2020年、クラウドトラフィックは年間14.1ゼタバイトに シスコが統計予測を発表:データセンタートラフィック全体の92%を占める
シスコシステムズが、クラウドトラフィックやワークロード、ストレージ利用の動向予測をまとめた年次レポートを発表。2020年のクラウドトラフィックは、2015年比で4倍となる年間14.1ZBにまで達し、データセンター全体トラフィックの92%を占めるようになるという。
米シスコシステムズ(以下、シスコ)は2016年11月10日(米国時間)、2016年で6回目となる年次レポート「Cisco Global Cloud Index(2015-2020)」を発表した。2015年に約3.9ゼタバイト(ZB)だった世界の年間クラウドトラフィックは、2020年には約4倍に膨らんだ14.1ZBにまで増加すると予測している。
シスコはクラウドトラフィックのこうした急増の背景として、迅速なスケーリングが可能で、従来型データセンターより多くのワークロードを効率的にサポートできるクラウドアーキテクチャへの移行が進んでいることを挙げている。
世界の年間データセンタートラフィックは2015年の4.7ZBから、2020年には15.3ZBに増加する見通し。このうちクラウドトラフィックの占める割合が、2015年の82%から2020年には92%に膨らむと予測している。2015〜2020年の世界のデータセンタートラフィックの年平均成長率(CAGR)は27%、クラウドトラフィックは30%となっている。
またシスコは、「データセンターの仮想化が進み、クラウド事業者は、企業と消費者に最適なパフォーマンスで多様なサービスを柔軟に提供しながら、運用効率を上げることに成功している」との認識から、今回のレポートで新たにアプリケーション別ワークロード(稼働数)の分析と予測を盛り込んだ。その概要は以下の通り。
ビジネスワークロードがデータセンターアプリケーションの多くを占め、増加していく
2020年のビジネスワークロードは2015年比で2.4倍に増える。ただしデータセンターワークロード全体に占める割合は79%から72%に低下する。
コンシューマーワークロードは、データ量に対して稼働数が急増する。2020年までに稼働数が3.5倍に増える
データセンターワークロード全体に占めるコンシューマーワークロードの割合は、2015年の21%(稼働数3860万)から2020年には28%(同1億3430万)に上昇する。
2020年までに、IoT/分析/データベースワークロードがビジネスワークロードの中で特に成長する
IoT/分析/データベースワークロードは2020年に2015年比で2.7倍に増え、CAGRは22%となる見込み。これに対し、コンピューティングおよびコラボレーションワークロードがビジネスワークロード全体に占める割合は、2020年まで一貫して上位2位を占める状況は変わらない。
コンシューマーワークロードは、動画再生とSNSのトラフィックが今後も伸びる
コンシューマーワークロードにおいては、動画ストリーミングとSNS(Social Networking Service)の割合が高まる。コンシューマーワークロード全体の割合として、動画ストリーミングは2015年の29%から2020年には34%に、SNSも同じく20%から24%を占めるようになる。一方、検索は17%から15%に低下する。
ハイパースケールデータセンターの数が2015年の259から、2020年には485に増える
この他、シスコは今回のレポートでハイパースケールデータセンターも初めて取り上げた。ハイパースケールデータセンターの数は2015年の259から、2020年には485に増える見通し。ハイパースケールデータセンタートラフィックも、この間に約5倍に伸びると予測されている。2020年にハイパースケールデータセンターは、サーバのインストール台数ベースでデータセンター全体の47%を占め、データセンタートラフィック全体の53%をサポートする見通しだ。
インフラの主要トレンドとしては、こうしたハイパースケールなどのデータセンターの変革を見込んでおり、SDN(Software Defined Networking)とNFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能仮想化)が、データセンターアーキテクチャのフラット化と、トラフィックフローの効率化を促進していると説明している。2015年より今後5年間、世界のハイパースケールデータセンターの60%近くでSDN/NFVソリューションが導入される見通しだ。2015年には、データセンター内のトラフィックの23%がSDN/NFVプラットフォームでサポートされていたが、事業者の効率向上への取り組みが進むことで、この割合は2020年に44%まで増えると予測している。
この他、レポートのハイライトは以下の通り。
クラウドデータセンターが圧倒的な主流に
- 2020年には、ワークロードの92%がクラウドデータセンターで処理され、8%が従来型データセンターで処理されるようになる
- クラウドデータセンターのワークロード密度(物理サーバ当たりのワークロード)は、2015年の7.3から2020年には11.9に高まる。一方、従来型データセンターのワークロード密度は、2.2から3.5へと緩やかな上昇にとどまる
パブリッククラウドがプライベートクラウドよりも成長する
- 2020年には、クラウドワークロードの68%がパブリッククラウドデータセンターで処理されるようになる。2015年の値は49%で、2015〜2020年のCAGRは35%となる
- 2020年には、クラウドワークロードの32%がプライベートクラウドデータセンターで処理される。同じく、2015年の値は51%で、2015〜2020年のCAGRは15%となる
クラウドストレージを利用するコンシューマーが過半数に達する
- 2020年には、インターネットを利用するコンシューマーの59%(約23億ユーザー)がパーソナルクラウドストレージを利用するようになる。2015年時点では、利用率47%で約13億ユーザーだった
- 2020年には、コンシューマー向けクラウドストレージのトラフィックがユーザー当たり1.7GB/月に達する。2015年時点では、同513MB/月だった
データセンターのストレージ容量が拡大する
- データセンターのストレージ総容量は、2015年の382エクサバイト(EB)から、2020年には約5倍の1.8ZBに増加する
- データセンターのストレージ容量に占めるクラウドデータセンターの割合は、2015年の64.9%から、2020年には88%に上昇する
ビッグデータが保存データ量増加のけん引役になる
- データセンターに保存されるデータ総量は、2015年の171EBから、2020年には約5.3倍の915EBに増加する。この間のCAGRは40%となる
- ビッグデータと定義されるデータは、2015年の25EBから、2020年には約10倍の247EBに増加する。また、ビッグデータがデータセンターの保存データ量に占める割合は、同じく15%から27%に増える
IoTが膨大な量のデータを生成する
- 世界でIoTで生成される(しかし、保存されるとは限らない)データの量は、2020年には年間600ZBに達する見通し。これは同年のデータセンターからエンドユーザー/デバイスへのトラフィックの予想量2.2ZBの275倍で、データセンタートラフィック全体の予想量15.3ZBの39倍に相当する
デバイスに保存されるデータ量が増えることから、データセンターの保存データ量はさらに増える可能性もある
- 2020年にデバイスに保存されるデータ量は5.3ZBとなる見通し。これは同年のデータセンターの保存データ量推計の5倍以上に上る
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