ヴイエムウェアが年内に日本でIaaS提供開始、ユーザーにとっての意味は:まずソフトバンクグループと提携
ヴイエムウェアは7月15日、2014年第4四半期中に、日本国内のデータセンターを開設、あわせて同社のクラウドサービス「VMware vCloud Hybrid Service(vCHS)」を、日本国内で提供すると発表した。これは事実上、エンタープライズ専用のクラウドサービスだ。
ヴイエムウェアは7月15日、2014年第4四半期中に、日本国内のデータセンターを開設、あわせて同社のクラウドサービス「VMware vCloud Hybrid Service(vCHS)」を、日本国内で提供すると発表した。
vCHSはヴイエムウェアが運用するIaaS。同社は2013年に米国のデータセンター4拠点でサービスを開始、その後英国にデータセンターを開設した。今回、3カ国目として同社は日本を選択した(英国では今週、第2のデータセンターを開設)。もちろんアジア太平洋地域では最初のデータセンター所在国ということになる。新サービスを発表した米ヴイエムウェアCEO、パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏は、ガートナーの調査を基に、日本はアジア太平洋で最大のクラウド市場を形成しており、その年平均成長率は24%だ」と、日本市場への期待を露わにした。
vCHSについて詳しくは、米国での発表時の記事をご覧いただきたいが、これはAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Compute Engineなどと異なり、事実上エンタープライズ専用といっていいサービスだ。その1つの表れとして、vCHSの料金体系は完全な従量制ではない。ユーザー組織は、最低限の提供リソースで構成されるリソースパック的なものを契約、超過分を追加的に支払う仕組みになっている。VMware vSphereを社内ですでに運用している組織にとって便利なものにいて、基本的にはアプリケーションに変更を加えることなく、社内からvCHSへ移行、またその逆にvCHSから社内に移行することができる点や、これまでの社内におけるITインフラ運用の手法およびポリシーをvCHSにそのまま適用できる点などを、重要なセールスポイントとしている。
vCHSは既存のヴイエムウェアのリセラーが「サービス商品」として販売する。このためユーザー組織は、社内ITインフラとクラウドについて、統合的なサポートを受けられるという。
日本国内のデータセンターから提供されるサービスは、米国や英国のデータセンターから提供されるものと同一。日本の顧客は、アプリケーションの目的やユーザー対象などに応じ、世界中のデータセンターから任意に選択して利用できる。ただし、オプションサービスは段階的に追加されていくことになる。当初から提供されるのはディザスタリカバリサービス。その後PaaSのCloud FoundryやDaaSのサービスが追加される。
ヴイエムウェア日本法人の代表取締役社長、三木泰雄氏は、VMware vSphereやvCloud Directorを採用して同社のパートナーが提供している既存のIaaSと競合するものではなく、補完関係にあることを強調した。例えばパートナーは自社のクラウドから、vCHSのディザスタリカバリサービスを利用するようなサービス商品を企画・提供することも可能としている。
ヴイエムウェアは以前より、vCHSのアジアでの展開に関連し、パートナーのデータセンターリソースを活用するとしていた。その言葉通り、同社は今回ソフトバンクグループとクラウドサービス運用のための合弁会社を設立。ソフトバンクテレコムがデータセンター施設の運営およびネットワークサービスの提供を行う(IaaSを運用・提供するのはあくまでヴイエムウェア)。また、ソフトバンク コマース&サービスは、vCHSの販売に力を入れることになる。ただし、ヴイエムウェアでは、ソフトバンクグループ以外のパートナーと同様な取り組みを行う可能性を否定していない。
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