SAP、Hadoop向けビッグデータ分析「HANA Vora」を日本でも展開:BIのようなドリルダウンを可能に
SAPジャパンがHadoop内のビッグデータ解析を効率化するソフトウエア「SAP HANA Vora」の日本展開を発表。BIのようなドリルダウン分析をIoTやビッグデータ分野でも実施できるようにする。
SAPジャパンは2015年11月5日、Hadoop向けインメモリークエリエンジン「SAP HANA Vora」(以下、Hana Vora)を日本でも提供すると発表した。
HANA Voraは、大規模データを分散処理するプラットフォーム「Hadoop」のデータをインメモリで対話的な分析を可能にするソフトウエア。インメモリ分散処理基盤「Apache Spark」の実行フレームワークを拡張して利用する。
同社のインメモリデータベース「SAP HANA」やHANAプラットフォームと連携し、IoT(Internet of Things)で得たデータをはじめとする非構造データとHANAが持つビジネスアプリケーションのトランザクションデータを組み合わせた分析を可能にする。また、SAP HANAを用いていないHadoop環境へもスタンドアロンで導入できる他、同社のクラウドサービス「SAP HANA Cloud Platform」よりSaaS(Software as a Service)として提供する考えもあるようだ。
SAP アジア太平洋地域 Datasese&Technology本部長のロイット・ナガラジャン氏はHANA Vora投入の意図を「五つのITメガトレンド」になぞらえ、企業が抱えるIoTやビッグデータ分析の現状と課題とともに説明。需要の多い金融や電気通信、医療、製造などの業種をはじめ、それ以外の業態、業種の日本企業にも幅広く訴求したいと述べた。
HANA VoraはIoTやビッグデータ分野のデータに対しても、従来のトランザクションデータにおけるOLAP(OnLine Analytical Processing)のような対話型の操作でドリルダウン分析(多面的な分析)をできるようにするのがポイントの一つ。この他、データサイエンティストや開発者がSpark R、Spark MLを利用して企業データとHadoop/Sparkデータのマッシュアップを可能にするなど、企業のビッグデータ分析におけるハードルを下げるイノベーションであると説明する。
「ビッグデータは個別に持つだけでは価値はなく、それをビジネスに役立てる情報としてユーザーがとらえられなければ意味はない。ビッグデータ解析には膨大なコストが掛かるのが大きな課題だったが、HANA Voraによって業務システムからデータレイクまでシームレスに連携できる。つまり、エンタープライズの世界とビッグデータの世界の隔てをなくし、データサイエンスの民主化(低価格化、一般化)につなげられる。ここが変革のポイントだ。これまでのビジネスモデルを変革し、今までの業務のあり方を変えられる会社が、これから生き残っていくと思う」(SAPのナガラジャン氏)
なお、SAPジャパンはHANA Voraの日本展開において、ディストリビューション各社およびHANAパートナーと連携し、より密なパートナーシップ施策をとっていく考えもSAPジャパン プラットフォーム事業本部長の鈴木正敏氏が示した。日本市場にはパートナー企業との共同検証を進めた上で、2015年12月末の提供開始を予定しているとのことだ。
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