検索
連載

著名バグハンターが明かした「脆弱性の見つけ方」――「CODE BLUE 2015」リポートセキュリティ業界、1440度(17)(2/3 ページ)

2015年10月28日から29日にかけて、西新宿で日本発の国際セキュリティカンファレンス「CODE BLUE 2015」が開催されました。IoT関連の衝撃的な攻撃デモや、著名バグハンターによる「脆弱性の効率的な発見方法」の解説など、多くの刺激的な発表が行われた本イベントから、特に興味深かった講演に関するリポートをお送りします。

Share
Tweet
LINE
Hatena

にぎわいを見せるバグバウンティの世界

 Webサイトやソフトウエアなどに存在する脆弱(ぜいじゃく)性を善意のホワイトハッカーが指摘し、その対価としてソフトウエアの開発会社などが報酬を提供するのが「バグバウンティプログラム」です。時には1億円もの報奨金が支払われることもあり、近年この制度が大いに関心を集めています。

 これまでは、米グーグルや米フェイスブックなどの海外大手企業が積極的にこの制度を取り入れていましたが、日本国内でも、サイボウズやLINEなどの企業が採用を始めています。

 CODE BLUE 2015では、バグバウンティの世界で活躍する2人のホワイトハッカーが登壇しました。

脆弱性を効率的に見つけるには「仕様書に沿ってテストする」だけ

 1人目は、本職の傍ら「Mozilla Firefox」を中心とするWebブラウザーに存在する多くの脆弱性を発見し、年間700万円以上の報奨金を獲得しているという「にしむねあ」こと西村宗晃氏。同氏は、自身がMozilla Firefoxに対してバグハントを行っている過程で導き出した「脆弱性が生まれるパターン」と「脆弱性の効率的な発見方法」について発表しました。

 意外なことにその方法は、「公開されているブラウザーの仕様書に沿ってテストケースを作成し、テストを実施する」というものでした。多くのブラウザーでは、仕様書に定義されている要件が満たされていなかったり、必要な機能が実装されていなかったりすることで脆弱性が生まれているケースが多いそうです。

キヌガワマサト氏の衝撃的発表、「IEのXSSフィルターを使ったXSS」

 西村氏に次いで登壇したのは、グーグルのバグバウンティプログラムで世界2位の報告数を誇り、他にも多数のプロダクトに対して脆弱性報告を行っているバグバウンティ界における“伝説的存在”、キヌガワマサト氏です。キヌガワ氏はバグバウンティの報奨金で生計を立てている「職業バグハンター」として有名で、去年のCODE BLUEにも参加していました。

 今回の同氏の発表は「Internet ExplorerのXSSフィルターを使ったXSS」という非常にインパクトの大きなトピックに関するものでした。これは、「XSSを防止するためにページの一部を書き換える」という本来XSSを防止するために存在するXSSフィルターの機能を利用して、タグ破壊などを意図的に起こし、逆にXSSを行ってしまうという衝撃的なもの。同氏いわく「マイクロソフトとの調整でかなり自粛したバージョン」とのことでした。

 発表では具体的な攻撃手法については紹介がなかったものの、マイクロソフトの対応が完了次第、攻撃手法も公開されるとのことです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Security & Trust 記事ランキング

  1. 「SMSは認証に使わないで」 米CISA、モバイル通信を保護する8つのベストプラクティスを公開
  2. Google Cloud、2025年のサイバーセキュリティ予測を発表 AIがサイバー攻撃にもたらす影響とは?
  3. 経営層の約7割が「セキュリティ対策は十分」一方で6割以上がインシデントを経験、1位の要因は?
  4. 2025年に押さえるべきセキュリティの重要論点をガートナーが発表 新しいリスク、脅威、環境の変化、法規制などの動きを把握する指標に使える
  5. “ゼロトラスト”とトラスト(信頼性)ゼロを分かつものとは――情報セキュリティ啓発アニメ「こうしす!」監督が中小企業目線で語る
  6. 終わらせましょう。複雑過ぎるKubernetes/クラウドネイティブが生む心理的安全性の低下を――無料でクラウドセキュリティの勘所が分かる130ページの電子書籍
  7. よく聞く「複雑化するサイバー攻撃」は具体的にどう複雑なのか? 一例を医療系企業のランサム事例とともに解説
  8. 3割程度のSaaS事業者が標準的なセキュリティ対策をしていない アシュアードがSaaS事業者を調査
  9. 「このままゼロトラストへ進んでいいの?」と迷う企業やこれから入門する企業も必見、ゼロトラストの本質、始め方/進め方が分かる無料の電子書籍
  10. 増える標的型ランサムウェア被害、現場支援から見えてきた実態と、脆弱性対応が「限界」の理由
ページトップに戻る