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ユーザーが語った、ヴイエムウェアのクラウドサービスvCloud Air選択の理由熊谷組、インストラクション、成城大学

ヴイエムウェアは2015年7月8日、同社のIaaS「VMware vCloud Air」に関するカンファレンス「vCloud Conference 2015」を東京で開催した。基調講演では熊谷組、インストラクション、成城大学がそれぞれ、このクラウドサービスを採用した理由を語った。

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 ヴイエムウェアは2015年7月8日、vCloud Airに関するカンファレンス「vCloud Conference 2015」を東京で開催した。基調講演では熊谷組、インストラクション、成城大学がそれぞれ、このクラウドサービスを採用した理由を語った。

 vCloud Airは同社が2014年11月に国内提供を開始したクラウドサービス。専有あるいは共用の環境で、(仮想インスタンスではなく)リソースを期間貸しするという、独特なサービス提供方式を採っている。加えて、2015年7月上旬には、1分単位で従量課金を行うが、こちらも仮想インスタンスタイプはないという、これも独特なパブリッククラウド的サービス「vCloud Air Virtual Private Cloud OnDemand」を提供開始する。業務アプリケーションにおけるクラウドの活用を重視したサービスだ。

熊谷組はvCloud Airで社内ITインフラを刷新

 熊谷組は「クラウドファーストで社内ITインフラを刷新する」とし、2015年度中に社内の仮想サーバーをvCloud Airに移行する。併せて、社内のWAN、LANの再構築も考えているという。

 「クラウドファースト」の理由を、熊谷組 経営企画部 IT企画グループの鴫原功氏は、「ハードやソフトのテクニカルアップグレードにかかわる作業負荷は大きいが、ユーザーにとっては付加価値がない。付加価値の高いIT投資を進めるため」と説明した。

 vCloud Airの選択理由として、鴫原氏は第一にOSサポートが幅広いことを挙げた。熊谷組ではWindows 2000、Windows 2003が残っており、クラウドサービスへの移行後にOSのアップグレードを進めようとしている。こうしたOSをサポートするクラウドサービスは、他にないという。また、仮想マシン単位でのHAの標準提供、データベースのライセンスを持ち込める点、これまで使ってきたVMware vSphereと同様な操作性を挙げている。

 「クラウド移行ではサーバのIPアドレスを変えたくないし、ダウンタイムを極力少なくしたい」(鴫原氏)。vCloud Airで、このニーズを満たせるという。

インストラクションは操作性を評価

 業務パッケージの導入支援やホスティングを提供している企業、インストラクションは、同社のアプリケーションホスティングサービスの基盤としての展開を視野に、まず社内システムをvCloud Airに移行したという。

 インストラクションは、Windows Server 2003で稼働していた業務用仮想サーバー10台をvCloud Airに移行。「実質的な作業は約30日間で済んだ」と、インストラクションのマイグレーション部 部長、佐野康典氏は話した。

 vCloud Air採用の理由は、社内でこれまでVMware vSphereを使ってきた実績があること、自社サービスをデータセンターからクラウドに移行する際の基盤として期待できること、操作が簡単で、評価時には同社のエンジニアが半日で習得できたこと、にあるという。

 利用の感想として、佐野氏はポータル画面の分かりやすさ、仮想マシンの追加・削除が自在でリソースの拡張が容易であること、全サーバーを簡単な設定で毎日バックアップできること、テクニカルサポートが24時間、日本語で受けられることを、同氏は評価している。

 インストラクションでは、移行の結果、インフラに関する運用工数とTCOを約50%削減できた。インフラ運用のレベルを均質化し、セキュリティの強化も実現できたという。だが、社内システムのクラウドへの移行の最大の効果は、インフラ運用管理からの解放だったと佐野氏は話した。

成城大学はSINETでvMotionを活用

 ヴイエムウェアは7月6日に、学術情報ネットワーク「SINET 4」との直接接続を発表したが、これは成城大学 メディアネットワークセンター課長の五十嵐一浩氏の要望がきっかけになっていたようだ。

 東日本大震災以降、災害対策の観点から、学外のコンピューティングリソース活用の方向性が示されたことを受け、2012年には北海道・石狩のデータセンターとのSINET経由での長距離vMotionに成功していた。SINETにはレイヤー2VPNのサービスがあり、これを使えば仮想マシンのライブマイグレーションができる。だが、コスト効率の点からクラウドサービスを利用したい。そこでヴイエムウェアが国内でサービスを展開すると発表した際に、SINETとの接続をリクエストしたのだという。

 成城大学では、災害復旧とは別に、学生用の学習支援用サーバーでvCloud Airを使い始めているという。同大学では、反転学習を広範に取り入れている。学生は授業の前に課題をこなし、授業ではこれを基にディスカッションを行っている。このための資料管理サーバーは、夜間や休日、夏休みや冬休みなどでは学内で運用するよりも、クラウドサービス上で動かした方が、使い勝手がいい。また、同大学にとってはCO2排出量削減にもつながる。一方、平日の昼間は、学内で動かした方がアクセスしやすいし、学外とのネットワーク接続が万が一切れた場合でも、止まらずに済む。そこで、vMotionを使い、時間や日に応じて、サーバーをvCloud Airとの間で移動するという運用を始めているのだという。

 vCloud Airでは、レイヤー2延伸の機能が強化されようとしている。このことで、セキュリティの観点からクラウドサービス利用に慎重な人々にも納得しやすく、さらに他の教育研究機関との共同研究にも有利になるという。

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