日本企業のデータ活用はデータ整備から推進――SASジャパン 掘田社長:「継承と躍進」とは?
SAS Institute Japanの代表取締役社長に新たに就任した堀田哲也氏が会見を開き、パートナーとの関係強化の意向を示した。
2015年11月5日、SAS Institute Japan(以降、SASジャパン)の代表取締役社長に新たに就任した堀田哲也氏が会見を開いた。堀田氏は2015年10月にSASジャパンに入社。SAS以前はコンサルティングに従事し、企業のIT戦略立案支援の経験も長い。また、基幹業務システムなどを手掛けるITベンダーでのマネジメントの経験もある。
会見冒頭、堀田氏は今後のSASジャパンの方針として「継承と躍進」を掲げた。“継承”とは、いままでのSASが持つ強みである、データ分析ソリューションにおける優位性を維持することにある。
「SASの核はアナリティクス。アナリティクスに関するトレンドは変化しつつあるが、これからもアナリティクスを核にビジネスを推進していく」(堀田氏)
また、“躍進”として堀田氏が示したのは、ソリューションの高度化、パートナー連携強化、学術研究機関との連携および人材育成支援、SASジャパンとしての社内風土への貢献の四つ。
この中でも注目すべきは新しいパートナービジネスの形態だろう。堀田氏は「高度なデータ分析環境があったとしても、実際にデータが発生する企業の現場では、データが十分に整備・標準化されておらず、出力データの粒度や頻度などが異なっており、アナリティクス以前の課題が残っている。特に日本企業ではデータ整備の問題は顕著。こうしたデータ分析に関する課題は上流/下流のパートナーと共同で打開していきたい」と語った。
また、企業へのアプローチとして「いわゆる“SAS使い”はユーザー部門には多いが、IT部門ではその逆。これが組織内の標準ツールとして展開する際の障壁となっていると認識している。今後はIT部門へのアプローチも強化したい」(堀田氏)との考えを示した。
「SASは製薬、金融などの分野で多数の実績がある。一般的なレポーティングツールが過去の実績の可視化を重視するのに対し、SASは分析モデルから将来を予測する機能を持っている。現在の製品ポートフォリオは以前の“SAS使い”のためだけではなく、よりカジュアルな手法で分析できる環境も用意している」とも語り、変化しつつあるアナリティクスのトレンドにおいても優位であることを強調した。
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