通信費削減の切り札「格安SIMカード」はこう選べ(2015年12月改訂版):運用(3/3 ページ)
スマホは便利だが月額利用料が高くて……。そんな人は格安SIMカードの利用を検討してほしい。月額480円で使い放題のプランや音声通話定額プランなども登場。格安SIMカードのメリットとデメリット、活用法を解説する。2015年12月時点での情報を追加し、大幅な改訂を行った。
格安SIMカードを利用するための設定
格安SIMカードを利用するには、MVNOからSIMカードを購入し、それを端末に差す。まずSIMカードを台紙から外し、スマホの裏蓋を開けたり、SIMカードスロットを取り出しピンで抜き、SIMカードを差す(nano-SIMカードをmicro-SIMスロットに差す場合は、上述のアダプターに載せた上でスロットに挿す)。電源を入れるとSIMカードが認識されるはずだ。
通信キャリアのSIMカードであれば、自動的に端末側で設定が行われ、すぐに利用可能になるのだが、格安SIMカードでは手動で「APN(Access Point Name)」と呼ばれる携帯電話会社に関する設定を行わなければならない。Android 4.4(KitKat)の場合、[設定]−[その他の設定]−[モバイルネットワーク]−[アクセスポイント名]を開き、[APN]画面で[+]をタップ、[アクセスポイントの編集]画面で以下の設定を入力する。機種やAndroidのバージョンによっては、APNの設定までのメニュー構成が異なる場合もあるが、要はAPNに以下の設定を行い、そのAPNを有効にすればよい。なおiPhone/iPadの場合は、MVNOが配布しているAPN構成プロファイルを読み込ませるなどの設定が必要となる(構成プロファイルの設定方法は「Tech TIPS:NTTドコモ版iPhoneを格安SIMカードで利用する」参照のこと)。
Android 4.4の[APN]画面
[設定]−[その他の設定]−[モバイルネットワーク]−[アクセスポイント名]を開き、[APN]画面で[+]をタップする。
(1)[+]をタップして、IIJmio(MVNO)が指定したAPN設定を追加する。→[A]へ
[A]
Android 4.4の[アクセスポイントを編集]画面
ここで必要事項を設定する。名前とAPN、ユーザー名、パスワード、認証タイプ、MCC、MNCを設定すればよい。設定が完了したら[APN]画面に戻り、ここで設定したAPN名をタップして有効にする。
これでデータ通信が可能になる。IIJmioの場合、「みおぽん」というフルスピード/200kbpsの通信速度の切り替えが行えたり、フルスピードで通信可能な残り容量が分かったりするスマホアプリが提供されている(他のMVNOでも同様のツールを提供しているところがある)。ちなみにファミリーシェアプランでは最大3枚のSIMカードが提供され、合計10GB/月の容量までLTEのフルスピードでのデータ通信が可能となっているが、「みおぽん」を使うと、高速通信が欲しいスマホのみフルスピードに設定し、フルスピードが不要なスマホを200kbpsに固定するといった使い方ができる。
この「みおぽん」を使い、Xperia Z3でどの程度の通信速度になるのかを計測してみた。ちなみにYouTubeの視聴では、200kbpsに制限した状態で最低画質の「144p」が精いっぱい、フルスピードでは最高画質の「1080p」が可能であった。携帯電話の通信速度は、利用者数や時間帯、その場所でのネットワーク状況などによって大きく変わってくるので、あくまでも参考程度にしていただきたい。
IIJmioによるデータ通信速度の計測結果
「みおぽん」を使って200kbpsに制限した状態と、フルスピードで接続した状態の2通りで通信速度測定アプリ「RBB Today Speed Test」を使って計測した。200kbpsに制限しているものの、200kbpsよりも高いデータ通信速度を実現している。大きなファイルのダウンロードやストリーミングなどでは、フルスピードと200kbpsの速度差を感じるが、アプリが位置情報などをやりとりするような使い方では、200kbpsのスピードもそれほど気にならない(2015年5月末時点での計測結果)。
格安SIMカードのメリットとデメリット
タブレットや2台目のスマホなどは、3G/LTEによるデータ通信の頻度はそれほど多くない場合、通信容量が少ない格安SIMカードを選ぶと大幅に通信料金を引き下げることが可能だ。またアプリの更新をWi-Fi接続時に限定するように設定したり、YouTubeなどのストリーミングビデオの再生を行わないようにするなど、なるべく3G/LTEによるデータ通信を使わず、自宅や会社のWi-Fiを活用するように工夫すれば、意外と2GB/月や3GB/月程度でも十分だ。
またメールの確認やスマホアプリで電車の乗り換えを調べたりといった用途ならば200kbpsでも十分だし、都内のターミナル駅ではネットワーク自体が混雑していることも多く、ファイルのダウンロードやストリーミングビデオ(ターミナルや都内の電車内では3G接続でも再生が厳しいが)を除けば、フルスピードでも200kbpsでも使い勝手の上では違いをあまり感じない。
格安SIMカード側も当初はデータ通信専用であったものが、最近ではSMSや音声通話も可能なサービスが用意されるなど、サービスが拡充しており、用途や利用環境に合わせたものが選択可能となっている。利用可能なデータ通信量も、料金が据え置かれた状態で、1GBだったサービスが現在は3GBに引き上げられるなど、コストパフォーマンスが上がっている。携帯電話会社にはない「使い放題プラン」など、ヘビーユーザーが便利なサービスも登場してきている。
最近では携帯電話各社とも、音声通話のかけ放題とデータ通信の定額サービスを組み合わせた料金プランに移行してきており、ほとんど音声通話を行わない人にとっては実質的な利用料金の値上げとなっている。前述のように格安SIMカードであっても、音声通話が可能になっており、MNPによって利用中の電話番号を引き継いで格安SIMカードに移行することも可能だ。制限はあっても、使い方や工夫次第でデータ通信費を大幅にカットできる格安SIMカードをぜひ検討してみてほしい。
「運用」
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