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コラム

Oculus Rift、Unity、Openframeworks...感覚器官フル稼働の仮想空間を実現するUXレポート  IVRC 2013(3/3 ページ)

学生のアイデアを具現化するツールの進化・普及と、感覚器官をフルに使う人工現実感。表現とインターフェースについての学生の挑戦から「思い付き」を実現する環境のいまを知ろう。

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Openframeworksを利用した作品「じぶんしぼり」

 3種のZingies(慶応大学湘南藤沢キャンパス筧研究室、リンク)が開発した「じぶんしぼり」は、openframeworks(インタラクティブなメディア・アートのためのフリーの開発環境)を用いて開発されている。

 体験としては、まずカメラの前で全身を回転させ、スキャンさせる。その後、身体にモーターで制御されるベルトを巻き、小さなマネキン(両手で握れるぐらいの大きさの)を手にして、体験開始。


手に持ったコケシ型デバイスを絞ると、画面内の自分画像が絞られて、スリムになっていく

 マネキンを絞ると、「ぐにゃぐにゃ」感のある音がスピーカーから流れ、目の前のプロジェクターに投影された自分の身体がゆがんでいく。モーターがベルトを動かすことで、身体にも絞られる感覚がフィードバックされる。

 全身スキャンにはOpenframeworks上のスリットスキャンを用いて、全身を60分割している。モーターの制御はお馴染みのマイコンボード「Arduino」だ。マネキンの中には、ロータリーエンコーダー(どのぐらい絞ったかを検知するセンサー)が入っている。

 画面に映る映像が絞られていくところと、ロータリーエンコーダーから出力される数値、モーターが身体を絞る感覚がまるで「つながっている」かのように直感的に操作させるために、開発中の調整が繰り返されたという。

ツールの進化、低価格化とVR表現の高度化

 VRの研究とツールの進化は密接につながっている。ここ数年ではKinectの登場が衝撃的だったが、今年のOculus Riftの登場はそれに匹敵するかもしれない。

 Kinectは数百万円レベルだったDepthカメラ(奥行きを撮れるカメラ)を数万円にし、学生たちが自前でそろえられるぐらいにしたことで、VRの研究を身近なものにした。身近なものにしたことで、自由な発想で技術が使えるようになり、新しいコンテンツが日々生まれている。今回は詳しく触れなかったが、最終日には18歳以下だけが出場できるIVRCユース部門が開催されており、そこでも高校生たちが当然のようにKinectやWiiリモコンをハックした作品を展示していたのが印象的であった。

 Oculus Riftは、それまで数百万円規模だったヘッドトラッキング+両眼立体視のヘッドマウントディスプレイを数万円にしたことで、新しいコンテンツを生み出す環境になりつつある。同じ日本科学未来館で行われていたDCEXPOでは、同じくOculus Riftを使った「ミクミク握手」(リンク)の展示が大人気だったことも記憶に新しい。

 Leap Motion、360度カメラやKinect One、そして新しくKickstaterから生まれてくるさまざまなデバイスなど、ここ数年は低価格でフィジカルコンピューティングを実現するデバイスが続々と登場している。フィジカルな表現に必須のデバイスやツールがこなれてきてコモディティ化することで、学生のアイデアはより多様な表現を獲得する。

 次回のIVRCでは、さらに進化したツールによる「思い付きの実現」が見られるだろう。

著者プロフィール

高須 正和(@tks)

ウルトラテクノロジスト集団チームラボ/ニコニコ学会β幹事

 趣味モノづくりサークル「チームラボMAKE部」の発起人。未来を感じるものが好きで、さまざまなテクノロジー/サイエンス系イベントに出没。無駄に元気です。次のニコニコ学会βシンポジウムを12/21 土 六本木ニコファーレにて行います。乞うご期待!


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