転職エージェントを利用すると高額な費用を請求される? 無理やり転職させられる? ブラック企業に売り飛ばされる???―― いえいえ、そんなことはありません。予備校が効率良い受験勉強を支援するように、あなたの転職活動を最適なものにする、それがエージェントの仕事なのです。
エージェントの活用法、第1回は転職エージェントを利用するメリットをお伝えします。転職活動でエージェント利用することにはデメリットもありますが、総合的にはメリットの方が大きいと私は思います。ただ、どのような場合でもエージェント経由が良いというわけではありません。転職活動手段の種類とその特性を理解して、適切に使い分けてください。
転職先を見つける方法には、大きく分けて3種類あります。
最初の「自己」は、企業に直接応募することです。企業Webサイトの採用ページから応募したり、メールで窓口にレジュメを送付したり、転職サイト経由でやりとりしたり、転職フェアで人事にレジュメを手渡したり、いろいろな方法があります。どのような手段にしろ、転職希望者が企業に直接応募し、選考を進めることを言います。
「職業紹介」には、無料職業紹介と有料職業紹介があります。無料職業紹介はハローワークなどの公共機関が行っている職業紹介で、転職希望者/企業の双方に無償で転職や再就職の斡旋(あっせん)を行っています。
一般的に転職エージェントと呼ばれるのは有料職業紹介の方です。転職希望者には無償でサービスを提供し、転職が実現した際に企業から紹介手数料をもらいます。紹介手数料は、転職者の年収に一定の割合を乗じて算出するのが一般的ですが、固定されていることもあります。いずれにしても、転職希望者は無償でサービスを利用できますので、安心してください。
最後の「伝手」は、要はコネ。親兄弟や親戚などの身内や、友人や知り合いの紹介で求人に応募することです。最近は社員紹介制度――社員が友人や知り合いを自社に紹介する制度――を奨励している企業が多く、実際に入社する人も増えています。
では、それぞれの応募方法にはどのような特徴があるのでしょうか。ここではあえて職業紹介以外の方法のメリットをお伝えします。
伝手応募のメリットは、どの手段よりも内定率が高い点です。企業は、関係者の紹介ならば能力や信用面でのリスクが低いと考えますから、選考が甘くなり内定の可能性も高まります。
自己応募のメリットは、書類通過率が最も高い点です。特に、転職サイトで企業からオファーメールが来たり、転職フォーラムなどで人事と直接話をしてから応募する場合にその傾向が強く、多少レジュメの出来が不十分でも、まずは一次面接で話をしましょうとなるケースが多々あります。
ここまでを見ると、自己応募と伝手応募はそれぞれにメリットがあり、エージェントを介する必要はないように思えます。しかし、世の中にエージェントがあり、転職希望者が利用するからには、なんらかのメリットがあるはずです。
実は、自己応募と伝手応募のメリットには落とし穴があるのです。
自己応募は書類通過率が高いのですが、その後の選考プロセスを誰の助けも借りずに自力で乗り切る必要があります。働きながら企業のことを調べ、ニーズを想像し、面接対策を立てるのは非常に大変です。また、それらのピントが合っているのか、ずれているのかが自分ひとりでは分からないので、せっかく書類選考を通過しても、面接での通過率が下がりがちです。
伝手応募のデメリットは、通常の選考プロセスを経ずに転職できてしまう点です。スキルセットなどが転職先にマッチしていれば良いのですが、そうではない場合に悲劇が起こります。現場のマネージャは使えない人材を押し付けられたと不満を持ち、腫れ物に触るように接してきます。転職者自身もパフォーマンスが出せないし、紹介してくれた人の顔を立てるために辞めるに辞められない、という苦しい状況に陥ります。
採用選考は面倒なプロセスですが、企業と転職希望者のアンマッチを最小限に食い止めるための安全装置でもあるのです。選考の結果、希望の企業で不採用になったら悲しいのですが、見方を変えれば、合わない企業に転職してつらい状況になるのを未然に防げたともいえます。その安全装置を取り払うことは、転職活動そのものにおいては有利に働きますが、その後のことを考えるとリスクの高い行為と言えます。
これらの落とし穴は、エージェントを利用すると回避できる可能性が高くなります。
サービスの質やメニューはエージェントにより異なりますので、必ずしも全てのリスクを回避できるわけではありませんが、予備校に通うことで、実力に合った学校を選べ、独学よりも効率良く入学できるのと同様に、効率的かつリーズナブルに転職先を探し入社できる可能性が高くなるわけです。
エージェントを利用するメリットを挙げてみましょう。
具体的な内容は次回以降の記事でお伝えしますので、今回はその理由を簡単に説明しましょう。
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