富士通、PostgreSQLベースのOSSデータベース「Enterprise Postgres」をリリース:独自機能+法人向けサポートを追加
富士通が、データベース管理システム「FUJITSU Software Enterprise Postgres」をリリースする。OSSデータベースの「PostgreSQL」をベースに、法人向けサポートの他、セキュリティ、処理性能、信頼性向上に関する同社の技術を含めて展開する。
富士通は2016年11月11日、OSS(オープンソースソフトウェア)ベースのデータベースソフトウェア「FUJITSU Software Enterprise Postgres(以下、Enterprise Postgres)」の販売を開始すると発表。2016年11月末より出荷を開始する。
Enterprise Postgresは、OSSデータベースの「PostgreSQL」をベースに、セキュリティや処理性能、信頼性向上に関する同社の独自技術と企業向けサポートを付加した製品。24時間365日の技術サポートや長期の製品保証を同社が提供することで、企業のOSS導入に伴う技術的な障害や不安を取り除くとしている。
同社が独自に実装した技術は、(1)暗号化技術、(2)高速化機能、(3)並列検索の3つ。
1つ目の暗号化技術としては、同社が従来提供していたデータベース管理ソフトウェア(DBMS)「FUJITSU Software Symfoware Server」の「透過的データ暗号化」を実装。暗号アルゴリズムはキー長128ビットまたは256ビットのAES(Advanced Encryption Standard)で、ユーザーデータに加えてトランザクションログ(WAL:Write Ahead Logging)や一時ファイル、バックアップデータも一括して暗号化する。なお、Symfoware Server環境からEnterprise Postgresへのマイグレーションにおいて、既存のDBアプリケーションの改修は不要としている。
2つ目の高速化機能として、富士通研究所が開発したインメモリ機能を実装。同技術によって、従来のロー型でデータを格納するPostgreSQLに対し、分析に適したカラム型データの取り扱いにも対応する。ロー型/カラム型の2つの形式で整合させながら保持するインメモリ機能により、集計処理のたびに発生するディスクI/Oを減らし、集計処理を高速化できるとする。
なお、カラム型インデックスは、Oracle DatabaseやSQL Serverなどの他社DBMSにも実装されている技術で、データ集計や分析といったデータベース(表)の特定の列のデータを取り出すことが多く発生する処理を高速化できる。PostgreSQLにも、citusdataがオープンソース化した「cstore_fdw」などのカラム型インデックス拡張モジュールは存在するが、Enterprise Postgresにはあらかじめカラム型インデックス機能が組み込まれており、サポートも受けられる利点がある。
3つ目の並列検索機能では、バッチ処理時間などの短縮が期待できる。具体的には、検索や集計といった処理をマルチスレッド化して複数のCPUコアに分散。さらに、CPUの負荷状況に応じて、最適なスレッド数を自動的に決定する。この機能によって、CPUの処理性能に余裕がない場合には並列化せずにサーバの過負荷を回避し、余裕がある場合はスレッド数を増やして検索処理の効率化と安定稼働の両立を可能にするとしている。
製品ラインアップは「Standard Edition(SE)」と「Advanced Edition(AE)」の2種類。両者の違いは上記の高速化機能の有無で、AEは全ての機能を利用できる。
稼働対象のOSは、Red Hat Enterprise Linux 6/7、Windows Server 2008/2008 R2/2012/2012 R2/2016。価格は、CPU 1コア当たり、SEが21万2000円/年(税別、以下同)、AEが114万円/年。いずれもサブスクリプション契約で、1年単位の価格となる。
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