プライベートクラウド環境へ移行したら、アプリケーションのレスポンスが悪くなった(パフォーマンストラブル):SQL Serverトラブルシューティング(44)(2/2 ページ)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は「データベース刷新でアプリケーションのレスポンスが悪くなった事例とその対処方法 2」を解説します。
解決方法
解決策は、原因であった「メンテナンスジョブの見直し」です。
今回の事例では、該当するディスクユニットに本データベースサーバだけが接続されている環境だったので、影響するシステムは1つだけでした。しかしプライベートクラウド環境では、複数の仮想マシンがディスクを共有して使うのが一般的ですので、実際には、「複数のシステムが影響を受ける可能性が高い」と言えます。このリスクを避けるには、業務の重要度に合わせて専用のディスク領域を割り当てたり、場合によってはリソース専有型のサービスを利用したりするなど、他の仮想マシンやディスクの操作に影響を受けないようにする設計と計画が重要になります。
あらためてパフォーマンス遅延トラブル対策に有効な手法は、「通常時と異常時の比較」です。正常時と違う部分を見つけ出し、なぜそれが起きているのかを考察し、今起きている現象と論理的につながるかどうかを1つ1つ見ていく作業です。そのためには、普段からパフォーマンスに関するデータを採取して、ためておく必要があります。バックナンバー「データベース処理遅延に対処するための『パフォーマンスログ』を採取する方法」「SQL Serverで『トレースログ』を採取する」を参照し、ぜひ通常運用時のログを採取する体制を整えるようにしてください。
次回は、「業務処理がだんだん遅くなっていく」ケースの解決方法を解説します。
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2016年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「SQL Server 2016」に搭載される新たなセキュリティ対策を追う
パブリックプレビューが公開されているマイクロソフトのRDB次期版「SQL Server 2016」。特徴の1つとするセキュリティ対策機能のポイントと目指すところをキーパーソンに聞いた。 - そもそも、リレーショナルデータベースとは何か?
データベースを基礎から勉強し理解を深めていくことは簡単なことではありません。本連載では、データベースに対するハードルを少しでも低くするために、初心者の方に必要なデータベースの基本から、障害対策やチューニングといった実践に即した内容までを幅広く解説していきます。今回は、データベースの役割と、それを管理するソフトウェアであるDBMSの基本機能について解説します。【更新】 - データの登録を行うINSERT文
- 複数の条件を指定してSELECT文を実行する
前回は、SELECT文の初歩の初歩を解説しました。今回は、複数の条件を指定して、目的のデータを取り出す方法を解説します(編集部) - Oracle運用の基本「ログ」を理解しよう
本連載では、Oracle Database運用の鍵となるトラブル対処法について紹介していきます。第1回、第2回では情報収集の要となるログについて見ていきます。ログの出力情報は10gと11gとでは大きく異なる点がありますので、それぞれについても確認しておきましょう。