Azure Backupで、「アプリケーション整合性を確保」したLinux仮想マシンのバックアップが可能に:スナップショット作成前後にI/O制御のスクリプトを実行して実現
マイクロソフトは「Azure Backup」で、「アプリケーション整合性を確保」したLinux仮想マシンのバックアップを可能にする機能を追加。MySQL、InterSystems Cache、SAP HANA用のサンプルスクリプトをGitHubで公開する。
米マイクロソフトは2017年3月21日(米国時間)、Azure Linux仮想マシン(Linux VM)で「アプリケーション整合性を確保したバックアップ」を可能にする機能をクラウドバックアップサービス「Azure Backup」に追加したと公式ブログで告知した。
これまでLinux VMは、一般的な「ファイルシステム整合性のあるバックアップ」のみが可能だった。今回追加された機能ではこれに加えて、「MySQL」「InterSystems Cache」「SAP HANA」などの基幹エンタープライズアプリケーションが動作するLinux VMで「アプリケーション整合性を確保したバックアップ」が行えるようにする。
バックアップワークフローのカスタマイズが可能に
アプリケーション整合性を確保したバックアップは、VMのバックアッププロセスにおいて、VMスナップショットの作成直前にカスタムプリスクリプトを実行し、VMスナップショットの作成直後にカスタムポストスクリプトを実行することで実現される。プリスクリプトがアプリケーションのI/Oを停止し、ポストスクリプトがそれを再開することで、アプリケーション整合性を保証する仕組みとなる。
なお一部のアプリケーションでは、I/Oを停止するロジックを妨げないように、ファイルシステムへのアクセスを停止するコマンドである「fsfreeze」を無効にする必要がある。Azure BackupでLinux VMのバックアップを行うとデフォルトでfsfreezeが実行されるが、これを無効にするオプションも用意されている。
この他、アプリケーションバックアップやデータベースログバックアップを取得するネイティブアプリケーションAPIを呼び出すと、VMバックアップの一環として、データを「Recovery Services(復旧サービス)」コンテナに移すように動作する。この動作により、VMの削除や破損などのリスクを低減できる。
アプリケーションやディストリビューションに依存しない
このプリ/ポストスクリプトフレームワークは、Linuxのディストリビューションやバージョンにかかわらず機能する。ゲストアプリケーションが、アプリケーションI/Oを停止、再開するAPIを持っていれば、サポートされている全てのLinuxディストリビューションでシームレスに動作する。
マイクロソフトはパートナーと協力し、代表的なLinuxアプリケーションに対応したオープンソーススクリプトをGitHubで提供。2017年3月時点では、MySQLとInterSystems Cache用のスクリプトを提供済み。SAP HANA用のスクリプトも準備中だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- マイクロソフト、Azure Linux VM向け「インスタントファイルリカバリー」機能を公開
Azure Linux VM向けにも、バックアップから瞬時にリカバリーできる「インスタントファイルリカバリー機能」が実装された。 - AzureにおけるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)サポートのいま
Azure MarketplaceでRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のイメージの提供が開始されました。また、RHELの有料サブスクリプションを購入せず、Azure仮想マシンの従量課金でRHELのソフトウェアの更新とサポートを得ることができるようになりました。 - AWSとAzure、まずはプロフィールを比較する
クラウド上でのJavaやRuby、.NETを利用した開発についての記事は増えてきていますが、クラウド上でのPHP利用に関する記事は、現時点では意外と少ないです。本連載では、PHP開発で利用することを前提に、Amazon Web Services(以下、AWS)とWindows Azureの2大クラウドを比較します。PHPのエンジニア以外でも参考になる内容になっていると思いますので、ぜひお読みください - 「Azure復旧サービス」が新しいポータルに統合、Azure Resource Managerにも対応
2016年5月より、クラシックポータルのみで提供されてきたMicrosoft Azureの「Recovery Services(復旧サービス)」が新しいAzureポータルに統合されました。新しいAzureポータルで一貫性のある、ブレード形式のUIで簡単に操作できるだけでなく、Azure Resource ManagerでデプロイされたAzure仮想マシンのバックアップにも対応しました。