SQL Serverの次期バージョンの名称は「SQL Server 2017」に 最新プレビュー版「CTP 2.0」を公開:“on Linux”対応やPythonでのデータ分析を強化
マイクロソフトが、データプラットフォームの次期バージョンの名称を「SQL Server 2017」に決定したと発表。最新のプレビュー版「Community Technology Preview(CTP)2.0」をリリースした。
米マイクロソフトは2017年4月19日(米国時間)、同社のデータプラットフォーム「SQL Server」の次期バージョンの名称を「SQL Server 2017」に決定したと発表。併せて、最新のプレビュー版「Community Technology Preview(CTP)2.0」の無償公開を開始した。
SQL Serverの2017年4月現在の現行バージョンは「SQL Server 2016」で、その次期バージョンはこれまで「SQL Server vNext」と呼ばれていた。今回リリースされたSQL Server 2017のCTP 2.0は、「SQL Server 2017で初となる、本番品質のプレビュー版」(マイクロソフト)と位置付けられ、Windows ServerとLinuxの2プラットフォーム向けに公開された。
SQL Server 2017 CTP 2.0では、スケーラビリティの高い並列環境でPythonを使って高度な分析を実行する機能、グラフデータの保存と分析、パフォーマンス向上とアップタイムの確保を可能にするSQL Serverの管理支援機能(Adaptive Query Processingファミリーのインテリジェントデータベース機能、レジューム可能なオンラインインデックス再構築機能)など、多くの新機能が追加されている。
またマイクロソフトは、クラスタ化されていない1TB超のデータウェアハウジングワークロードにおけるThe TPC Benchmark H(TPC-H)でのベンチマーク結果で、世界最高記録を達成したしたことも明らかにした。これは、Red Hat Enterprise Linuxが動作するHPE ProLiantサーバでSQL Server 2017を稼働させた環境で実現したという。同社は、「SQL Server 2017がこれにとどまらず、多くのベンチマークで高いパフォーマンスを達成する」との見通しを示している。
SQL Server 2017 CTP 2.0の主な新機能の概要は以下の通り。
グラフデータの保存と分析のサポート
この機能には、ノードやエッジを作成するためのCRUD(Create、Read、Update、Delete)のフルサポートや、ジョインなしでのパターンマッチングによるマルチホップナビゲーションを提供するためのT-SQLクエリ言語拡張などが含まれる。SQL Serverエンジンの統合により、SQLテーブルとグラフデータに対するクエリも可能になり、また、既存のSQL Serverツールはいずれもグラフデータを扱えるようになった。
レジューム可能なオンラインインデックス再構築機能
この機能は、中断したインデックス再構築を最初からやり直すのではなく、中断したところから再開できるようにするもの。SQL Server 2017 CTP 2.0では、より小さいログ容量でのインデックスの再構築をサポートする。例えば、インデックス再構築時に問題が発生した場合の対処が容易になる他、インデックス構築を複数のメンテナンス時間に分割して行うことが可能になる。
Adaptive Query Processingファミリーのインテリジェントデータベース機能
この機能は、データベース管理者が追加チューニングを行うことなく、データベースクエリが自動的に、可能な限り効率的に動作するようにするもの。バッチモードでのメモリ付与を調整する従来の機能に加えて、SQL Server 2017 CTP 2.0のAdaptive Query Processingでは、バッチモードでの適応型ジョインやインターリーブ実行が可能になった。
インターリーブ実行は、マルチステートメントテーブル値関数を参照するクエリのパフォーマンスを改善するもの。適応型ジョインは、クエリの物理ジョインアルゴリズムの選択を、実際のクエリ実行時まで遅らせ、ランタイム条件に基づいてパフォーマンスを改善できるようにする機能となる。
SQL Server on Windowsで可能だった一部の機能が、SQL Server on Linuxでも可能に
SQL Server on Linuxでも、Windows版と同等の以下の機能がサポートされる。
- SQL Serverエージェントを使ってレプリカを、発行されるログと同期する「SQL Server エージェントの追加的機能」
- クライアントが可用性グループのプライマリーレプリカに接続し、可用性の監視とレプリカへの接続の管理を行える「AlwaysOn可用性グループのリスナー」
Pythonを使った分析
データベース内でPythonを実行して、機械学習や予測型分析、データサイエンススクリプトのスケーリングやスピードアップが可能となる。
例えば、これまでのMicrosoft R Servicesを改称し、機能を強化した「Microsoft Machine Learning Services」により、Pythonスクリプトをデータベースサーバ内で直接実行したり、T-SQLスクリプトに埋め込んでストアドプロシージャとしてデータベースに簡単にデプロイし、SQLクライアントアプリケーションからストアドプロシージャコールによって簡単に呼び出したりできるようになる。このMachine Learning Servicesは、Rで利用することも可能となっている。
またSQL Server 2017は、データ変換、統計テスト、分析アルゴリズムを高速化する一連の並列アルゴリズムを提供し、Pythonのパフォーマンスとスケールを向上させる。こうしたPython関連機能や、Rをデータベース内で大規模に実行できる機能は、2017年4月時点ではWindows Server上でのみの対応となるが、追ってSQL Server on Linuxにも対応させる予定としている。
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