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クラシック環境から新しいARM環境へのAzure IaaSの移行が簡単にMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(20)(1/2 ページ)

2016年6月末、Microsoft Azureの「クラシックデプロイモデル」から「Azure Resource Manager(ARM)デプロイモデル」への、Azure IaaSとストレージアカウントの移行が正式にサポートされました。

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クラシックからAzure Resource Managerへの移行がサポート

 Microsoft AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)である「Azure仮想マシン(Azure Virtual Machine:Azure VM)」には、2つのデプロイメント(展開)モデルがあります。

 1つは、2015年12月以前の「Azureポータル」(https://manage.windowsazure.com/、現在も「クラシックポータル」として利用可能)およびサービス管理APIを使用した「クラシックデプロイメントモデル」(以下、クラシック)。もう1つは、2015年12月に正式リリースされた「新しいAzureポータル」(https://portal.azure.com/)およびAzure Resource Manager APIを使用した「Azure Resource Manager(ARM)デプロイメントモデル」(以下、ARM)です。

 2015年まではAzure仮想マシンといえば、クラシックデプロイメントモデルのことを指していました。そのため、ARMデプロイメントモデルで作成されたAzure仮想マシンを、従来のAzure仮想マシンと区別するために「Azure仮想マシンV2」や「Azure VM V2」と呼ぶこともあります。

 現在、クラシックポータルで作成、管理できるのは“クラシックデプロイモデルのAzure仮想マシンのみ”です。新しいAzureポータルでは、ARMとクラシックの両方のデプロイメントモデルに対応しています(画面1)。新しいAzureポータル上では、ARMデプロイメントモデルのAzure仮想マシンを「Virtual Machines」、クラシックデプロイメントモデルのAzure仮想マシンを「仮想マシン(クラシック)」として区別しています。

画面1
画面1 Microsoft Azureのクラシックポータル(画面左)で作成できるのはクラシックデプロイメントモデルのAzure仮想マシンのみ。新しいAzureポータル(画面右)はARMとクラシックの両方に対応する

 ARMとクラシックのデプロイメントモデルに互換性はなく、サポートされる機能も違います。Azure仮想マシンの仮想HDD(VHD)を格納するストレージアカウントやAzure仮想マシンを接続する仮想ネットワークは、ARMとクラシックでそれぞれ別のサービスとして用意されています。

 また、クラシックでは「クラウドサービス」の中にAzure仮想マシンを作成するという形ですが、ARMでは「リソースグループ」の中でAzure仮想マシンのための全リソース(ストレージアカウント、仮想ネットワーク、仮想マシン、ネットワークアダプター、IPアドレス、ネットワークセキュリティグループなど)をまとめて管理します。

 マイクロソフトでは新規作成するAzure仮想マシンについては、ARMの使用を推奨しています。しかし、利用できる機能の違いや、シンプルに作成、管理できる分かりやすさなどから、2015年12月以降も意図的にクラシックでAzure仮想マシンを作成、運用している場合もあるでしょう。

 例えば、ポータルのGUI(Graphical User Interface)を使用したカスタムイメージのキャプチャーと、ギャラリーのマイイメージを使用したカスタムイメージからのAzure仮想マシンの作成は、クラシックでのみ利用可能です。

 この他、以前は、ARMのAzure仮想マシンは「Azure Backup」や「Azure Site Recovery」でサポートされていない、リモートデスクトップ接続のための構成や管理者パスワードをポータルからリセットできないなど、クラシックでは利用できるのに、ARMでは利用できない機能もありました。現在では、これらの機能はARMのAzure仮想マシンでも利用できるようになっています。

 問題は、これまで“クラシックからARMに移行するための、標準的な手段が提供されていなかった”ことです。

 既にクラシック環境で運用中のAzure仮想マシンと関連リソースをARMに移行するには、Azure仮想マシン(VHDファイル)をARMのストレージアカウント間でコピーし、リソースグループに仮想ネットワークやゲートウェイなどを準備した上で、コピーしたVHDファイルを接続したAzure仮想マシンを作成するという複雑なマニュアル操作(主にWindows PowerShellによる操作)が必要でした。クラシック環境しか存在しなかったころからのMicrosoft Azure利用者は、より簡単にARM環境に移行できる手段を求めていたと思います。

 今回、正式リリースとなったのは、2016年5月からプレビュー提供されてきたクラシックからARMへのAzure仮想マシンの移行機能です。同時に、クラシックからARMへのストレージアカウントの移行も正式にサポートされるようになりました。

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