物理サーバよりも高速化が期待できる「Red Hat Enterprise Virtualization 3.6」:データベースアプリ、CAD/CAM環境も視野に
米レッドハットは、KVMを基に開発した仮想化ソリューションの最新版「Red Hat Enterprise Virtualization 3.6」の提供を開始する。vCenterと直接接続できる他、PCIデバイスアサインメント機能が盛り込まれている。
米レッドハットは2016年3月10日、Kernel-based Virtual Machine (KVM)を基に開発した仮想化ソリューションの最新版「Red Hat Enterprise Virtualization 3.6」の提供を発表した。新版では処理性能を改善した他、仮想マシンの拡張性を高め、VMware環境からの移行が容易になっているという。さらに、レッドハットのクラウド管理プラットフォーム「Red Hat CloudForms」と統合することで、複数の仮想化環境やアプリケーションコンテナイメージ、物理サーバなど、異種混合環境を一元的に管理できるようになるとしている。
処理性能に関しては、「SPECvirt 2013」によるベンチマークテストの結果、既存の仮想化ソリューションと比べて36%高い結果が出たとしている。さらに、「PCIデバイスアサインメント機能」によって、物理サーバで運用したときに近い処理性能が得られるという。性能が高まったことで、SAP ERPやOracle Databaseなどの大規模なデータベース管理システムの運用や、数値計算、あるいはCAD/CAMなどのような高いグラフィックス処理性能が必要なアプリケーションを、物理サーバから仮想化環境に移行しやすくなったとしている。
拡張性に関しては、新たにメモリのホットプラグに対応した。実行中のアプリケーションを止めることなく、仮想マシンに割り当てるメモリ容量を変更できる。
他の仮想化ソリューションの仮想マシンをRed Hat Enterprise Virtualization向けに変換するツール「virt-v2v」では、VMwareの仮想マシンを数クリックで移行できるようになっている(なおvirt-v2vは、VMwareに限らずXenとKVMの仮想マシンも変換できる)。
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