re:Inventで発表になった新サービス、新機能の本当のところ:AWS情報アップデート 新リリースレポート(1/2 ページ)
あけり先生が、AWSの新発表サービスをざっと総評。これから何ができるか、ファーストインプレッションで斬っていきます。
AWSの年次イベントである「re:Invent」では数多くのサービスが発表されました。まず今回の発表されたもので、全く新しいサービスはこの4つです。
- Amazon Workspaces
- Amazon Kinesis
- Amazon AppStream
- AWS CloudTrail
この他、既存サービスのアップデートに関するものは以下の通りです。
- AWS Test Drive追加
- Amazon RDS for PostgreSQL
- Fine-Grained Access Control DynamoDB
- DynamoDB global secondary index
- c3 Instance type
- i2 Instnace type
- g2 Instance type
- Amazon RDS Cross-Region Read Replicas
- Cross-Region Snapshot Copy for Amazon Redshift
まだまだ細かいものはありますが、大きくはこんなものかと思います。これらの新サービス、新機能を1つずつ見ていきましょう
Amazon WorkSpaces
Amazon WorkSpaceはいわゆるVDIですね。こちらは、現在のところ、LimitedPreviewに申し込むと順次使えるようになるらしいのですが、まだ使うことができていないので、聞いた話などを基に妄想したにすぎないのですが……。
もし自分用のコンピューターをクラウド化すれば、従来の「リース」モデルとは違ったコストモデルを構築できるような気がします。また、テレワークのようなワークスタイルでも活用できそうです。会社とまったく同じ環境が、家のパソコン、カフェで広げたラップトップ、電車で利用しているタブレットなど、場所もデバイスもまたいで使えるんです。すごいですね。
シンクライアントのシステムを導入し、運用することを考えたらすごく安い金額で使えるようになったサービスです。私個人の意見としては、modern.IEと仲良くしてくれるとうれしいななんて、思ったりもします。
Amazon Kinesis
私の中で、今回一番の注目のサービスがこのAmazon Kinesisです。2012年にリリースされたDataPipelineはバッチのサービスでした。しかしkinesisはストリーミングのサービスです。
実は、今回のKinesisと比較すべきはDataPipelineではありません。ストリーミングでデータを処理する難しさは、[データ受け付け]→[処理する]というところのバッファをどう持つかにあると考えます。
Amazon Kineisのユースケースを見ると、ログの解析や機械学習と言われていたりして、Data PipelineやEMRと似ていそうですが、実はこれらとは概念が全然違うものです。ため込んだデータに対して処理を行うのではなく、逐次処理が可能なものです。
Kinesisは“受け付ける部分は面倒を見るから、見合った量のEC2で処理を行ってね♪”なサービスのようです。
EC2での処理のためにKinesis Client Libraryというライブラリも提供されています。何だかAmazon SimpleWorkflowServiceに似ています。
シンプルにデータ処理用のアプリケーションを作ることができるので、スケーリングも簡単にでき、手軽に分散処理ができるようになります。分散処理で面倒な部分はKinesisが面倒見てくれるので、EC2間で分散処理のための面倒なプロトコルを喋らせる必要がないのはすごく嬉しいことです。
ここは筆者が個人的に一番注目しているサービスなので、もう少し掘り下げましょう。
ユースケースでは機械学習と言いましたが、Kinesisとベイズ理論の相性は、非常に良いのではないかと私は考えています。
小売サービスの方のAmazon.comのレコメンドエンジンは、協調フィルタリングアルゴリズムだといわれていますが、この発表を受けて、近いうちにベイズ理論を使ったものに置き換える、もしくはハイブリッドのものになるのではないかと推測し、1人でニヤついています。
Amazon AppStream
AppStreamの第一印象は「WorkSpacesと同じもの?」というのが正直なところです。
VMWareを使っている人ならその中の機能である「ユニティモード」を使ったことがあるかもしれません。WorkspacesもプロトコルにPCoIPを使っていることから、VMWareのユニティモードを想像しました。WorkspacesがOSを丸ごと描画するのに対して、AppStreamはアプリケーション単位での描画になるイメージです。
AppStreamのメリットはたくさんあると感じています。まずは、デバイスごとの違いを吸収してくれるので、1つのアプリケーションを作れば、さまざまな端末で動くアプリケーションになるということです。余計なデバッグがなくなれば、新機能の追加などに専念することができるはずです。
他にも、アプリケーションのアップデートが非常に簡単になります。クラウド側にデプロイすれば、すべてのクライアントで最新のアプリケーションが動くのです。
もう1つ、高性能でないタブレットをも対象にすることができるようになります。いままで3次元グラフィックスなゲームにはある程度の端末の性能が求められていました。しかしAppStreamがあれば、性能の高くない端末でもさまざまなアプリケーションが動かせるようになります。
こうした一連の技術開発の流れから、「もしかしたら次世代のKindle Fireは、端末自体のハイスペックさを追求するのではなく、安価な部品を使った低価格ラインアップで、1万円を切ってくるんじゃないかな?」なんて変な期待もしてしまっています。
AWS CloudTrail
こちらはここまでの3つと違い、かなりエンタープライズに寄ったサービスだと思います。今はまだUS-East-1、US-West-2の2つのリージョンに限られています。
このCloudTrailが登場したことによって、誰が、いつ、どこからAPIにアクセスしたのかという履歴(ログ)が保存されるようになります。そうすることによって、不正なアクセスを検知できたり、コンプライアンスの問題に対応できたりしそうです。
保存した時にはSNSに通知できるようなので、AutoScalingをトリガーとしてEC2を起動し処理するといったこともできそうです。
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