生成AIがあれば「脱メインフレームもできる」なんて気軽に言えるのは今のうち?:ではどういう移行戦略が必要なのか
Gartnerは、2026年に開始される脱メインフレームプロジェクトの70%超が、当初の目的を達成できずに失敗すると予測した。背景にはこれから避けて通れないAIへの期待がある。何が成功を拒む要因となるのか。
メインフレームで稼働するシステムの刷新がますます喫緊の課題となる中、移行は期待する通りには進まないとの見方もある。調査会社Gartnerは2026年6月18日(米国時間)、2026年に開始される「メインフレーム脱却」プロジェクトのうち、70%以上が失敗するとの予測を発表した。背景には、生成AIへの期待感の高まりがある。何が成功を拒む要因となるのか。
「メインフレーム脱却」の約7割が失敗――その理由は?
生成ツールを活用することでレガシーシステムのモダナイゼーションの工数を劇的に減らせるということが主張されているが、そうしたマーケティング上のうたい文句と、実際の能力との間には大きな隔たりがあるとGatnerは指摘する。
ベンダーは生成AIによる成果が有意義に出るかどうかにかかわらず、自社製品にAIの機能を組み込むよう投資家から圧力を受けている。一方でメインフレームで稼働するアプリケーションは巨大で簡単にはつぶせないミッションクリティカルなシステムであり、そのコードは長年の運用で複雑になっている。メインフレームをよく知る経験豊富な人材は定年退職などで急速に減少している。そうした複合的なリスクがある中、メインフレームからの脱却計画が不十分であれば、プロジェクトが実行困難になる可能性がある。
不適切なメインフレーム移行の判断は、コスト超過にとどまらず、事業やシステム運用の継続性そのものを脅かしかねない。Gartnerは、AIによるコード変換だけに頼るのではなく、ワークロードごとに最適な実行基盤を見極める考え方が重要だと指摘する。こうした検討を十分に行わず、AI任せで移行を進めれば、技術的負債を抱え込んだり、本番稼働後に重大な障害を招いたりする恐れがあるとしている。
2030年までには脱メインフレーム市場の景色が変わる?
そうした状況を受けて、メインフレームから脱却を支援する市場は、転換点に差し掛かっているという。市場ではIBMに加え、21CS、BMC Software、Broadcom、Rocket Softwareといった独立系ソフトウェアベンダー、DXC Technology、Global Technology Solutions Group(GTSG)、Kyndrylといったマネージドサービスプロバイダーが、同分野を戦略的投資の対象として位置付けている。
その市場では画一的な移行手法への期待は薄れ、需要が減少。その結果として、2030年までに脱メインフレーム市場で事業を展開するベンダーの75%が、ビジネスモデルの転換や事業停止を余儀なくされるとGartnerは予測している。
環境規模別に求められる移行戦略
Gartnerのバイスプレジデント兼アナリストであるアレッサンドロ・ガリンベルティ氏は、適切なメインフレーム戦略は、組織が置かれた環境やシステムの複雑さに大きく左右されるとしている。多くの企業にとって生成AIは、メインフレームからの移行を急ぐための手段というよりも、メインフレームを維持したままシステムをモダナイズするための手段として、より高い効果を発揮するという。
環境規模ごとの移行の考え方について、同氏は次のように説明する。
最大の市場セグメントである中規模環境では、最も複雑な意思決定が求められる。既存のメインフレーム投資を生かしたモダナイゼーションを基本とし、全面的なプラットフォーム移行は必要なケースに限定すべきだという。全面移行はリスクの高い変革を伴い、期待した成果を得られないことも少なくないためだ。
一方、小規模環境では、MFaaS(Mainframe as a Service)の活用によるコスト効率の高い運用や、レガシーなサードパーティー製ソフトウェアの置き換え、投資対効果(ROI)が見込めるプラットフォーム内でのモダナイゼーションを優先すべきだとしている。
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