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講師も悩む――セキュリティ・キャンプ「選考」のやり方セキュリティ業界、1440度(9)(2/2 ページ)

2014年6月、セキュリティ・キャンプ全国大会2014の参加者選考が行なわれました。枠は限られているので、参加者を厳しく選考しなくてはなりません。そこには、講師なりの苦労があるのです。

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開発テーマへの思いをどうくみ取る?

 次に「開発テーマへの熱意とこれまでの活動実績」を重視しています。開発テーマの設定は、講師もかなり頭をひねり、打ち合わせも重ねて用意しています。なので、その思い入れに答えるような応募というのは、やはり心が動かされます。

 特に、システムソフトウェアと呼ばれるオペレーティングシステム(OS)、仮想化技術(VM)などに興味を持ってくれる若年層はあまり多くありませんし、その中でさらにセキュリティもやりたいという人は相当「ニッチ」でしょう。

 ただ、キャンプをキッカケにセキュリティに目覚めてもらえればそれでよい、とも思っていますので、この開発テーマについてどのような思いで取り組むか、というアピールはけっこう重視しています。当然、こういうアピールには、これまでの活動実績が効いてきます。

「ギーク」「こだわり」は大きなカギとなる

 最後に、「面白そうな雰囲気(こだわり)」についてです。これは、GitHubのアクティビティだったり、応募用紙に書いてある「どうしてそういうプログラムを作ったのか?」というアピールからのインプレッションで、端的に言えば、“ギーク”な雰囲気です。セキュリティ・キャンプには、講師をはじめそういう雰囲気を持った人がたくさん集まりますし、ちょっと学校の友達とはなじめない、そういう人にぜひ、参加して仲間を作ってほしいという意図もあります。

 私のゼミでは、このような感じで候補者を選定しました。もしかするとキャンプ全体にいえることかもしれませんが、単純に「勉強したいです」という人は、なかなか選考しにくいです。それ以上にインパクトのある、そして将来性を感じさせてくれる人が多数応募してくるからです。


 最後に、これからセキュリティ・キャンプに応募しようとしてくれる方にアドバイスがあります。それは、「プログラミングを避けないこと」です。

 今のところ、4クラスのうち3クラスが、応募者に何らかのプログラミング能力を求めています。とりあえず1年あればOSだって作れます(だって30日で作れますし!)。とにかく、なんでもいいので「自分のためのプログラミング」をやってみることです。

 そして、セキュリティ・キャンプに参加したいのなら、日頃からもっともっとセキュリティに関心を向けてみる、ということも重要でしょう。手を動かしていれば、来年には講師の方から「この人はセキュリティ・キャンプに参加してもらわなきゃ!」と思うような、そんな若者におのずとなるのではと思います。

「セキュリティ業界、1440度」バックナンバー

株式会社FFRI

FFRIは日本においてトップレベルのセキュリティリサーチチームを作り、IT社会に貢献すべく2007年に設立。日々進化しているサイバー攻撃技術を独自の視点で分析し、日本国内で対策技術の研究開発に取り組んでいる。その研究内容は国際的なセキュリティカンファレンスで継続的に発表し、海外でも高い評価を受けており、これらの研究から得た知見やノウハウを製品やサービスとして提供している。


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