iPhoneは格安SIMカードで利用できるの? できないの?:格安SIMカード活用術(2/2 ページ)
量販店に専用カウンターもできるなど、定着しつつある「格安SIMカード」。iPhoneで利用したいという人も多いのではないだろうか。ただiPhoneの場合、設定方法に注意すべき点がある。
実際に格安SIMカードでiPhoneが利用できるか試してみよう
実際に編集部でmineo Aタイプ(auのMVNOサービス)とIIJmio(NTTドコモのMVNOサービス)をSIMフリー版のiPhone 6sとau版のiPhone 5sで利用できるのかを試してみた。いずれも、iOS 9.0.1で試している。ただし結果を編集部が保証するものではない。
まずiPhone 6s+mineo Aタイプの場合、Cellular Payloadの構成プロファイルをインストールするように指定されている。試したところ、問題なくデータ通信が行えた。ただしインターネット共有(テザリング)は、設定画面が開けず利用できなかった。
テストに用いたiPhone 6sはSIMフリー版なので、auのMVNOサービスだけでなく、NTTドコモのMVNOサービスであるIIJmioでも利用可能なのか確認してみた。SIMカードを入れ替え、IIJmioのホームページからCellular Payloadの構成プロファイルをインストールしたところ、インターネット共有も問題なく利用できた。
問題だったのは、iPhone 5s+mineo Aタイプのテスト結果だ。mineoのサポートページによればiPhone 5s+mineo Aタイプの場合、「iOS 8以降は動作不可」としている。実際、iPhone 5s向けとしてmineoが提供している構成プロファイル(APN Payload)を試したところ、残念ながらデータ通信が行えなかった。
そこで試しにiPhone 5s+mineo Aタイプに対しても、iPhone 6sで試した構成プロファイルをインストールしてみたところ、この場合は問題なくデータ通信が行えた。ただし、iPhone 6sと同様、インターネット共有は利用できなかった。
iPhone/SIM | au SIM | mineo SIM Aタイプ | IIJmio SIM |
---|---|---|---|
SIMフリー iPhone 6s | ○ | △ | ○ |
au iPhone 5s | ○ | △ | × |
iPhone 6s/5sとSIMカードの動作結果 ○は動作、△は一部に不具合があるものの動作、×は動作不可。iOS 9.0.1で各SIMカードを用いて動作を検証してみた。mineoのSIMカードではインターネット共有が行えなかったが、数日の試用の結果だが動作は安定していた。 |
iPhoneを格安SIMで運用するために注意すること
格安SIMカードを利用する場合、いくつか注意しておくべきことがある。
■キャリアのメールアドレスは使えない
キャリアメール(「@docomo.ne.jp」や「@ezweb.ne.jp」などのアドレスのメール)はサポートされないため、これらのメールアドレスを利用している場合、メールアドレスを変更する必要がある(Gmailなどを使う必要がある)。この点、意外とハードルが高い人が多いかもしれない。
■料金が必ずしも安くなるとは限らない
料金についても注意が必要だ。多くの場合、格安SIMカードに替えると通信料が安くなるが、例外もある。例えば家族間通話サービスなどを利用しているような場合だ。携帯電話会社の場合、ファミリー割引(NTTドコモ)や家族割(au)によって家族間通話が無料となっている。そのため、家族間通話が多いと、格安SIMカードに替えた途端、このサービスが利用できなくなり、通話料がかさんでしまうことになる。またiPhoneの場合、携帯電話会社からの月々サポート(NTTドコモ)や毎月割(au)といった割引が手厚いため、端末自体の実質価格が大幅に安くなっている。格安SIMでは家族割や学割といった割引もないので、2年間のトータルコストを計算すると格安SIMカードの方が高くなってしまうこともある。事前に料金をシミュレーションしておくなどした方がよい。
この他、海外出張が多い人は、国際ローミングのサポートについても考慮が必要だ。携帯電話会社のSIMカードであれば、国際ローミングにより(料金は高いものの)海外でも同じSIMカードで音声通話やデータ通信が利用できる。一方、格安SIMカードでは音声通話の国際ローミングをサポートしているサービスが一部にあるものの、データ通信については国際ローミングをサポートしている個人向けサービスはないようだ。つまり国際ローミングサービスが必要ならば、格安SIMカードへの移行は難しいということになる。
またauのMVNOの場合、LTEのみのサポートのため、iPhone 4s以前の端末では利用できない点も注意したい。さらに前述の通り、組み合わせによってはテザリングなどの機能面で一部制限を受ける場合もあるので、こうした注意点を考慮した上で格安SIM+iPhoneの利用を検討してほしい。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.