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“Hadoopエンジニアは年収3000万円”――「DW 2.0」とDBエンジニアのキャリア、米国エンジニア事情Database Expertイベントリポート(3/3 ページ)

“データウエアハウスの父”ビル・インモン氏が日本のデータベースエンジニアを前に講演、データの性質が変わってきたいま、データウエアハウスの次の形態としてインモン氏が示したのは「DW 2.0」。その根幹を支えるテクノロジを扱うスキルを持つエンジニアが、いま北米で“引く手あまた”だという話も。

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インモン氏の特異なキャリア、米国データベースエンジニア事情

 ここで、本論から少しそれるが、インモン氏自身のユニークなキャリアについても紹介しておこう。

 後半のQ&Aセッションでは、データベースエンジニアのためのイベントということもあり、インモン氏自身のキャリアについての質問も多く挙がった。

 「私は“普通ではないところ”からキャリアをスタートさせました。プロゴルファーとして米国のサーキットを1年間回ったのです。高校生のときには、のちに米国トップ5になるプロゴルファー、リー・トレビノ(Lee Trevino)氏とも対戦しています」(インモン氏)

 ところが、プロゴルファーとして賞金獲得を目指していたインモン氏は、「1年間ゴルファーとして過ごしてみて、自分にはゴルフの才能がないことに気付き」大学に進学してデータベースエンジニアになる道を選んだのだという。

 「プロゴルファーからエンジニアに転身したのはデータウエアハウス業界で恐らく私が唯一の人間でしょうね(笑)」(インモン氏)

 大学はイェール大学に進学して数学を専攻し、ニューメキシコ州立大学でコンピューターサイエンスを修めた。その後、国防総省や政府組織向けにコンサルティングやシステム開発を行うAMS(American Management Systems)に入社。AMSは、ケネディ政権で米国国防長官を務めたマクナマラ(Robert McNamara)氏が設立した企業で、才能のある若者をよりすぐり、国防の根幹に関わる重要システムを開発する役割を担ったことで知られる。

 AMSで数十年にわたり、政府向けのデータアーキテクチャやシステム開発に従事。「Government Information Factory」や「Corporate Information Factory」などに代表される、「セントラルデータベース」と「データマート」で構成される政府や組織の意思決定のためのデータウエアの基本概念を作っている。

 その後、CGIグループによるAMSの買収に伴い独立。現在は、非構造化データやテキストデータ(unstructured texual data)などのビッグデータを考慮したデータウエアハウスをDW 2.0と呼び、自ら設立したコンサルティングファーム「Inmon Consulting Services」やソフトウエア企業(Forest Rim Technologyなど)の経営に携わっている。

“カリフォルニアのある企業に勤めるHadoopエンジニアは年収25万ドル”

 「なぜデータベースエンジニアになったのか」という会場からの質問に対して、インモン氏は「一つは、給料が高い専門職だったからです。現在でもそうです。数年前のある調査では、一位がSAPエンジニア、二位がデータウエアハウスエンジニアでした。もう一つはデータベースエンジニアのスキルがトランスファブルなことです。一度身に付けてしまえば、日本でもオーストラリアでもシンガポールでも、このスキルは通用しますよね」と、現実的な回答を示してくれた。報酬の面でもデータベースエンジニアは、プロゴルファーで賞金獲得を目指していた人物の転身先として、現実的だったのかもしれない。

 この質問に付随して、インモン氏は直近の米国でのITエンジニアの報酬の傾向も語ってくれた。現在、報酬の面で“特に目を見張るほど高給”なのはHadoopエンジニアだという。

 「知人によると、カリフォルニアのある企業に勤めるHadoopエンジニアは年収25万ドル(=本稿執筆時点の通貨基準で約3000万円)です。平均的な米国人はこんなに稼げません。幸運なことに、ここにいらっしゃる皆さんは技術を身に付けることで簡単にカリフォルニアで職を得ることができますよ」とインモン氏。

 米国におけるHadoopエンジニアへのニーズが高まっていることがよく分かるエピソードだ。

 インモン氏は、基調講演の他、イベント3日間のうちにビッグデータやデータアーキテクチャの将来などに関する個別のセッションで講演を行ったが、いずれも盛況のうちに幕を閉じていた。

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