DNPのアプリ改ざん対策ソフトウェア「CrackProof」が自動車業界で採用:コネクテッドカーのクラッキング対策に
大日本印刷のクラッキング対策ソフトウェア「CrackProof」がコネクテッドカーを推進する自動車業界で採用された。遠隔操作によるドアの解錠や走行データの抜き取り、データ改ざんなど、ネットワークにつながった自動車のクラッキング対策を実現する。
大日本印刷(DNP)は2017年1月16日、同社のクラッキング対策ソフトウェア「CrackProof」が自動車業界で初めて採用されたと発表した。
CrackProofは、システムで採用するアプリケーションの不正な解析や改ざんを防ぐクラウド型のクラッキング対策ソフトウェア。「アプリケーションの内容が置き換えられていないか」などをチェックし、改ざんを未然に防ぐ。開発が完了したアプリケーションを専用サーバにアップロードすることで、堅牢化の処理が完了する仕組みを採用。堅牢化処理後は、実行ファイルを暗号化して静的解析を防止することに加え、デバッガーやエミュレータなどを用いた動的解析も防ぐ。メモリ解析なども阻止する。価格は1アプリケーション当たり200万円/年から。
CrackProofは、同社の100%子会社であるDNPハイパーテックが開発したソフトウェアで、これまではゲーム業界や金融業界、家電業界に向けて提供してきた。2016年に自動車業界向けの販売を開始し、今回、車載ソフトウェアの改ざん防止を目的に、同業界で初めて採用されたという。
近年の自動車は、開発が活発に行われている「自動運転車」の前段階として、遠隔操作によるドアの開閉やエアコン操作、ナビゲーション、運転補助など、ネットワークにつないで各種機能を実現する自動車のIoT(Internet of Things)化が急速に進んでいる。このような自動車は「コネクテッドカー」と呼ばれ、調査会社 ガートナーによると、2020年までに世界で約2億5000万台のコネクテッドカーが普及すると予測されている。
このようにネットワークにつながった自動車は、悪意を持った第三者による車載システムへの侵入、データ奪取や改ざんなどサイバー攻撃のリスクが高まる。つまり、PCやスマートデバイスへの脅威と同様に、自動車向けシステムに対するサイバー攻撃対策も不可欠となりつつある。コネクテッドカーの普及と共に、コネクテッドカー向けハッキング対策ソリューションの必要性も増している。
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