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デュアルスタック環境での名前解決(前編)Windows Server 2012 ×「ちょっとだけ連携」でネットワーク管理を便利に(8)(3/3 ページ)

これまで2回に渡って、デュアルスタック環境でのWindowsとネットワークデバイスの関係を、環境を構築しながら確認しました。今回は構築した環境を基に、IPv6ステートレス自動構成とDNSの関係を確認しましょう。

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DNSクライアントに対するDNSサーバのIPv6アドレス設定

 「リソースレコードの手動登録とダイナミックDNSによる自動登録」で確認したように、名前解決の動作は、製品やOSのバージョンによって異なります。ただし、いずれの場合も現在はDNSクエリそのものがIPv4でしか送受信できません。IPv6に完全移行するときのことも考慮し、IPv6でDNSサーバとクエリや応答の送受信ができるようにしましょう。

 具体的には、Windowsコンピュータやネットワークデバイスなどの各DNSクライアントに、DNSサーバのIPv6アドレスを設定します。これには、以下の方法があります。

(1)各DNSクライアントに手動で設定する

(2)ルータ広告メッセージでDNSサーバのIPアドレスを通知する

(3)DHCPv6サーバを構築し、DNSサーバのIPアドレスを通知する

 上記の3つのパターンのうち、(2)はレイヤ3スイッチやルータが、DNSサーバのIPアドレスをルータ広告で通知する機能(RFC6106「IPv6 Router Advertisement Options for DNS Configuration」)に対応する必要がありますが、この機能は必ずしもサポートされているとは限りません。

 このため、本連載では(1)(3)の方法を解説します。(1)は本稿で説明しますが、(3)はDHCPサーバの構築方法も含めて次回で解説します。

 WindowsコンピュータのDNSサーバのIPv6アドレスを手動で設定する場合は、図8の画面で[次のDNSサーバーのアドレスを使う]を有効にし、[優先DNSサーバー]にDNSサーバのIPv6アドレスを入力します。


図8

 図8の画面は、Windows 8およびWindows Server 2012ともに、以下の手順で表示します。

1.[コントロールパネル]−[ネットワークとインターネット]の[ネットワークの状態とタスクの表示]をクリックします。

2.[アダプターの設定の変更]をクリックします。

3.[イーサネット]を右クリックし、[プロパティ]を選択します。

4.[インターネットプロトコルバージョン6(TCP/IPv6)]を選択し、[プロパティ]をクリックします。


 シスコのルータや、レイヤ2およびレイヤ3スイッチの場合は、IPv4の時と同様にip name-serverコマンドを実行します。以下はL3SW1の例です。

L3SW1(config)#ip name-server fdf4:1b39:8777:2::100

 DNSサーバのIPv6アドレスを指定します。すべてのネットワークデバイスに本設定を行います。


L3SW1(config)#exit

L3SW1#show running-config | include ip name-server

ip name-server 10.1.2.100

ip name-server fdf4:1b39:8777:2::100

(以下省略)

 DNSサーバのIPv4アドレスは、連載第5回で手動設定したものです。今回の設定で、IPv4/v6両方のDNSサーバのIPアドレスを設定することができました。


L3SW1#configure terminal

L3SW1(config)#no ip name-server 10.1.2.100

L3SW1(config)#exit

 動作確認を行うため、DNSサーバのIPv4アドレスを削除し、確実にIPv6でDNSサーバにクエリを送信するように設定します。


L3SW1#ping server001

Translating "server001"...domain server (FDF4:1B39:8777:2::100) [OK]

 pingコマンドを実行すると、最初にDNSサーバにIPv6で名前解決を試みていることが、「domain server (FDF4:1B39:8777:2::100)」から確認できます。


Type escape sequence to abort.

Sending 5, 100-byte ICMP Echos to FDF4:1B39:8777:2:8413:DB4:FB70:C3D0, timeout is 2 seconds:

!!!!!

Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 0/1/9 ms

 !が表示されたため、名前解決とpingに成功していることが分かります。


L3SW1#configure terminal

L3SW1(config)# ip name-server 10.1.2.100

 動作確認のため削除したDNSサーバのIPv4アドレスを、登録し直します。


 動作確認ができたら、他のスイッチやルータにもip name-serverコマンドを実行し、DNSサーバのIPv6アドレスを追加指定します。これらの設定を行うと、DNSサーバとのDNSクエリと応答のやり取りが、IPv4だけでなくIPv6でも行えるようになります。

 しかし、このような手動設定に頼る方法はクライアントコンピュータに対しては現実的ではありません。そこで次回は、Windows Server 2012でDHCPサーバを構築し、DNSサーバのIPv6アドレスを自動配布できるような環境を作成しましょう。

著者プロフィール

山口 希美(やまぐち きみ)

エディフィストラーニング株式会社

ITインストラクター

エディフィストラーニング(旧社名NRIラーニングネットワーク)で、ネットワーク関連コース全般の企画・開発・実施、および書籍の執筆などを担当。同社で「理論と実装をバランスよく」をモットーに、実機演習中心のトレーニングを実施中。分かりやすさには定評がある。


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