フォルクスワーゲンがOpenStackで大規模ソフト開発基盤、ミランティスを採用:アジャイル開発を支援
自動車メーカーの独フォルクスワーゲングループが、OpenStackでプライベートクラウド基盤を構築した。OpenStackディストリビューションベンダーの米ミランティス、およびその日本法人であるミランティス・ジャパンは、これに同社の「Mirantis OpenStack」が採用されたと発表した。
自動車メーカーの独フォルクスワーゲングループが、OpenStackでプライベートクラウド基盤を構築した。OpenStackディストリビューションベンダーのミランティス、およびその日本法人であるミランティス・ジャパンは、これに同社の「Mirantis OpenStack」が採用されたと発表した。
では、OpenStackによる基盤はどのような用途をカバーしているのか。プレスリリースでは、次のように表現している。
「OpenStackの採用は、ビジネスアプリケーションおよびコンシューマ向けアプリケーション全体にわたり革新を後押しすることを目的としており、オープンソースのクラウドプラットフォームを採用し、グループ全体で標準化することでITコストを削減します。新しいプラットフォームでは、社内アプリケーション、および消費者向けアプリケーションが稼働する予定で、フォルクスワーゲン グループ全社員と、同社のディーラーやサプライヤーの社員とのつながりを強化します」
別の資料によると、具体的には、2015年末までにOpenStackベースのIaaSを提供開始しており、2016年7月にはPaaSの運用を開始して、PaaSモデルに移行するという。この基盤は、インターネットには(まだ)接続されておらず、イントラネット経由でしかアクセスできない。米国、欧州、アジアの運用管理者および「テクニカルコンピテンスセンター」が、ターゲットユーザーだという。テクニカルコンピテンスセンターとは、IT関連の開発センターを意味している。また、この資料では「従来型のアプリケーションはサポートせず、集中バックアップも行っていない」と述べていることから、各種デジタルアプリケーションおよびデジタルサービスの開発のための基盤(サービス提供基盤ではない)としての利用だと考えられる。
フォルクスワーゲンは、過去数年にわたり、社内でのIT開発体制を強化してきた。例えばインドでは2014年10月に、1000人のITエンジニアを収容できるアジア地域のテクニカルコンピテンスセンターをオープンした。
同じ資料では、OpenStackによる基盤を採用することで、「ほぼ全てが自動化される。汎用ハードウェア上で稼働し、開発者は運用や調達の部署を通すことなく、セルフサービスで活用できる。当社ではオープンソース・ソフトウェアの利用が拡大しており、アジャイル/DevOpsの開発モデルを推進している。今回のアプローチは、(従来よりも)はるかに、水平なスケーリングに適している」と説明している。
フォルクスワーゲングループは「フォルクスワーゲン」に加え、「アウディ」「ポルシェ」などのブランドを保有しているが、プレスリリースでは、「Mirantis OpenStackを活用することにより、同グループのブランドのすべてで展開されるアプリケーションを強化する」と述べている。
Mirantis OpenStack採用について、フォルクスワーゲンのITインフラストラクチャ担当バイスプレジデントであるマリオ・ミュラー(Mario Muller)氏は次のように説明している。
「自動車業界はサービス業に変貌しつつあり、フォルクスワーゲンはアジャイルなソフトウェア改革に取り組んでいます。ミランティスのチームは、堅牢で鍛錬されたディストリビューション、技術的な深い専門性、OpenStackコミュニティへのコミットメント、ならびにフォルクスワーゲンにおけるクラウドトランスフォーメーションを加速する能力を我々に提供してくれます。Mirantis OpenStackが原動力となり、フォルクスワーゲンの開発者は、ソフトウェアをより迅速に開発、提供できるようなります」
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