2021年までに「チャットボット」はどう実用化され、どこまで進化するのか 野村総研が予測:チャットボット間でのAPI標準化が進む
今後の発展が見込まれる技術の1つ「チャットボット」は、2021年までにどう進化し、実用化されていくのか。野村総研がその予測を公表した。
野村総合研究所は、IT関連の重要技術が2021年までにどう発展し、実用化されるかを予測した「ITロードマップ」を作成。2017年3月9日、本書でとりまとめた「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」「チャットボット」「AR(Augmented Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)」「ペイメント2.0」「APIエコノミー2.0」「FinTech」「デジタルマネーマネジメント」「デジタルロジスティクス」「プログラマティックマーケティング」といった技術のうち、チャットボットに関する動向予測を公開した。
チャットボットは2017年3月現在、「AI技術を取り込んで自然な会話が可能になりつつある」ことから、まず、顧客からの問い合わせ対応や商品提案など、顧客との接点で活用したいという企業ニーズがいっそう増加していくと分析する。
野村総研では、2018年までをボットチャットの黎明期と位置付ける。既に、LINEやFacebookなどが会話用API(Application Programming Interface)を公開しているが、今後、決済サービス向けといったチャットボットAPIも提供されていくと予測される。
この普及によって、チャットボットを新たな顧客接点として有望視する先進企業から、チャットボットを用いたさまざまなサービスが誕生する。特に、質問内容を事前に想定できる顧客問い合わせ対応業務などでは、多くの成功事例が生まれると想定される。
その一方で、個人の趣味嗜好に合わせた商品提案を行うシーンへの活用はまだ難しいとみられている。こうした用途に対する失敗事例が増えていくと、チャットボットに対するネガティブな意識が広がってしまうことも危惧される。
2019〜2020年は、発展期と位置付ける。この頃になると、個人の属性情報なども利用できるようになり、チャットボットを用いたサービスが一層発展すると予測される。位置情報や時間などの情報を有効に利用して、会話内容の理解度を向上させたソリューションも拡大していくと期待される。
また、チャットボットサービスの増加に伴い、複数のチャットプラットフォームに対応した「乗り入れ」が一般化し、それに応じて複数のチャットボットを連携させるサービスが登場し始めると予測される。同時に、チャットボット間でのAPI標準化の機運も高まることになる。
2021年度以降は、普及期に入る。チャットボット間のAPIは既に標準化が済み、例えば、公共手続きなどでもチャットボットが利用されるようになるという。
また、この時期になると、ユーザーが目的に合わせて個別のチャットボットを選ぶ必要はなくなり、チャットボット同士が自発的に連携する「マルチボット化」が進む。その先には、日常生活から仕事までをトータルでサポートする「パーソナルエージェント」として、個人専用チャットボットが進化していくと予測している。
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