(ほしあきお)
ITジャーナリスト。日経BP社で『日経エレクトロニクス』記者、オンラインマガジン『日経Javaレビュー』編集長などの経験を積み2006年に独立。現在はフリーランスとして活動。半導体、プログラミング言語、オペレーティングシステム、エンタープライズIT、インターネットサービス、スマートデバイスなど、幅広い分野の取材執筆経験を持つ。イノベーティブなソフトウェア分野全般に関心を持つ。最近は現実世界のモノとソフトウェアを結ぶ技術に特に注目している。より詳細な経歴はこちら
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