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API公開、そしてクラウド化――ECサイトの未来とは1ミリ秒でも早く〜次世代Web技術が支えるこれからのEコマース(5)(2/2 ページ)

Eコマースサイトをより高速に、快適なものにするためのポイントをエンジニア視点で紹介してきたこの連載も最終回。最後に、これからのEコマースサイトの在り方を見ていきましょう。

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API公開が差別化につながる?

 最後に、Eコマースサイトのこれからについて見ていきましょう。Eコマースのクラウド化に関連する最近の大きな話題として、Elastic Pathにおける大規模投資とプラットフォーム構築がありました(図8)。


図8 Elastic PathのEコマースプラットフォーム構築への大規模投資を報じるTechCrunchの記事

 Elastic Pathでは「API連携によるEコマース大規模プラットフォーム」の構築が行われ、さまざまなビジネス領域でサービス提供が開始されています。オンデマンドビデオへのコンテンツ課金やデバイスを選ばないシステム対応など、その手法は多岐にわたっています。

 他にも規模の大小はありますが、commercetoolsやMatlinなども、API連携によりEコマースプラットフォームの提供を積極的に進めています(図9)。


図9 API連携によるEコマースプラットフォームとソースコード公開

 これらEコマースのクラウド化で特徴的なことは、API連携のためのソースコードがGitHubで公開され、惜しみなく提供されている点です。Eコマースサイトに必要とされる機能をいち早く開発し、取り入れるために、日夜機能強化と新たなシステムモデルの提案がなされています。

ECパッケージソフトからクラウド化への流れ

 Eコマースのクラウド化は、まだまだ始まったばかりの状況ではありますが、今後を占う意味も含めて、既存のECパッケージソフトウェアとEC PaaSの比較を行ってみましょう(図10)。


図10 Eコマースのクラウド化と既存技術との比較

 最も大きな違いは、「固定資産を持つ」か「使った分だけの課金」であるかです。昨今のクラウド化の流れと同じく、「設備を持つ」か「設備を持たない」かの違いが現れてきます。

 続いて、システム性能限界の違いです。ECパッケージソフトウェアを使って構築された単一システムは、ソフトウェアとシステム資源の両側面で性能限界を内包しています。EC PaaSの場合、多くのシステムでは最初から性能のスケールアウト要件を設計に盛り込んでいるため、この点を気にする必要がないことが挙げられます。

 付随して、より大規模なトラフィックに追従するためのCDN(コンテンツ配信ネットワーク)対応などの違いも挙げられます(図11)。


図11 CDN(コンテンツ配信ネットワーク)のシステム構築例

 Eコマースサイトのクラウド化と従来からのニーズを総合的に整理すると、図12のような未来を描くことができるでしょう。

 オススメ商品を提示するレコメンド機能、集団購入によるディスカウント、サブスクリプションによる予約購入、ユーザー参加型の商品開発と販売、期間限定によるフラッシュセールスなど、ビジネストレンドを新しいキャンペーンのために柔軟・迅速に盛り込みつつ、設備投資を抑え、使った分だけの料金を支払うという未来も近いうちに実現されると筆者は期待しています。


図12 Eコマースサイトの未来とクラウド化

 Eコマースビジネスは10年以上を経過しているいまでも成長を続ける、IT業界でも珍しい分野の一つです。その足取りはゆっくりではありますが着実に新しい技術やビジネスを取り込み、成長を続けています。


 この連載では、普段はあまり見ることがないEコマースサイトの裏側について紹介しました。今回で最終回となりますが、Eコマースを支える技術動向を少しでもご理解頂けましたら幸いです。

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