「おせっかい度」を増すエンタープライズIT業界:ITユーザー兼プロバイダも台頭
エンタープライズITに関する2013年最大のトレンドは、IT業界の「おせっかい度」が新たな段階に入ったことだ。今後長年にわたり、この動きは次第に強まっていくだろう。
エンタープライズITに関する2013年最大のトレンドは、IT業界の「おせっかい度」が新たな段階に入ったことだと表現できる。
これをポジティブに言い換えると、「ITベンダが、一般企業の活動にどれだけ直接的に貢献できるかを競う時代に入った」、あるいは「IT業界は、一般企業がITをさらに活用することで、売り上げや利益率を直接改善できる(かもしれない)手法を見出した」ということになる。ネガティブに言い換えると、「IT業界は、ビジネスコンサルタントでもないのに、ほかの業界のビジネスに口を出そうとしている」ということにもなる。
IT業界は今後長い間、おせっかいであり続けるのか、それともほかのあらゆる業界から喝采を受けるようになるのか。おそらくどちらでもないだろう。ITフレンドリーな業界や企業から、ITを売り上げや利益に直結させる動きが広まり、各業界で成功と失敗の実例が徐々に生まれる。成功例が生まれると、これを真似する競合企業が現れるのだろう。
IT業界は、3通りの言い方で、一般企業はITを直接自社のビジネスに活用できると主張し始めている。1つは、「既存の製品やサービスのマーケティングや販売促進、営業活動を、ITによってシステム化、自動化することで収益力を向上できる」というもの。2つ目は、「既存の製品やサービス自体の付加価値を高めるために、製品と統合されたサービスやソフトウェアがより重要になるというもの。3つ目は、「さまざまな産業において、今後は(本業と関係があるかどうかにかかわらず)ITサービスやソフトウェアが収益の源泉になる」というもの。
1つ目は、一般的な企業にとって最も理解しやすい言い方だ。より若い世代を相手にする一般消費者向けのビジネスでは、電子メールに始まり、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの利用、さらにはスマートデバイスの位置情報機能の活用なごが、すでに日常的な話題となりつつある。セールスフォース・ドットコムは、ネットを活用したマーケティングから販促、営業、アフターケアまでの活動を1つのプロセスとして管理できるという点をアピールしてきた。
企業IT担当者にとって「使える」アドバイザリ情報の提供を目指す「IT INSIDER」シリーズの第17弾、「三木式 企業ITの傾向と対策 2013年版 後編」(PDF)では、こうしたIT業界の大きな動きについて解説しています
2つ目の例としては、ホンダやトヨタなどの自動車メーカーが進める、車載情報システムのインテリジェント化などを挙げることができる。運転ログ情報やDSRC通信などを活用したより高度なサービスが模索されている。ジェネラル・エレクトリック(GE)が2013年6月に発表した、産業機械に関する分析プラットフォームサービスもいい例だ。GEはPivotalのソフトウェアを活用したサービスを提供する。詳細は必ずしも明らかではないが、自社製品のユーザーに対する、燃料消費節約などの付加価値サービスを意図しているようだ。
3つ目の典型例としてはAmazon Web Services(AWS)を挙げていいかもしれない。
なお、GEとAWSは、ITユーザー兼プロバイダだと表現することが可能だ。こうしたユーザー兼プロバイダが次々に台頭することで、さまざまな業界におけるITのおせっかいは、次第に地に足のついた動きになっていくのかもしれない。
こうした、ITにおける最新トレンドについて、IT INSIDER No.17 「三木式 企業ITの傾向と対策 2013年版 後編」にまとめました。ぜひお読みください。
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