vCloud Air Disaster Recoveryとは何か、どう使えるか:vCloud Air入門(2)(3/3 ページ)
vCloud Airの使い方を紹介する本連載。第二回の今回はメニューの一つとして注目を集める「vCloud Air Disaster Recovery」の使用方法や注意点を紹介します。ディザスターリカバリ対策でどのように使えるか、検討する際の指針も併せて紹介します。
vCloud Air DRの使い方〜運用編〜
最後に、vCloud Air DRを使った場合の運用実務について見ていきます。
ここでは実際にリカバリを実施してみましょう。リカバリについては、テストリカバリと本番リカバリの二種類があります。本稿では両方とも実施していきます。
テストリカバリの手順
vCloud Air DRでは回数無制限で切り替えテストが可能です。
切り替えテストを行うには、まず、ヴイエムウェア社に切り替えテスト環境の設定を依頼します(Support Request経由で申請)。
次に、メインサイト側からテストを実施する場合、vSphere Web Clientから「レプリケーション設定」画面で、該当の仮想マシンの「テストリカバリ」を選択します。
災害などでメインサイトがダウンして利用できないケースで、vCloud Air側からテストリカバリを実施する場合は、vCloud Airのポータルサイトにログインし、Disaster Recoveryの「組織」から仮想マシンを選択し、「Test」を選択します。
上記手順を実行すると、vCloud Air上でリカバリされた仮想マシンが起動します。起動するマシンは、本稿で設定したテストリカバリのネットワークに接続された状態で立ち上がります。
本番リカバリの手順
次に、本番のリカバリ時の手順を見ていきましょう。前述のテストリカバリでは、事前にヴイエムウェア社に切り替え依頼をしてから実施しましたが、実際のディザスターリカバリの際は、ヴイエムウェア社側への切り替え依頼などの手続きは不要です。
メインサイト側からリカバリを実施する場合は、vSphere Web Clientよりレプリケーション設定画面にある該当仮想マシンの「計画移行」を選択します。メインサイトの仮想マシンが停止し、vCloud Air側で仮想マシンがリカバリされ起動します。
メインサイトが災害などで利用できない場合などでvCloud Airからリカバリ実施する際は、vCloud Airのポータルサイトにログインし「Disaster Recovery」の「組織」より仮想マシンを選択し、「Recovery」を選択します。
vCloud Air側で仮想マシンを起動する前には冒頭のvCloud Air DR利用時の考慮点に記載した通り、ネットワークの切り替えやシステムの起動順序などに注意しましょう。
まとめ:「vCloud Air DR」の考慮点と使い方
連載第二回では、vCloud Airのメニューの一つである「vCloud Air Diastar Recovery」について紹介しました。想像よりも簡単にディザスターリカバリに取り組めそうだと感じられたのではないでしょうか。
ただし、メインサイトの環境条件や静止点の取得など、考慮が必要な点もあります。ディザスターリカバリに関する企業の要件や環境を整理してvCloud Air DRが有効かどうかは個別に十分にご検討ください。
とはいえ、vCloud Air DRのようなRaaSは非常に頼もしいソリューションであると筆者は考えています。本稿が皆さまの事業継続のご参考になれば幸いです。
次回は、「vCloud Airで仮想マシンを作成してみよう」と題して特徴や設定方法など具体的に分かりやすく紹介します。お楽しみに!
著者プロフィール
富士ソフト 山本祥正
当初はシステム開発志望だったが、2006年に仮想化技術に出会ってから方向転換し、仮想化一筋。数多くの仮想化の提案・案件を遂行し、最近では記事の執筆や講演活動も数多く行っている。
「仮想化/クラウド技術 日本一」を目標に日々励んでいる。
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