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「もう政治に興味はない」堀江貴文氏が語る世の中がメンドくさい理由誰が業務アプリを殺すのか(2/2 ページ)

「スマホがあれば、紙もプラスチックカードもいらない。ニーズがあれば法律も変えられる。政治なんて時間の無駄、技術でそうせざるを得ない状況に追い込め!」――8年ぶりにITの世界に帰ってきたホリエモンこと堀江貴文氏は、会場を埋め尽くすフリーエンジニアたちをギロリとにらみ、せきを切ったように話しだした。

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スマホのスゴさを理解しているか?


「紙のレシートもプラスチックカードもすぐなくしてしまうけれど、スマホは1度しかなくしたことがない(その後、すぐに見つかった)」

 堀江氏は続いて、手元にある「スマートフォン」の可能性について述べた。堀江氏はNTTドコモ「iモード」のサービス開始当初からコンテンツ制作に携わり、カレンダー情報やメモを共有するサービスを提供していた。「紙の手帳を捨ててもう15年くらい。エンジニアで今も紙の手帳を使っているような人は信じられない。紙はなくすけど、スマホでオンラインに置いておけばなくさない」と、クラウド/ASPの有用性を説いた。

 「クラウドというとセキュリティの問題が、と言ってくる人も多いけど、ぶっちゃけ、客先にサーバーを置く方が不安。停電の問題とか、内部犯行の問題とか。クラウドに置いておけば、何か起きてもクラウド会社のせいにできるよ(苦笑)」と堀江氏は述べる。

 ネット上に新たなサービスを作る場合、以前に比べサーバーリソースの確保が簡単になった。「先日、グノシーの社長からプログラミングについての話を聞いたんだけど、最近は連想配列の使い方が半端なくて、ものすごい量の文字列を入れ込んでメモリ制限に悩んでる、って。どう解決したのか聞いたら、『メモリを増やした』。富豪プログラミングだね」。

 メモリやCPUリソースを潤沢に使う富豪プログラミングは、PCの世界では問題がないだろうと指摘する。しかし、高速化したとはいえリソースの制限があるスマートフォンアプリの製作には、昔ながらの技術力が必要だろう、と言う。「昔のプログラマーはif文の分岐においても、メモリジャンプするかしないかを想定しながらコーディングし、チューニングを行っていた。そういうことができるエンジニアこそ質の高い人材で、競争力の源になる」。

 堀江氏はスマートフォンが開く世界に期待をしている。「スマートフォンは世界が違う。これはもうPC。でもユーザーはPCだと思っていなくて、電話のえらいヤツだと思っている。スマートフォンは、レイトマジョリティをだましてPCを買わせたことがスゴイ。PCなんてできませーん、っていう層をだまして、UNIXをみんなに持たせたんだよ。これは革新的なことだよ」。

「堀江さん、なんで未来が読めるのですか?」

 最後に堀江氏は、自身の情報収集術についての考え方に触れた。「堀江さん、なんで未来が分かるんですかって言われることがあるんだけど、それは単に情報収集をしているから」と述べる。

 堀江氏の情報源は、Facebook、Twitterにおける、信頼できる知人からなのだそうだ。そこからいくつかのエピソードを紹介してもらったら、自身のブログに書き出すという。「仕入れた情報を出し惜しみするような人間ではない。スゴイと思ったら書く。社会にとっていいネタだと思ったら、ノウハウをどんどん書いていく」。人より情報を持つこと、それこそが未来を知ると同義なのだという。

 堀江氏はエンジニアは未来を知るために、情報を手に入れるべきだと述べる。同時に、知り得た情報を手にし、自らが動き、それを生かすことが重要だと指摘する。「これからはスマートフォンアプリの時代が来て、それが生活の基本になる。みんなだまされて手のひらに載るPCを持っているのだから、それをベースとして世の中を組み立てていかないといけない。生活をシフトさせるようなものを作らないと、世の中はドラスティックに変化しない。不便なところが変わらない」。

 「例えばハイヤー配車サービスのUber。アプリをダウンロードして今すぐ使ってみてほしい。事前にクレジットカードを登録しておけば、支払いもオートチェックアウト。こういうサービスが欲しいんだよ。エンジニアには、仕事のためにコーディングしてほしくない。イノベーションの種を見つけて、改善することを目指してほしい。そうじゃなきゃ、エンジニアをやってる意味なんかないよ」と堀江氏はげきを飛ばす。

 「エンジニアはプログラミング能力を持っているという意味で、普通の人が越えられない壁をすでに越えている。われわれからすると自転車に乗れる、っていう程度のスキルなんだけど(笑)。せっかくチャンスがあるのだから、どんどん面白いアプリ、サービスを世に出して、世界を変えてほしい。この会場に来ている方はフリーランスが多いと聞いている。自由意思でいろんなことができる人たちだ。いろんなことにチャレンジしてほしい」。

政治なんて時間の無駄、技術で「そうせざるを得ない状況に追い込め」

 堀江氏が2005年、衆議院選挙に立候補したことを覚えている方も多いだろう。質疑応答で再度政治家を目指す可能性を問われた堀江氏は「考えていない。そんな無駄な時間の使い方はしたくない」とばっさり切り捨てる。この社会の「めんどくささ」を政治の力で変えるのではなく、別の方法を考えているようだ。

 「レシートがないと確定申告で困るという人がいるが、個人事業主レベルなら(クラウド会計サービスの)freeeやマネーフォワードでクレジットカード決済すればいい。個人事業主の人たちがよく確定申告の時期に大変だと騒いでいるけど、自分の時給を考えたら税理士に丸投げした方がいい。もしくはfreeeやマネーフォワードを使う。そうすれば、行政のルールの方が変わってくれる。技術オリエンテッドで行政を変えればいい」。

 堀江氏はスマートフォンの普及で、航空機内の機内Wi-Fi利用などのデジタル機器利用ルールが緩和されつつある今の状況や、自動運転の自動車が公道を走れるようになるであろう、技術が世の中の動きを変える未来を予測する。

 「技術が大きく世の中を変えていく時代が来るはず。政治や行政なんかは、大きな技術の波を作れば変わります。皆さんはそういうことができるスキルを持っているので、そっちから変えていった方が手っ取り早い。政治の人たちってややこしいんで(笑)。彼らがそうせざるを得ない状況に追い込むのがいいんじゃないか」。

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