ラッスンゴレライや妖怪ウォッチもできる? Pepperでプログラミング教育は広まるか、息子と体験してきた:子ども向けプログラミングの現場から(4)(2/2 ページ)
10体のPepperが並ぶアルデバラン・アトリエ秋葉原 with ソフトバンクで行われた「春休み! 子どもPepperプログラミング教室」の模様をリポート。Pepperのプログラミング環境や、できること/できないことについても紹介する。
初めての子どもでも、こんなに動かせた
Pepperに教える事柄として若狭さんは、お笑い芸人の動きを再現させること、セリフを喋らせること、かっこいいポーズをとらせること、『桃太郎』などの昔話を喋らせることなどを子どもたちに提案。若狭さん自身は、お笑い芸人コンビ「8.6秒バズーカー」の人気ネタ『ラッスンゴレライ』をPepperにさせた。
さて、いよいよプログラミングだ。Pepperのプログラミングは、「Python(パイソン)」ベースのブロック言語環境で行うので、子どもでも簡単にプログラミングができるようになっている。基本的には、マウス/タッチパッドだけで命令のブロックをつなげることでPepperの動きを決める。
ブロックのつなげ方が分かれば、一通りのことができるが、マウスやタッチパッドの操作に慣れていないため、もどかしい思いをする子どももいた。慣れれば、マウス/タッチパッドだけでPepperと会話が楽しめるレベルまでプログラミングできるが、Pepperに喋らせる単語などを入力するためなどにキーボードで文字を打つケースもある。
実際の開発時間は2時間。子ども1人につき、Pepper1体とワークショップのスタッフ数人が付いて、手取り足取り教えてもらえる。子どもたちは、自分が考える動きや言葉などをPepperに教え込んでいく。実際にパソコンでコレグラフの開発環境に触れて、プログラムの命令通りにPepperを動かす。喋らせたり、画像を胸に表示させたり、音を鳴らさせたりしていた。
最後に、子どもたちがPepperに教えたことを見せ合う発表会が行われた。4つの昔話の中から、声でタイトルをリクエストすると、そのタイトルの話を読み上げてくれるPepper、頭をなでると元気になるPepper、『妖怪ウォッチ』の「ジバニャン」の技を再現するPepperなど、子どもなりの発想に従って生き生きと動いていた。10人の参加者がそれぞれ、うなだれたPepperに使命を与えて思い思いに動かしたのは、感動的ですらあった。
「子どもにプログラミングができるようになってほしい」という親の思いを、子どもがやすやすと実現したのは、Pepperとコレグラフの秀逸な開発環境、そしてスタッフのサポートが充実していたことに尽きるだろう。
プログラミング言語ではなく、複雑なプログラミング処理に慣れておくことが重要
若狭さんは、今回のプログラミング教室を次のように締めくくった。
「Pepperのプログラミングは、開発環境のブロックのパーツを選んで並べるだけの作業なので、プログラム言語については、何も習得できていないかもしれませんが、『ブロックを並べただけで実現できるのが、すごい』と子どもたちに実感してもらうのが何よりも大事です。
動作の順次処理や、動作と音声の並列処理、Pepperの各種センサーによる分岐処理など複雑なことを難なくコントロールしたことに変わりありません。複雑なことでも、今回のようにPepperや面白い言動を媒介にして慣れてしまえば、『プログラムを自分で組んでいこう』という意欲が自然と高まっているはず。
そして、子どもたちが、いつかきちんとしたプログラミング学習を受けるときに、感覚的に『やったことがある』と気付けば、学習のハードルは一気に下がるのではないでしょうか」
今回のワークショップに参加した結果、筆者の息子はPepperを気に入り、「家でもPepperを動かしてみたい」と思うようになった。しかし、Pepperの値段はなかなかのものだ。それはちょっと無理な相談である。次回Pepperを触れる日まで、Scratchなどの他の子ども向けプログラミング環境で開発テクニックを磨いてもらう他ない。機会を作って、またリポートしたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「プログラマーって何するのが仕事なの?」と聞かれたときや、初心者がプログラミングを学ぶ前に読んでほしいマンガ「じゃまめくん」とは
人気過去連載を一冊に再編集して無料ダウンロード提供する@IT eBookシリーズ。Vol.6は、プログラミング初心者が、プログラミングを学ぶ前に読んでほしいマンガ連載『オブジェマンガ じゃまめくん』だ。 - アプリは、どうやって動くの? プログラムって何?――初めてiPhoneアプリを作る人向け基礎知識まとめ
本連載では、これからプログラミングやiPhoneアプリ開発を始めてみたい方を対象に、開発に必要な知識を基礎から解説していきます。 - 初めてUnityを触る人が無料で使い方を学べる日本語チュートリアルを全317ページ、59のサンプル動画で電子書籍本としてまとめました
人気過去連載を一冊に再編集して無料ダウンロード提供する@IT eBookシリーズ。Vol.8は、『ゲーム開発初心者のためのUnity入門』だ。 - 連載インデックス「App Inventorでアプリ開発はどこまでできるのか」
プログラミング未経験でも手軽にAndroidアプリが作れるApp Inventor。本連載では、App Inventorでアプリを作り、使用しているコンポーネントに関して実際にJavaのAPIと比較して、できることを検証していきます - 連載インデックス「絵心がなくても簡単に絵が描けるProcessing」
アートやデザインのためのプログラミングを実現するオープンソース環境Processing。とにかく容易にグラフィックを作れるので、ビジュアル表現に興味があるけど二の足を踏んでいた方にお勧めです