WordPressのダウンロード/配置とバーチャルホスト設定で見るChefの変数とAttributeの書き方の基本&Template活用:サーバー管理者のためのChef超入門(5)(1/2 ページ)
エンタープライズ向け機能が充実してきたChefを使って高速かつ精度の高いサーバーインフラを構築/管理する方法について解説する連載。今回は、WordPressのダウンロードや解凍、バーチャルホスト設定を例にChefの変数とAttributeの基本的な書き方を解説します。
Chefならではの機能を活用して、より高度な「サーバー構成管理」を
前回の「Apache、PHP、MySQLパッケージのインストールで見るChefのRecipeの基本的な書き方」では具体的にChefのCookbookを作成しながら、Chefの構成要素について解説してきました。
前回は「RecipeはDSLという命令文の集合体で構成されている」ということを中心に、Recipeを書くに当たっての初歩的な部分にフォーカスして解説しました。今回はさらに一歩踏み込んで、Chefならではの機能を活用して、より高度な「サーバー構成管理」を可能にするための入り口に入っていきましょう。
まず、連載第3回の「WordPress構築で学ぶ、サーバー構築作業をChefのCookbookとして記述するためのポイント」で解説した「構築環境の前提条件」と「Cookbookの作成方針」を再度記載しておきます。
WordPress構築環境の前提条件
- OSはCentOS 6.6を使用
- ApacheとMySQLは同一サーバー内(「ノード」)にインストールする
- MySQLはRemiリポジトリを使用してインストールする
- 「wp.example.com」というバーチャルホストを作成し、ホスト名を「wp.example.com」、ドキュメントルートを「/var/www/wp.example.com/wordpress」とする
- エラーログとカスタムログのファイル名を以下の通りとする
- wp.example.com-error_log
- wp.example.com-access_log
- MySQLにwordpressユーザーとwordpressデータベースを作成し、ユーザーにデータベースへのアクセス権を付与する
前回で3.までが完了しています。今回は4.と5.について記載します。
WordPress構築Cookbookの作成方針
【1】リポジトリ設定→外部Cookbookを利用
【2】Apache、PHP、MySQLのインストール→Resourceで定義
【3】WordPressのダウンロードと解凍→Resourceで定義
【4】バーチャルホスト設定→Templateを使用
【5】WordPress用MySQL設定→Templateを使用
このうち今回は【3】と【4】について作業を進めていきます。
今回追加する部分
実際に実行している内容は下記の通りです。
- WordPressのプログラムダウンロード/配置
- Apacheの設定
- httpd/mysqldの起動
前回作成した「cookbook/wordpress01/recipes/default.rb」に上記処理を追加したものが以下です。
#前回 package ['httpd', 'httpd-devel', 'mysql', 'mysql-server', 'mysql-devel', 'php', 'php-mysql'] do action :install end #以下今回追加分 #変数 filename = "#{node['wordpress']['wp_tar_name']}" install_dir = "#{node['wordpress']['wp_dir']}" remote_uri = "#{node['wordpress']['wp_tar_uri']}" file_checksum = "#{node['wordpress']['wp_tar_sum']}" httpd_conf_dir = "#{node['wordpress']['httpd_conf_dir']}" #インストールディレクトリ設定 directory "#{install_dir}" do recursive true mode 0755 owner "apache" group "apache" action :create end #WordPressダウンロード remote_file "/tmp/#{filename}" do source "#{remote_uri}" checksum "#{file_checksum}" end #WordPress配置 script "install_wordpress" do interpreter "bash" user "root" code <<-EOL install -d #{install_dir} tar zxvf /tmp/#{filename} -C #{install_dir} EOL end #httpd.conf配置 template "httpdconf" do path "#{httpd_conf_dir}httpd.conf" source "httpdconf.erb" mode 0644 end #wordpressディレクトリのpermission変更 directory "#{install_dir}/wordpress" do recursive true mode 0755 owner "apache" group "apache" end #httpd実行 service "httpd" do action :start end #mysqld実行 service "mysqld" do action :start end
順を追って解説していきます。
Recipeにおける変数の定義
ChefのRecipeでは、変数は以下のように記述します。
<変数名> = <変数の値>
ChefにおけるAttributeの書き方
今回のRecipeでは以下のような書き方をしています。
remote_uri = "#{node['wordpress']['wp_tar_uri']}"
「#{node['***']['***]}」というのはChefでは「Attribute」と呼ばれるものです。
RecipeやTemplateなどCookbook内部で共通で利用可能な変数の設定方法です。ですので、ここではRecipeのローカル変数remote_uriに代入しています。
将来的に変更される可能性が高い値や、実行のたびに変更する必要がある値などは、個別のファイルにハードコーディングせずに「Attribute」としてまとめておくと、設定値の管理が楽になります。Chefを利用するメリットですので、ここはよく理解するようにしてください。
Attributeは以下のようにファイルに記述します。
default['wordpress']['wp_tar_name'] = 'wordpress-4.2.2-ja.tar.gz' default['wordpress']['wp_dir'] = '/var/www/wp.example.com' default['wordpress']['wp_tar_uri'] = 'https://ja.wordpress.org/wordpress-4.2.2-ja.tar.gz' default['wordpress']['wp_tar_sum'] = '7e34ba580aed16c4fd769f033b0e7fa79b7c5813ba52e4496f14da0ac4451373' default['wordpress']['httpd_conf_dir'] = '/etc/httpd/conf/' default['wordpress']['vhost_domain'] = 'wp.example.com'
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