検索
連載

Windows 10 Creators Updateのリリース前にサポートポリシーを再確認その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(76)(2/2 ページ)

Windows 10初期リリースのサポート期限が2017年3月末に迫っているというニュースがありました。Windows 10は「サービスとしてのWindows」という方式で、常に進化を続けるOSとして提供されます。それに合わせて、サポートポリシーも変わったことにお気付きでしょうか。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

CBビルドもCBBと同じ期間、品質更新プログラムを受信できる(はず)

 さて、一部のIT系メディアでは、CBのバージョン1507は引き続きサポートされるという誤報が一時伝えられました。現在のCBはバージョン1607なので、完全な誤報です。

 ただし、CBとCBBは、CBBにリリースされた時点で同じバージョン(同じビルド番号.同じリビジョン番号)を実行しており、品質更新プログラムは共通です。CBは「原則として」、新しいCBビルドがリリースされると、60日の猶予期間後にサポートされなくなりますが、実際にはCBBと同じ品質更新プログラムを受信することができるはずです。Windows 10 HomeエディションはCBが唯一の選択肢ですが、機能更新プログラムをブロックすれば、その状況にできるでしょう。

 「原則」を崩す要素は他にもあります。Windows 10 バージョン1607からは、Windows Update for Business(Homeは対象外)において、CBBだけでなく、CBも機能更新プログラムの延期が可能になったことです(画面1)。

画面1
画面1 Windows 10 バージョン1607のWindows Update for Businessは、CBでも延期を構成できる

 詳しくは、以下のドキュメントの「Windows 10 バージョン1511とバージョン1607でのWindows Update for Businessの比較」を参照してください。ただし、バージョン1511の一時停止が「35日」になっているのは、「1カ月」の間違いだと思います。

バージョン1511は2017年内にサポート終了になる(見込み)

 Windows 10初期リリースのバージョン1507のCBBのライフサイクルの終了は、「2017年3月26日」ではありません。2017年1月26日に既に終了しています。今は、60日の猶予期間中です。2017年3月26日以降は、品質更新プログラムが提供されなくなる予定です。

 CB、CBBに関係なく、バージョン1507を使っているのであれば、早く対処しましょう。ハードウェアやソフトウェアが対応していない、アップグレードすると正常起動しないなど、理由があってバージョン1511または1607にアップグレードできないのであれば、PCの寿命と考えて、新しいPCにリプレースするか、あるいは(可能な場合)Windows 7やWindows 8.1にダウングレードして、これらのOSのサポートが終了するまで延命するのかを検討する必要があります。もう残された時間はほとんどありません。

 バージョン1507のCBBサポートは、偶然にも最低18カ月のサポートぴったりでした。Windows 10の最初のバージョンなので、バージョン1507はCBとCBBが同時にスタートしたという事情があるので、例外的なことかもしれません。

 そこで、この先1年のCBとCBBのスケジュールを図にしてみました(図1)。2017年春にバージョン170Xがリリース(図では便宜上2017年4月リリースにしています)されると、その4カ月後にはCBB向けのリリースがあり、バージョン1511の60日猶予期間が始まることになります。バージョン1511の寿命は、バージョン170XのCB向けリリースが大きく遅れない限り、2017年中には終了しそうです。

図1
図1 Windows 10 バージョン1507のリリースから、この先1年間のスケジュール(2017年2月以降は筆者の想像)

メイン5年+延長5年の10年サポートの対象はLTSBのみ

 マイクロソフトの製品サポートといえば、メインストリームサポート5年+延長サポート5年の最低10年サポートというのがなじみ深いポリシーだと思います。しかし、Windows 10にはこのポリシーは提供されません。

 ボリュームライセンスで提供されるWindows 10の固定化バージョン「Long Term Servicing Branch(LTSB:固定化モデル)」には、引き続きこのポリシーが適用されますが、通常のWindows 10には「Microsoftモダンライフサイクルポリシー」が適用されるようです。この新しいポリシーは、“最新の状態を保っている”という条件付きで、サポートを無期限に提供するというものです。

 マイクロソフトのサポートサイトで製品のライフサイクルを検索してみても、Windows 10 バージョン1511や1607は出てきません。バージョン1507は新しいポリシーの発表前なので、一応リストには登録されていますが(製品名:Windows 10 <エディション>, released in July 2015)、延長サポート終了日とされる2025年10月14日は、もはや意味のない日付です。繰り返しますが、バージョン1507のライフサイクルは、2017年1月に既に終了しました。現在は3月26日までの猶予期間中です。

2017年2月17日追記

 2017年2月初めに、バージョン1507への品質更新プログラムの提供の終了が2017年3月から同年5月に延期されることが公表されました。詳細は以下のマイクロソフトのサイトで確認してください。


2017年5月23日追記

 デスクトップOSであるWindows 10には、モダンライフサイクルポリシーではなく、「固定ポリシー」(サポート終了日が定義された従来のポリシー)が適用されます。2017年5月3日付けでWindows 10に関する製品のライフサイクルの表記が変更され、CBおよびCBBについてはWaaSに従って更新されている限り、少なくとも2015年10月14日(米国時間)までサポートが提供されることになっています。


筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る