Windows 10 Creators Updateのリリース前にサポートポリシーを再確認:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(76)(1/2 ページ)
Windows 10初期リリースのサポート期限が2017年3月末に迫っているというニュースがありました。Windows 10は「サービスとしてのWindows」という方式で、常に進化を続けるOSとして提供されます。それに合わせて、サポートポリシーも変わったことにお気付きでしょうか。
CBは最新バージョンの1つ、CBBは常に2バージョンが原則
2017年1月、Windows 10初期リリース(バージョン1507)のサポート期限が「2017年3月末」に迫っているというニュースが伝えられました。IT系メディア各社が伝えたこのニュースの情報源は、全て以下のマイクロソフトの公式ブログの発表に違いありません。
- Windows 10 v1607 media now available[英語](Windows for IT Pros)
この発表は「Windows 10 バージョン1607」が2016年11月末に「Current Branch for Business(CBB:企業向け最適化モデル)」向けにリリースされ、2017年1月26日に「ボリュームライセンスセンター(VLSC)」で更新されたメディアが公開されたことを伝えるものでした。そして、この日から「60日」の猶予期間後に、Windows 10の初期リリース(バージョン1507)がCBBのサポート対象から外れることも伝えられました。
Windows 10の最初のバージョンは、2015年7月末にリリースされました。このバージョンは「初期リリース」「ビルド10240」などと呼ばれていましたが、2015年11月の「Windows 10 November Update(バージョン1511、ビルド10586)」のリリース後からは、Windows 10 November Updateから採用された「バージョンYYMM(年月)」の表記に合わせて、「バージョン1507」と呼ばれるようにもなりました。
2016年8月には「Windows 10 Anniversary Update」としてバージョン1607(ビルド14393)がリリースされました。そして、既にご存じのように、2017年春(時期の詳細は未発表)には「Windows 10 Creators Update」の「バージョン170X」(ウワサでは1703)のリリースが予定されています。このスケジュールは全て、Windows 10の「Current Branch(CB:最適化モデル)」に対するリリースのことです。
「CBとCBBの違い」と「60日の猶予期間」は、常に最新のWindows 10を使っている個人ユーザーであれば気にする必要はありません。しかし、何らかの理由があって新しいバージョンにアップグレードできずにいる個人ユーザーは、Windows 10のサポートポリシーについて知っておくことが重要です。
企業ユーザーは当然のことながら「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」を理解して適切に制御しないと、Windows 10の仕様変更に振り回されて、ビジネスに影響してしまいます。既に、WaaSについては知っているという人も、あらためて確認した方がよいでしょう。
WaaSについては、本連載でもWindows 10の最初のバージョンが出てすぐに、一通りまとめて解説しました。しかし、当時、Windows 10は1つのバージョンしかなかったので、よく分からない部分もありました。例えば、「Windows Update for Business」でCBBをさらに延期する機能は、Windows 10 バージョン1511で初めて提供されたものです。
- Windows as a Serviceを正しく理解しませんか(本連載 第42回:2015年10月6日公開)
上記記事でも説明した次の4点については、今でも変わらず維持されています。
- CBは常に1つ:その時点でリリースされている最新バージョンが、原則としてCBの対象バージョン(ビルド)です。「原則として」と断った理由は、後で説明します。
- CBBはCB向けリリースのおおむね4カ月遅れでスタートする:CB向けに2015年11月にリリースされたバージョン1511は、2016年3月にCBB向けに提供が始まりました。CB向けに2016年8月にリリースされたバージョン1607は、2016年11月末にCBB向けに提供が始まりました。
- CBBはさらに延期できる:Windows Update for Business(グループポリシーの機能)やWindows Server Update Services(WSUS)、その他のパッチ管理ツールでCBBの配布をさらに延期できます。延期できる期間については、後で説明します。
- CBBは2バージョンをサポート:タイミングによっては3バージョン(2016年11月末から2017年1月にかけて)になることもありますが、2バージョンは常にサポートされ、「品質更新プログラム」が提供されます。
各CBBは最低18カ月サポート、60日の猶予期間付き
2016年年9月ごろに公開されたとみられる、WaaSに関する以下のドキュメントでは、上記のルールに加えて、重要な変更点が記されています。
- サービスとしてのWindowsの概要(Windows IT Center)
「重要な変更点」とは、あるビルドのサポートが完全に終了するまで、つまり、品質更新プログラムが提供されなくなるまで、60日の猶予期間があることと、CBBのビルドが最低18カ月間サポートされると明記されたことです。WaaSが発表された当初は、各ビルドのライフサイクルはCBが約4カ月、CBBが約8カ月とされていました。
- CBの60日の猶予期間:「WindowsのCBビルドは一度に1つだけがサポートされるため、最新ビルドがインストールされていないクライアントは、最新の機能更新プログラムがインストールされるまで品質更新プログラムを受信しません(60日の猶予期間の後)」(上記ドキュメントより抜粋)
- CBBの60日の猶予期間と最低18カ月サポート:「Microsoftは、一度に2つのCBBビルドをサポートし、60日の猶予期間もサポートします。各機能更新プログラムのリリースは、最低18カ月間サポートおよび更新されます」(上記ドキュメントより抜粋)
ここでもう一度、「Windows 10 v1607 media now available」のブログ記事を見てほしいのですが、VLSC向けに新しいCBBビルドの更新済みメディアが提供された時点で、2つ前のCBBのサポートが終了し、60日間の猶予期間に入るらしいということです。バージョン1607の2つ前のCBBビルドが1507で、猶予期限が切れるのがメディア提供の2カ月後の2017年3月26日ということになります。
なお、Windows Update for Businessで延期できる期間は、バージョン1511で「最大8カ月(1カ月単位)+さらに一時停止1カ月」、バージョン1607で「最大180日(1日単位)+さらに一時停止最大60日」となっていますが、これは機能のことであって、最低18カ月のサポートとは別の話になります。
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