マイクロソフト、ビッグデータ解析プラットフォーム「Microsoft R Server 9.0」をリリース:Spark 2.0に対応、対応Linuxディストリビューションも拡充
マイクロソフトが最新のオープンソースRエンジンをベースに機能を強化したビッグデータ解析プラットフォーム「Microsoft R Server 9.0」をリリース。より高度な予測分析ができるように機能を強化した。
米マイクロソフトは2016年12月7日(米国時間)、ビッグデータ解析プラットフォーム「Microsoft R Server(MRS) 9.0」をリリースした。MRS 9.0はオープンソースRの最新エンジンをベースとし、最先端の機械学習アルゴリズムを利用できる他、各種の運用機能や「Spark」およびLinux対応が強化された。
最先端の機械学習アルゴリズム
MRS 9.0では、マイクロソフトの新しい「MicrosoftML」パッケージで提供される機械学習アルゴリズムと、既存の並列外部メモリアルゴリズムである「RevoScaleR」パッケージや、オープンソースアルゴリズムである「CRAN R」パッケージなどを組み合わせて、より高度な予測分析ができるようになる。MicrosoftMLは、マイクロソフトがさまざまな製品で使用してきた機械学習アルゴリズムをまとめたもので、主に以下の機能を提供する。
- 高速線形学習(L1正則化とL2正則化をサポート)
- 高速ブーストデシジョンツリー
- 高速ランダムフォレスト
- ロジスティック回帰(L1正則化とL2正則化をサポート)
- GPUで加速されたディープニューラルネットワーク(畳み込み型)
- 1クラスサポートベクターマシンを使ったバイナリ分類
MicrosoftMLは、データベース管理ソフトウェア「Microsoft SQL Server」の機能の一部として既に提供されているが、2017年には、Linux版やHadoopへの対応も予定されている。
運用が容易に
MRS 9.0では、データがオンプレミスとクラウドのどちらにあるかにかかわらず、Rモデルをこれまでより効率的にデプロイできるよう、運用機能も強化された。
- RモデルをWebサービスとしてエクスポーズ:「R Tools for Visual Studio(RTVS)」「RStudio」「Jupyter Notebook」などの統合開発環境(IDE)から、Rモデルおよびスクリプトを1行のコードでWebサービスに変換できる。RモデルをRから業務アプリケーションの言語に変換する必要がない
- 容易な統合:「Swagger」で提供され、簡単に利用できるアプリケーション統合機能により、任意のプログラミング言語で作成された任意のアプリケーションでRモデルを利用できる。強力な予測分析モデルをアプリケーションに簡単に組み込むことが可能
- 1回作成すれば複数のプラットフォームにデプロイ可能:モデルをある環境で訓練し、別の環境(オンプレミスまたはクラウド)にデプロイできるので、時間と費用を大幅に節約できる
- 高可用性:MRSのアクティブ/アクティブの高可用性やグリッドコンピューティング機能を利用して、予測アプリケーションをビジネスニーズに合わせてスケーリングできる。
SparkおよびLinux対応
MRS 9.0では、Spark 1.6に加えて、新たにSpark 2.0にも対応。Linuxディストリビューションについても、「SUSE」「Red Hat Enterprise Linux」に続いて、「Ubuntu」をサポートする。これにより、MRS 9.0は3種のLinuxディストリビューション上の、3種のHadoopディストリビューション「Cloudera」「Hortonworks」「MapR」に対応する
MRS 9.0は、エンタープライズ向けのSparkおよびHadoopクラウドサービスである「Azure HDInsight」上でも提供される。
MRS関連アップデート
「SQL Server 2016 CTP1」に付属する「SQL Server R Services」がアップデートされ、前述したMicrosoftMLが導入されている。この他、「CRAN-R 3.3.2」ベースの「Microsoft R Open(MRO)3.3.2」や、機能が強化された「R Client 3.3.2」もリリースする。
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