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「変わらないもの」が変えていく、テクノロジ、人、社会@IT、サイトオープン15周年

15年前の今日、2000年5月22日の早朝にサイトオープンした@IT。これからの15年、何が変わり、何が変わらないのか。

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15年前の今日、サイトオープンした@IT

 市場環境変化が激しく、先を見通すことが難しい今、企業ITには変化への対応力が強く求められています。ここ数年で急速に浸透した仮想化、クラウドはその強力な武器となり、ITリソースの迅速な調達、廃棄は多くの企業にとって半ば当たり前のようになりました。しかし、こうした“常識”が形成されたのは、ほんのここ5年ほどの話。数週間かけてハードウエアを調達することから始めていた時代は、社会一般の時間感覚で言えば、まだ最近のことです。

 変わったのはテクノロジだけではありません。それを扱うエンジニアの役割、提供価値の在り方も大きく変わり、さまざまな観点から変革の指針が議論されています。常に変化をリードしながら、変化にさらされ続けているわれわれは、今後どのように時代に応えていけばよいのでしょうか――。

 2000年5月22日、@ITがサイトオープンした15年前の今日も、「先が見えない」という点では同じような状況だったのかもしれません。1993年、米クリントン政権発足と同時に、「製造」から「金融とIT」に産業構造の軸足が移され、その後のWindows 95発売、Eコマースの台頭、そして“ミレニアム”に沸く日本社会に咲いた「ドットコム企業」と呼ばれるネットベンチャーへの爆発的な投資を経て、日本もITバブルに突入していきました。

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@IT 2000年のサイトオープン時のトップページ

 「日本全体がITバブルに浮かれていた」と言えばネガティブな表現になりますが、これは「ITの可能性が日本全体に広く認知された」タイミングでもあります。ITで何ができるのか、ビジネス、社会はどう変わるのか。テクノロジに裏打ちされた“先が見えないという期待”で社会全体が沸いていた時代に、@ITは誕生したのです。

 間もなくしてITバブルは崩壊しますが、その後もブロードバンドなどインターネット環境の急速な進展、Web 2.0の台頭など、常に新たなトピックが登場し、2008年のリーマンショックでいったんは深刻な不況に陥るも、テクノロジは進展し続けてきました。企業ITの世界も1990年代に始まったオープン化の流れが加速し、2009年ごろからのクラウドの浸透により、「所有する」「作る」ことが前提だった企業ITに「利用する」という選択肢が加わり、情報システムの在り方が大きなパラダイムシフトを迎えることになります。

 そして2015年――仮想化、クラウド、Software Defined X、モバイル、DevOps、ビッグデータ/IoTといった、ここ数年で登場した各種のトレンド、テクノロジが、今まで以上に分かりやすい形で連携し、企業ITの常識を塗り替え、その可能性を大きく広げようとしています。

 「一度作ったら変わらない」ことが前提だった静的なシステムが、「作った後も変え続ける」動的なシステムに変容し、システム改善のフィードバックサイクルを高速で回すことが強く求められるようになりました。同時に、テクノロジの抽象化が開発・運用の各担当分野の境界線を曖昧にし、エンジニアのスキル・役割における常識も塗り替えられつつあります。

 ただ一つ、決して変わらないもの――「何のためにITを使うのか、作るのか」というテーマに懸けるエンジニアの思いが、現実の課題を一つ一つ解決してきたことで、スローガンに終始してきた「ビジネスに寄与するIT」が、いよいよスローガンではなくなる、またスローガンのままであってはならない時代が到来しているのです。

「変わらないもの」が作り出す「変革」という奔流

 ITで何ができるのか、ビジネス、社会はどう変わるのか――今、「先が見えない」という期待の高まりは、あの頃と同等か、それ以上といえるのではないでしょうか。そしてテクノロジが進展し常識が変化するほどに、「変わらないもの」が放つ光は一層強くなり続けているといえるでしょう。

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2001年、@IT 1周年を祝う初代メンバーたち

 この15年、@ITはテクノロジと企業ITの変遷を、日々見つめ続けてきました。その間ずっと大切にしてきたのは、「なぜその事象が起こっているのか」「なぜその技術が注目され、どのように使うのか」といった本質を重視するサイトオープン以来のアプローチ。編集部メンバーが代替わりしながら公開してきた数万本にも上る記事には、日進月歩で発展してきたITの「そのときどきの今」が、現在も陳腐化することなく息づいています。

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2001年、@IT 1周年のプレス発表に臨む、@IT初代メンバーの面々

 それらを一貫しているものとは、まさしく「変わらないもの」――「より良いものを実現したい」というITに携わる皆さんと共通の思いです。そうした「変わらないもの」は、今後どのような変化を生み出し、世の中をどのように変えていくのでしょうか――@ITは、今後も陳腐化せずに役立ち続けるコンテンツの制作を通じて、皆さんと共に考え、共に歩んでいきたいと願っています。

 なお、15周年を一つの節目として、「15周年記念企画シリーズ」も2016年4月まで通年で展開していく予定ですが、回顧だけに終わるつもりはありません。この15年は皆さんにとっても@ITにとっても一つの通過点。より良いものを目指して、変革という奔流を生み出し続けることこそが、テクノロジに携わることの本質であり、その流れを支援することが、@ITサイトオープン時からの変わらぬポリシーでもあるのですから。

 これからも、@ITを宜しくお願いいたします。

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