マイナス感情を「例外処理」する――感情コントロール「ステップ2 感情を受け入れる」:ストレスフルな職場でエンジニアが心穏やかに働くための5段階感情コントロール(3)(3/4 ページ)
仕事をしていれば、嫌な気分になることは多かれ少なかれあります。明かりのスイッチをON/OFFするように、感情を切り替えることはできますか?
感情を受け入れよう
感情をコントロールして良い気分でいたいのに、心理学博士は「脳の構造からいって、情動が生起するタイミングや内容をコントロールすることはほとんど不可能だ」と言うし、嫌なことを「感じないようにしよう」「考えないようにしよう」とすればするほど、脳は意識してしまう……。
何だかもう、「お手上げ!」です。感情をコントロールするのは「無駄な抵抗」のような感じすらします。そこで私は、感情に対して「無駄な抵抗」をするのをやめました。
もう、降参です。煮るなり焼くなりどうにでもしやがれ。
すると、どうでしょう。無駄な抵抗をやめたら――つまり「拒否する」から「受け入れる」に姿勢を変えたら、身体の力が抜けて、感情をコントロールしやすくなってきました。
感情と情報システムの「例外処理」との意外な関係
少し話がずれてしまうのですが、私はこの「感情を受け入れる」姿勢は、情報システムの「例外処理」(想定外の不具合が起こったときの「エラー処理」)に似ていると思います。
情報システムの開発では、どんなにユーザーの操作やプログラムの動作を綿密に設計しても、どんなにテストを重ねても、不具合は必ず起こります。運用を開始した直後は特にそうです。開発時には想定していなかった(できなかった)形式のデータが存在したり、ユーザーが思いもよらない操作をしたり、と「想定外の不具合」が起こるのです。
もちろん、使用するデータやユーザーが操作する全てのパターンを完璧に想定して設計できればいいのですが、全てを事前に察知するのは難しい。また、不具合が発生する「タイミング」や「内容」を想定するのも難しい。
だからこそ、優れたエンジニアほど「想定外の不具合が起こってもいい」ように「例外処理」を設計します。エラーメッセージを表示してユーザーに知らせたり、不具合調査をしやすくするためにエラー情報をログに記録したり、プログラムが暴走しないように後処理をしたり。
例外処理は「このシステムには不具合は絶対に起きない」という前提では設計しません。「想定外の不具合が起きるかもしれない。トラブルがいつ起きるのか、そのタイミングや内容は分からない」のように、不具合が起こることを前提に「受け入れる」のです。だからこそ、いざ想定外が発生したときに、行うべき「例外処理」ができるわけです。
感情コントロールも同じです。「感情の変化がいつ起きるのか、そのタイミングや内容はコントロールできない」と「受け入れる」からこそ、後のコントロールがしやすくなるのです。
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