転職エージェントを利用するメリットとは:エージェント徹底活用法(1)(2/2 ページ)
転職エージェントを利用すると高額な費用を請求される? 無理やり転職させられる? ブラック企業に売り飛ばされる???―― いえいえ、そんなことはありません。予備校が効率良い受験勉強を支援するように、あなたの転職活動を最適なものにする、それがエージェントの仕事なのです。
転職エージェントを利用するメリットの1つ目は「転職活動のプロセスを効率的・効果的に進められる」ことです。
良い家に引っ越ししたいときは不動産屋に行くように、病気を治すときには病院に行くように、課題を解決するためには、その道の専門家を訪ねるのが最も効率的かつ効果的な方法です。専門家は深い専門知識と数多くの事例を持っているため、課題に対して適切に対応できる可能性が高いからです。
もちろんヤブ医者という言葉があるように、肩書だけで内容は素人同然という専門家も少なくありません。ことに人材業界は参入障壁が低いため、素人同然のエージェントが多いことも事実です。ヤブをつかまないためには、多数のエージェントの中から、自分のパートナーになり得るのは誰かを見極める目が必要です。
転職活動がひとつのプロジェクトだとすれば、あなたはプロジェクトマネージャで、エージェントはPMOメンバー(プロジェクト要員)です。誰をPMOにするかでプロジェクトの成否が分かれますので、じっくり精査をしてパートナーを決めてください。
2つ目は「ひとりでは得られない情報を入手できる」です。
新卒時の就職活動では、ダイレクトメールやセミナーなどにより企業の情報を得られました。しかし転職活動では、得られる情報の量が就職活動のときより圧倒的に少なくなります。中途採用は通年で行われているケースが多く、どの企業もそれほど時間と予算を投下しないからです。また、転職活動は基本はひとりで行いますので、就職活動のように周りから情報を得られず、インターネットで過去の情報を収集するしかありません。
その点エージェントは、ネットでは収集できないリアルな情報を持っています。企業の人事や役職者と一定の頻度でコミュニケーションを取っていますし、転職希望者との面談で企業の実情もいろいろと聞いています。エージェントの中には、転職後も支援者と連絡を取りあったり、IT業界に友人が多い人もいたりするので、より深く精度の高い情報を持っている場合があります。こういった情報は転職希望者ひとりでは得られないものが多く、量も質も圧倒的に異なりますので、利用しない手はありません。
選考前や選考中に企業側の意見を聞ける点も見逃せません。自力で転職活動を進める場合は、選考通過にしろ見送りにしろ、ほとんどの場合、企業のフィードバックは得られません。しかしエージェント経由であれば、企業の本音を聞ける場合があるのです。
3つ目のメリットは「第3者の視点で意見をもらえる」です。
普段、仕事の相談は先輩や同僚にされていると思います。しかし、こと転職に関しては同じ会社の人には話しづらく、親しい友達や親兄弟に相談を持ちかけがちです。しかしほとんどの場合、働く業界が異なるために「どうすればよいのか?」という肝心かつ具体的な話まで行き着かず、仮に行き着いたとしても話が深まりません。また、親しい人にも話せない(話したくない)ことも多かれ少なかれありますので、全て本音で相談することは難しいでしょう。
その点エージェントは業界のことを良く知っていますので、今後どうすべきかを具体的にできますし、カウンセラーの機能も持ち合わせていますので、身内には話しづらいことも相談できます。親しい人だと言いにくい意見も、第三者として客観的に話してくれます。時には耳が痛いことも言われるかもしれませんが、面接で落とされるよりも、その前にアドバイスを聞いておく方がトータルでは有益です。
以上が、エージェント利用の3大メリットです。エージェントによりサービスの濃淡はありますので、何社か訪問してみて、ご自身にとってピッタリのエージェントを見つけてください。
エージェント徹底活用法、次回は「転職エージェントとは何か」について解説します。
筆者プロフィール 田中祐介
東京大学大学院を修了後、中堅SIerを経てアビームコンサルティングに入社し、IT企画や構想策定から開発、保守・運用まで、IT領域全般に携わる。現職のリーベルには「一人一人のパートナー」になりたいという想いを実現するために転職。リーダーや採用担当として培った"長所を発見する力"と、SIer・コンサルティングファームの両方の現場感覚を知る強みを生かし、個人と企業がWin-Winとなるマッチングを目指す。
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