スマートデバイスからのログ、病院DB、医療機器から得る画像――医療現場のビッグデータ活用を実践する3社の事例:ヘルスケアだけで終わらせない医療IT(3)(2/3 ページ)
医療、ヘルスケアに関連したテクノロジビジネスやスタートアップの動向を、エンジニアやビジネスマンに対して紹介するイベント「Digital Health Meetup Vol.2」のピッチセッションから3社の医療ベンチャーが開発したサービスやアプリの事例をお伝えする。
検索エンジンとは異なる、高専門性、良質、高鮮度のDBで病院情報の質と量を改善
2人目の登壇者は、医療・薬局・介護施設データベースの開発と提供を行っているミーカンパニーの前田健太郎氏だ。同社では、PC向けの医療関連施設検索サイト「SCUEL(スクエル)」の他、スマートデバイス(iPhone)向けの病院検索アプリ「cowell」、病院サイトの更新情報を収集する「Hospital News」の提供を行っている。
前田氏は、患者と医療サービスの状況がいずれも変化していく中で、そのマッチングに必要な病院情報の流通形態には変化がなく、そのために多くのミスマッチが起こっているのではないかと指摘する。
「今後、医療施設の統合や整理が進む中で、患者にとって最適な病院探しは、より難しくなります。提供される病院情報の質と量を改善していくことで、救える命はより増えるはずです」(前田氏)
ミーカンパニーでは、医療分野、介護分野に関する最新情報のデータベースを構築し、容易に検索できるようにすることで、そうした課題の解決を目指す。医療情報を実用的な形で検索できるようにするためには、一般的な検索エンジンとは異なる、専門性の高い、良質かつ鮮度の高い情報を収集、整理したデータベースが必要だという。こうしたデータベースが整備されることで、一般病院だけではなく、専門医療機関や研究班、治療方法が確立されていない難病を抱える人の支援団体と患者との適切な接点が、より多くなるというわけだ。
基礎となるデータベースの構築に当たっては、ネット上に散在する公的機関の情報を収集するとともに、データ提供先からのフィードバックを基にして情報のブラッシュアップを行っている。また、業界によって、求められる詳細データの内容も異なってくるため、ニーズに合わせてデータを整理することも重要になる。
こうして構築したデータベースは、現在は基本的に無料のAPIとして公開している。今後は、特定の条件に基づくデータベースの販売に加え、それを活用した業界ごとのソリューション提供によって収益を上げていく計画という。データベースの「鮮度」「量」「価格」が、同社の優位性になるとする。
また、将来的には患者による能動的な「検索」だけではなく、ウェアラブルデバイスなどによって装着者の健康に関する異常を検知し、データベースの中から最適な医療機関を「リコメンド」するような仕組みの構築も可能にしていきたいとする。医療情報のデータベースを使った、新たなサービスビジネスに関心を持つ企業からのアプローチを歓迎するという。
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