思考の癖を把握して効果的に評価する(後編):ITエンジニアのチームリーダーシップ実践講座(7)(1/4 ページ)
用語の定義にこだわる人は正確な事実を知りたがり、設計書の目次に注目する人はコンセプトを大切にする―― メンバーの思考の癖を把握して、効果的に評価する方法を伝授しよう
※この連載は、『ITエンジニアのためのチームリーダーシップ実践講座』(上村有子著)の第1章〜第3章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。
前回は、あなたが日常指示を与えたり仕事の説明をしたりする相手のタイプ分けを、BLE(価値観の違い)やNLP(深層心理)で行いました。今回は、第5回「自分の性格や思考の癖を把握しよう」で紹介したHBDI(ハーマンモデル)を活用して、相手の思考タイプを推測します。
HBDI(思考の癖)HBDI(思考の癖)
早速、診断してみましょう。
以下に10の場面を用意しました。あなたが仕事を一緒にしている人物Xさんを思い浮かべ、場面ごとに、Xさんの日頃の仕事や考え方が当てはまる項目(または近い項目)に○を付けてください。項目が4つありますが、4つのうちどれかではなく、該当するもの全てに○を付けます。
【1】システム設計時
(1)設計書で使う用語の定義にこだわる
(2)設計書内に含める項目を、細部にわたって洗い出すのが得意
(3)入力画面や帳票設計などのマシンインターフェースにこだわる
(4)設計書の目次に当たる全体の構成を、まずはきちんと定義する
【2】オフィスのネットワークプリンターの不調時
(1)エラーログやイベントビューなど、まずはデータを確認する
(2)取りあえず、プリンター(機械)の所まで行って、紙詰まりやパネルのメッセージなどを確認する
(3)他に困っている人がいないか、周囲に声を掛ける
(4)サーバーやネットワークなど、自分で考えつくものをまず全体的に見てから、行動を起こす
【3】システムのトラブルシュート時
(1)原因究明の後、仮説を立て、可能な限りシミュレーションをしてからトラブルシュートに着手する
(2)ステップバイステップで、少しずつ様子を見ながら問題を解決していく
(3)自分のグループや協力会社のスタッフなど、うまく役割分担をして作業に当たる
(4)今回のトラブルの背景や、今後トラブルから派生することが気になる
【4】チームでの作業時
(1)システムのフィージビリティスタディなど、検証や調査が得意
(2)コーディング規約をまとめたり、管理資料を作るのが得意
(3)チーム内のサポート役に回りがち
(4)イニシアチブを発揮して、実績のない仕事でも物おじしない
【5】Xさんに、ファイルの管理を任せると?
(1)ディスク容量やアクセス権設定など、技術要素を気にする
(2)案件ごとにフォルダーを分け、階層構造などをきちんと整理する
(3)共有フォルダーの使い方など、情報共有に関心が向く
(4)最初はしっかりとやり始めるが、わりとすぐに飽きて、放ったらかしになりがち
【6】ITのカンファレンスに参加するとき
(1)スピーカーや協賛企業、スポンサーなどといった関連団体にも興味を示す
(2)キーノートスピーチなど、カンファレンスのコンセプトに興味を示す
(3)マニアックなテーマのセッションに興味を示す
(4)可能なかぎりスケジュールを詰めて、片っ端からセッションに参加する
【7】新しい技術の習得時
(1)先輩からハンズオンで教わるのが最も合っている
(2)対象の製品や技術について、全体の体系を最初に把握する
(3)スペックを読むなど、対象の製品や技術を一通り下調べしてから着手する
(4)確認事項や操作手順などをあらかじめリストアップして、1つ1つ確かめながら進める
【8】新しいハードウェア製品やシステムソリューションの導入を検討するとき
(1)操作性に注目する
(2)先進性に注目する
(3)性能に注目する
(4)堅牢性に注目する
【9】プログラムのテストについて
(1)1人でやれというと、なかなかやり始めない
(2)わりと詰めが甘い(きちんとしたテストは苦手)
(3)データを渡してテストケースの設計を考えさせると興味を示す
(4)テストケースの場合分けなど、詳細まで抜け漏れなく行う
【10】最近システム開発を一緒にし始めた協力会社のスタッフに対して
(1)気持ちよく仕事できるよう、気配りする
(2)組織の別などにこだわりなく、気さくに話し掛ける
(3)仕事に必要な会話しか交わさない
(4)会社対会社として、けじめを付けて接する
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