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デバイス中心から「人」中心のビジネスを加速――日本マイクロソフト、2016年度の経営方針を発表MS新社長、方針発表

2015年7月2日、日本マイクロソフトは2016年度の経営方針についての記者会見を実施。「個人が複数デバイスを使用する現在、デバイスやプラットフォームを越えたユーザーの利用価値・体験の向上が重要」とし、三つの重点分野を掲げた。

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新社長の平野拓也氏

 日本マイクロソフトは7月2日、2016年度(2015年7月1日〜2016年6月30日)の経営方針に関する記者会見を実施した。2015年度まで副社長を務め、7月1日付で代表執行役社長に就任した平野拓也氏は、「クラウドが主流化し、モビリティが一層求められるようになるなど、ITビジネスの環境は大きく変わった」と指摘。新たな時代に顧客満足度を高めるためには、「マイクロソフト自身が変革を進め」、「デバイスやプラットフォームを問わず」、「ユーザーがワクワクする体験を提供すること」が重要とし、三つの重点分野を掲げた。

新たなマイクロソフトのイメージを打ち出す

ユーザーの利用価値向上を目指す

 「革新的で、親しみやすく、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する」ことが2016年度のビジョンだ。

 「創業時のビル・ゲイツも同じようなビジョンを持っていたはず」と語る平野氏。「しかし、そのスピリットもビジネスの成功とともに、WindowsやOfficeの世界を守ろうとする保守的なマインドに変わっていった」と自省する。グローバルではサティア・ナデラ氏がCEO(最高経営責任者)に就任し、Windows 10への無償アップグレード提供やLinux/オープンソースソフトウエアへの積極的な関与など、保守的なマインドからの脱却を目指しているが、「日本でも変革を推進し、新たなマイクロソフトのイメージを打ち出していくことが自分の役目」と決意を示した。

変革を進める三つの重点分野

三つの重点分野

 日本マイクロソフトでは、具体的に次の三つの分野に注力していくという。一つ目は「プロダクティビティとビジネスプロセス」。ワークスタイル変革のリーディングカンパニーとして、自ら積極的にデモンストレーションを行っていく。例えば、品川オフィスと調布技術センターを統合し、オフィスレイアウトを改良。さらにSurface Hubを25台設置するなど、自社テクノロジを生かした最先端のワークプレイスを再構築する。また日本のテレワーク推進にも積極的に貢献する。2015年8月には複数省庁と連動して「テレワーク週間」を実施。パートナー企業を含む300社以上が参加する予定だ。併せて北海道別海町での「滞在型テレワーク」の実証実験も盛り込み、地方創生にも働きかけていく。

 二つ目は「インテリジェントクラウド」。「複数のデバイスで一貫した体験を提供するためにはクラウドが必須。だが、単なるクラウドでは不十分」とする平野氏は「セキュリティやスケール、インテリジェント(AI)を備えたクラウドプラットフォームが求められている」と主張。例えば、「ペンタゴン(アメリカ国防総省本庁舎)に次いで攻撃を受けているが、一度も事故を起こしたことがない」という自社サイト運用のノウハウを生かした提案を行っていくという。また、マシンラーニング(機械学習)によるデジタル経営支援にも力を入れる。Microsoft Azureベースのモバイル管理、ビッグデータ分析、IoT(モノのインターネット)など、日本向けに用意した10以上のシナリオをパートナーとともに展開していく。

 そして三つ目が「Windows 10+デバイス」だ。OfficeアプリケーションのiOSやAndroid対応を進める一方、「今年はWindows 10の年」と言い切る平野氏は、「Windows 10はあらゆるディスプレイサイズに対応しており、どんなデバイスでも一貫した体験を提供できる」と自負する。今夏から年末にかけてWindows 10を搭載したデバイスが順次リリースされることを紹介し、新たなムーブメントに期待を込めた。

 これらの分野に注力することで、デバイスやプラットフォームを問わずに、いつでもどこでもユーザーに一貫した経験を提供するという「人」中心のビジネスを加速させることが最大の狙いだ。

新会長の樋口泰行氏

 なお、前社長の樋口泰行氏は代表執行役会長に就任する。顧客やパートナー、政府などとの対外関係の強化、後進の育成などを通じて、平野氏を全面的にサポートしていくと語った。

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