今日の献立「Windows 10の塩漬け」──Windows 10のバージョンを固定する方法:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(80)(1/2 ページ)
テストや動作検証のために、特定のWindows 10環境を維持したいという場合もあるでしょう。そんなときに役に立つ、Windows 10を特定のバージョンに固定する方法を紹介します。
さよならバージョン1507、ようこそ1703
Windows 10は、毎月の定例および随時提供される「品質更新プログラム」によるリビジョンの更新と、年に複数回(これまでは2回/年のペース)の「機能更新プログラム」によるビルド(バージョン)の更新が継続的に行われます。テストや動作検証のために、特定のWindows 10の環境を永久に維持したいという場合もあるはずです。今回は、そんなときに役に立つ、Windows 10を特定のバージョンに固定する方法を紹介します。
「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」という概念に基づいて提供されるWindows 10は、常に最低でも2つのバージョンがサポート対象になります。Homeを除くエディションは、既定の「Current Branch(CB)」から「Current Branch for Business(CBB)」に変更することで、機能更新プログラム(バージョン1511までの旧称は「機能アップグレード」)のインストールを延期して、新しいバージョンへのアップグレードを約4カ月遅らせることができます。
また、Windows 10 November Update以降は「Windows Update for Business」のポリシーを構成して、さらにアップグレードを延期することが可能です。しかし、Microsoft Updateから直接更新するように構成されている場合、いずれは自動的に最新バージョンにアップグレードされます。
2017年3月末時点では、次の3つのバージョンがサポートされます。
通称 | バージョン | ビルド番号.リビジョン番号 | CB向け リリース |
CBB向け リリース |
---|---|---|---|---|
Windows 10初期リリース | 1507 | 10240.17319 | 2015年7月 | 2015年7月 |
Windows 10 November Update | 1511 | 10586.839 | 2015年11月 | 2016年4月 |
Windows 10 Anniversary Update | 1607 | 14393.969 | 2016年8月 | 2016年11月 |
※リビジョン番号は、2017年3月31日時点でWindows Updateより配布されている品質更新プログラムによるもの。Microsoft Updateからのダウンロード提供のみの10586.842(KB4016636)と10240.17320(KB4016637)あり |
- [参考]Windows 10 release information[英語](Windows IT Center)
- [参考]Windows 10 and Windows Server 2016 Update history[英語](Windows Help)
間もなく「Windows 10 Creators Update(バージョン1703)」がCBに対してリリースされます。
- Windows 10 Creators Update coming April 11, Surface expands to more markets[英語](Windows Experience Blog)
- Windows 10の「Creators Update」は4月11日配信スタート(ITmedia NEWS)
一方、Windows 10初期リリース(バージョン1507)のサポートが「2017年5月」までに終了する予定です。Windows 10初期リリース(バージョン1507)のサポートは当初「2017年3月」に終了する予定でしたが、2017年2月初めに5月まで延長されることが発表されました。
- Windows 10 v1607 media now available[英語](Microsoft TechNet、Windows for IT Pros)
Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)のCBB向けリリースから既に数カ月が経過しているため、2017年3月時点でWindows 10初期リリース(バージョン1507)やWindows 10 November Update(バージョン1511)を新規インストールまたはアップグレードインストールすると、初回(または早い段階)のWindows UpdateでWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607)が検出され、アップグレードが始まってしまうでしょう(画面1)。
画面1 2017年3月に新規インストールしたWindows 10初期リリースの初回のWindows Update。Anniversary Update(バージョン1607)の機能更新プログラムがインストール対象として検出された
Windows 10 HomeはCBのみで提供されます。Windows 10 Pro、Enterprise、Educationは、既定はCBですが、CBBに変更可能です。この他、ボリュームライセンスを通じて、新機能が追加提供されない固定化バージョンである「Long Term Services Branch(LTSB)」があります。こちらは、これまで年に1回のペースで「Windows 10 Enterprise 2015 LTSB(ビルド10240版)」と「Windows 10 Enterprise 2016 LTSB(ビルド1607版)」がリリースされており、最低10年の長期にわたって品質更新プログラムのサポートが提供されます(2015 LTSBは2025年10月14日まで、2016 LTSBは2026年10月13日まで)。
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