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データ活用の民主化を図るにはクリックテックが打ち出すデータ活用のキモ

2015年6月5日、クリックテック ジャパンが開催したイベント「Visualize Your World Tour 2015 in Tokyo」。その基調講演にデータ活用の課題と解決策のヒントを探る。

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ビジネスユーザーがデータから洞察を見つける「セルフサービス革命」とは

 ビッグデータ時代を迎え、一般企業におけるデータの戦略的活用の重要性はますます高まっている。爆発的に創出されるデジタルデータをどのように有効に活用するかは企業にとって喫緊の課題だ。しかし、多くの企業はデータを集めるだけに留まってしまっているのが実情。「われわれは、データよりも勘に頼っている状況を“井戸端会議による意思決定”と呼んでいる」――2015年6月5日、クリックテック ジャパンが開催したイベント「Visualize Your World Tour 2015 in Tokyo」に登壇したQlikインターナショナルマーケティングバイスプレジデントのロバート・フレミング氏は、データ活用を取り巻く昨今の状況をこう形容した。

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イベント当日は多数の来場者が参加。データ活用に対する関心の高さがうかがえた

 米IDCによると、地球上で1年間に生成されるデータ量は2013年の4.4ゼタバイトから2020年に44ゼタバイトへと10倍規模に拡大すると予想されている。

 「このままデータ量が増え続ければ、分析を行う主体は人から機械に代わることもあるかもしれない。ただし、それは『Jeopardy!』(米国で放送されているクイズ番組)のようなゲームの世界での話だ。ビジネスの世界ではあり得ない」――フレミング氏はこう述べた上で、「人がアナリティクスを使えば使うほど、組織がアナリティクスから得られるものは多くなる」と語る。

 ではビッグデータと向き合うことを余儀なくされている多くの企業はどうすればよいのだろうか? まずは従来のBIツールが抱える課題に対処する必要があるという。

 「操作方法が難しいだけではなく、“選ばれし者”しかアクセスできず、多くの人がBIにアクセスできないことが問題だ。しかも応答速度がとても遅い。このデジタル時代では迅速にアクセスできる必要がある」。また、リポートの作成にはIT部門の力を借りる必要があるが、それでは最終的にリポートに仕立て上げるまでに多くの時間がかかってしまうことも問題だという。

 同社が「セルフサービス型データビジュアライゼーションツール」と呼ぶセルフサービス型BIは、こうした課題解決を狙い、「自らデータを多角的に分析したい」という業務部門のビジネスユーザーのニーズに応えるツールだ。BIを限られた社内の専門家のものから、業務部門のさまざまなユーザーが参加するものに変えることができる。フレミング氏は「今、セルフサービスの革命が起きている。ビジネスユーザーが自らデータから洞察を見つけ、意思決定に役立てることができるようになる」と強調する。

 ただし、セルフサービス型BIを活用するためには、いくつかのポイントがあるという。一つは「ユーザー自らが答えを見つけること」。二つ目は「そもそも質問自体が適切かどうかを考える必要がある」こと。そして三つ目が、分析の正確性、有効性を担保するための情報管理だ。

 「セルフサービス型では、データの集中統制が効いていることが非常に重要だ。そうでなければ、その分析自体は信頼できるのか、データは最新なのかという問題が生じる。セキュアなライブラリと集中管理されたデータを用いることが求められる」

 同社が提供するセルフサービス型BIツール「Qlik Sense」は、データガバナンスがとれた形で分析ができるという。また独自のデータインデックスエンジン、「QIXエンジン」により、自動的にデータ同士の関連性を可視化。これにより「ユーザーが自分の知見を生かして、より良い洞察を発見できるよう支援できることが大きな特徴だ」という。

「プラットフォームアプローチ」で多角的なデータ分析を可能に

 クリックテックは、セルフサービス型BIをはじめとする自社の製品・サービス群を組み合わせてデータ分析のさまざまな要求に総合的に応えるアプローチを「プラットフォームアプローチ」と表現している。現場のビジネスユーザーが簡単な操作で自由に扱える「Self-service Analytics」、さまざまな角度からより高度な分析ができる「Guided Analytics」、データ分析結果から自動的にリポートを生成するリポーティング/アラート機能――こうした各種製品/サービス群を、前述のQIXエンジンをベースとした分析プラットフォーム「Qlik Analytics Platform」上で提供することを指している。

 具体的なツールでいうと、「Self-service Analytics」はセルフサービス型BIツール「Qlik Sense」、「Guided Analytics」はBIツール「QlikView」が担う。「Qlik Analytics Platform」は、QIXエンジン、アプリケーションツールキット、APIなどで構成することで、開発者に対してオープンAPIを利用したWebマッシュアップを促すプラットフォームとしている。

 こうした「プラットフォームアプローチ」は、2014年末頃からの企業買収を経て徐々に形になってきたという。具体的には、オープンデータとのAPI連携強化のため、2014年10月に全世界の統計データを提供するDataMarketを買収し、「Qlik DataMarket」として展開。同年12月には、データ分析結果のリポート作成、配布などの機能を有する「NPrinting」の開発・提供元であるVizubiを買収した。その上で2015年2月に「Qlik Sense」を市場に投入した。

 このうちQlik DataMarketは、天候や人口動態といった全世界でよく閲覧されているデータソースを数多く網羅したサブスクリプションベースのサービス。Qlik DataMarketを利用すれば、Qlik Sense内で外部データのライブラリに直接アクセスし、社内データと組み合わせて分析できるという。

 また、「Qlik Sense」の最新版である「Qlik Sense Enterprise2.0」には、「Smart Data Load」という機能が新たに実装されている。この新機能は、異なるデータソースからのデータを取り込む際に、それぞれのデータ内をプロファイリングするもの。例えば、ある企業の東京支社で「製品名」の項目名で管理されているデータが、ニューヨーク支社では「Product name」の項目名で管理されていたとして、類似するデータがどの程度含まれているかを判別。仮に99%ほどの高い合致度だった場合、テーブル関連付けの推奨を提示するという。これによって、より効率的にデータ分析の準備に取り掛かることができる。

 Qlikグローバルプロダクトマーケティングバイスプレジデントのジェームズ・フィッシャー氏は、「プラットフォームアプローチは『何が起きるのか』だけではなく、『なぜ起きるのか』『これから何が起こるのか』という質問に答える力を与える」と強調する。

データマッシュアップの重要性を認識せよ

 クリックテックに限らず、複数のBIツールベンダーが指摘するように、一般企業が抱えるデータ分析の課題は切実だ。同イベントに登壇したアイ・ティ・アールのシニアアナリスト、生熊清司氏は、「問題は、計画を立てて実行しようとしても1年後には状況が変わるため、1年前のデータをもとにした計画が有効ではなくなってしまうことだ。これまでの常識は通用しなくなってきており、いまのデータを使ってどんどん計画を変更していくことが求められている」と話す。

 アイ・ティ・アールの調査によれば、データ活用を「最も重要な戦略としている」企業は全体の24.8%。「数ある重要事項の中の一つ」という企業は50.4%で、およそ75%の企業はデータの戦略的価値が大きいと判断している。しかし、冒頭で述べたように多くの場合、データを有効活用できていないという。

 では、BIツールの活用状況はどうか。BIツールを導入済みの大企業のうち、「BIツールを効果的に活用してビジネスに貢献している」企業は22.2%で、「業務の効率化に役立っている」「利用は進んでいるが、十分に活用されていない」が35.9%だった。このようにBIツールが十分に活用されていない背景として、トップに位置するのが「利用者に対する教育が不分」で、「データ定義が難しい」も上位に入った。

 生熊氏は、ユーザー視点から求められる今後のBIツールの要件として、さまざまなデータを掛け合わせる「データマッシュアップ」と「直観的な操作性」「高度な表現力と分析力」の三点を挙げる。中でもデータマッシュアップのためにはETLだけでは不十分だという。

 「ベンダーのデモでは簡単に操作できているように見えるが、これにはトリックがある。事前に加工したデータを組み合わせているだけだからそう見える。弊社のある顧客は、あるビジュアライゼーションのツールを導入したが、いざカットオーバーを迎えてみるとやりたいことができないという非常に大きな問題を抱えることになった」と述べ、業務部門のユーザー自らがデータマッシュアップできるツールを選択することの重要性を説いた。

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