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新しいHyper-Vは「チェックポイント」が変わる!vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(5)(2/3 ページ)

Windows Server Technical Previewの「Hyper-V」には、さまざまな新機能と強化点がすでに実装されており、実機で評価できます。今回は、Hyper-Vの「チェックポイント」機能に注目し、現行バージョンと比較しながら、新バージョンの新機能や変更点を探ります。

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運用向けの新機能“運用チェックポイント”は実行状態を保存しない

 ここまでは、Windows Server 2012 R2 Hyper-Vまでのチェックポイントの話でした。続いては次期サーバーOS、Windows Server Technical Preview Hyper-Vのチェックポイント機能を見てみましょう。

 Windows Server Technical Preview Hyper-Vでは、「運用チェックポイント(Production Checkpoints)」という新機能が追加されています。従来のチェックポイントも引き続き利用可能で、こちらは「標準チェックポイント(Standard Checkpoints)」と呼びます。Windows Server Technical Preview Hyper-Vで作成した仮想マシンは、既定で運用チェックポイントを作成しようとします(画面4)。

画面4
画面4 Windows Server Technical Preview Hyper-Vは、既定で運用チェックポイントを作成する

 ひと目で分かる運用チェックポイントと標準チェックポイントの違いは、“運用チェックポイントが実行中の状態を保存しない”という点です。運用チェックポイントには実行中の状態は含まれないため、作成済みのチェックポイントを選択してもコンソール画面のサムネイルは表示されません。

 運用チェックポイントを適用した仮想マシンは、実行中の状態が復元されることはなく、常にオフの状態から開始することになります(画面5)。なお、オフ状態の仮想マシンに対してチェックポイントを作成した場合は、運用チェックポイントと標準チェックポイントで保存される内容に違いはありません。

画面5
画面5 運用チェックポイントは実行中の状態を含まないため、チェックポイント適用後は通常のWindowsの起動から始まる

 実行中の仮想マシンで運用チェックポイントを作成した場合、チェックポイントの作成に仮想マシンのゲストOS側のバックアップテクノロジ「ボリュームシャドウコピーサービス(Volume Shadow copy Service)」(以下、VSS)が使用されます。

 運用チェックポイントで保存される仮想ハードディスクの状態は、「Windows Serverバックアップ」を使用したHyper-Vホスト側から実行中の仮想マシンのVSSバックアップや、Hyper-Vレプリカにおける「ボリュームシャトウコピーサービス(VSS)スナップショット」の作成、Azure Site Recoveryにおける「アプリケーションの整合性スナップショット(Application Consistent Snapshots)」で作成される仮想ハードディスクのチェックポイントと同じ仕組みで取得されます。

 Windows仮想マシンの場合は、“アプリケーションデータ”の整合性のあるディスクイメージが保存されます。Linux仮想マシンの場合は、“ファイルシステム”と整合性のある(Linuxゲストで「flush」コマンドを実行したのと同等の)ディスクイメージが保存されます。

 運用チェックポイントは、仮想マシンのゲストOS側のVSSに依存するため、VSSを利用できない状態、例えばゲストOSの起動中や保存状態の仮想マシンに対しては作成できず、従来の標準チェックポイントが作成されます。仮想マシンのプロパティで統合サービスの「Backup(volume shadow copy)」サービスをオフにした場合も、運用チェックポイントではなく、標準チェックポイントが作成されます(画面6)。

画面6
画面6 統合サービスの「Backup(volume shadow copy)」をオフにすると、運用チェックポイントは作成されなくなる

 運用チェックポイントの作成を開始すると、Hyper-Vホスト側の「Microsoft Hyper-V VSS Writer」が仮想マシンのゲストOS側のVSSと連携して、アプリケーションと整合性のある仮想ハードディスクのイメージを取得します。その際、SQL Server用のVSS Writerなど、ゲストOS側のVSS Writerの一部が失敗やエラーを報告することがありますが、これは想定された動作のようです(画面7)。

画面7
画面7 運用チェックポイント作成時、ゲスト側のSQL Server用のVSS Writerがエラーを報告するのは想定された動作

 Windows Serverバックアップによる仮想マシンのVSSバックアップや、Hyper-VレプリカやAzure Site Recoveryのスナップショット作成の際にも同様のエラーが発生します。詳しくは、以下のサポート技術情報を参照してください。

 運用チェックポイントは、運用環境におけるチェックポイントの課題を全て解決するものではないことに注意してください。例えば、Windows Server 2008 R2以前のドメインコントローラーを実行する仮想マシンの場合、運用チェックポイントの適用後に仮想マシンを開始すると、従来のチェックポイントの適用の場合と同様に、ディレクトリの不整合が発生する可能性があります。

 運用チェックポイントの適用は、仮想マシンをバックアップから復元したのと同等です。仮想化のセーフガード機能を持たないドメインコントローラーの場合、ドメインコントローラーを仮想マシンのバックアップから復元する場合は、物理コンピューターと同じように「ディレクトリサービス復元モード」で起動してディレクトリの復旧作業をするのが原則です。

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